うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

『足利フラワーパーク』の絵本

2025年02月02日 06時34分16秒 | 樹木医の日々片々
 樹木医会千葉県支部の会報にて出版物の当該情報が載っていて、それに足利フラワーパークの絵本が紹介されていた。著者はこの移植工事を担当した樹木医会の大先輩の塚本こなみ女史だ。題名は『おおふじひっこし大作戦』、出版元は児童向け出版では老舗である㈱福音館書店で定価1,300+消費税、版型はB5版、初版は2002.5.1.となり入手時点で増刷回数は第3刷まではいっているらしい。(現時点では不明であるが)
『足利フラワーパーク』は栃木県足利市に所在し今では一大観光地として有名である。
 移植対象の大フジの品種は、野田九尺藤が3株、八重黒龍藤1株の計4株である。ほかに施主はフジ160品種を蒐集している。
 移植工事としては期間が1994.5から1996.2までで、工種は花柄摘み・根切作業を1年1回、計2回おこなう。1996年の2月に計画地へトレーラーにのせて運ぶ、おもに夜間3日間にわたり作業を実施。1997年の4月、足利フラワーパークのオープンに間に合わせたもの。翌5月に開花を見た。計画地は渡良瀬川流域の<迫間湿地>で植栽基盤としては不適なので、現況地の最下層に砕石(C40-0・クラッシャーラン)を50㎝、次に木炭を20㎝を積み上げている。また表層部分には今までの植栽土壌を運び30㎝分を敷き均した。新たに、都合、1.0mかさ上げしたことになる。
 なお、参考までに過去の足利フラワーパークの記事は、H30/6/14付けのこのブログで公開しています。(緑字下線部分を左クリックすると、別画面を開くことができます。)

 私見によれば、フジの特性は浅根性で日向を好み水はけのよい土壌が適し萌芽力、発根性が高い。フジの大木の移植の通常の場合は根廻しがよく、根鉢製作の形態は追い堀りして《藤巻き》状態にする。さらに播種や挿し木などとあらゆる繫殖方法が可能である。仕立て方や花付きは冬期剪定や開花後の花柄摘みなどの技術次第であると言えよう。この規模のフジの大木の移植はあまり事例がないとおもわれるが(他の移植事例のアナウンスや収集が行われていない)、どこか盆栽の育成技法を取り入れると成功の確率が高いかなとわたしは感じる。
参考資料:「NHK趣味の園芸 フジ 川原田林著」 日本放送協会
     「園芸植物大事典4フジ属 P217~P221 中村恒雄/編集部」 小学館
     ホームページ『足利フラワーパーク』

 この中で技術的に注目すべき点は、フジの思い切った縮小による根株の製作、根の発根促進、腐敗防止処理と移植作業時の根株の根元への石膏包帯の養生方法の採用であろうか。
 ここでは本の画像コピーなどはイレギュラーではあるが、以下にアップする。絵本の出来栄えはなかなかしっかりしているだろうか。

          
          
          
                 
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