18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

東京国際映画祭 「親密」 Claustrophobia 

2008-10-24 21:14:18 | 映画
 今日みてきた映画は、香港の著名脚本家アイヴィ・ホーの初監督作品。邦題の「親密」と原題の「Claustrophobia」(閉所恐怖症)とは全く違う意味なので、どっちの意味で捉えればいいのか観る前は分らなかったが、本編をみて理解できた。


 話は、現在から過去へさかのぼる形式で展開される。ストーリーは「車の中」で起こる視線と空気、少ない台詞で展開されるので、観る人の想像力が要求される。

 要求された想像力の検証をするがごとく話題が過去に少しずつ逆戻りし、想像通りだったり裏切られたりすることで観ている人を引きこむ作りとなっている。

 

 車の中の空間をうまく使い、主人公二人の表情や視線、言葉の間などの持つ意味が、広い空間でやりとりされるよりも意味深く聞こえるのと、その狭い空間の重い空気に耐えきれない人の心を映し出すことでうまく、Claustrophobia(閉所恐怖症)という原題につなげている。

 一方、2人の主人公の心が恋愛感情として重なっているのかどうなのかを微妙に読み取らせようとしている部分では邦題の「親密」が意味を持っていると思う。


 作品としては、恋愛を描くのではなくて、親密を描こうとしているが、全体的には、監督力が不足しているので伝わり切れていない部分があり、消化不良気味の作品になってしまっている。 「なんでもない日常」が「恋愛感情」にまで発展し、それが必ずしもハッピーなことではないんだねということが分る映画。

 と、書きながらも、題材そのものがむずかしいとも思う。そう考えると初監督作品でよくこういう難しい題材に挑戦したものだと感心する。たしかにいまさら上司と部下のオフィス内での恋愛感情と別れを描いてもありふれているしね。見終わって色々考えると監督がやりたかったことが何となく分る。そういう作品なので、深く味わうつもりで観てください。

 映画(スクリーニング)の終了後のティーチイン(質疑応答)では、主演のカリーナ・ラムとイーキン・チェンも監督のアイヴィ・ホーとともに登場。カリーナ・ラムの視線の演技はすごい。


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東京国際映画祭 「青い鳥」

2008-10-24 01:42:55 | 映画
 東京国際映画祭真っ最中なのでちょっと見てきました。

 見たのは「青い鳥」

 阿部寛主演、重松清の短編が原作

 舞台となるのはある中学の2年生の教室。3学期も始まったばかりの教室に臨時教師として赴任してきたのは阿部寛演じる村内先生。

 彼は、1学期にイジメにあって自殺未遂のすえ転校した野口くんが座っていた椅子と机を教室の元あったところに戻し、村内先生は毎朝「おはよう野口君」とあいさつをするのだ。

 そのことをきっかけに物語りが動きます。

 真意を測りかね、イヤミだと感じ反発する生徒達。生徒の親からの抗議で頭を悩ませる学校。

 村内先生の行動は、いじめに対して学校が取った行動と生徒に対して、逃げているということを伝えるものだった。

 やがて逃げないで向き合いひとつの事実を受け止めることができるまでを描いた映画。




 映画としての手法はシンプルで無駄がない。特に映画の中の「徒然草」の朗読の部分は、伏線としての効果も抜群だ。




 いじめというテーマは新鮮さは無いのだけども、原作がいいのか、いじめに直接的にせよ、間接的にせよ関わった人はいったいどのように自分の心に対して始末をつけるべきなのかを、シンプルかつリアルに伝えてくれている映画。


 大人が考えそうな始末の付け方を「青い鳥」としているのだが、これはとても象徴的で皮肉が効いているとおもう。


 阿部寛もとても良い雰囲気、さらに生徒の園部真一役の本郷奏多くんのクライマックスの演技は素晴らしい。
 

 2008年11月29日から全国ロードショー
 主演:阿部寛、本郷奏多 監督:中西健二 
 公式サイト:http://www.aoitori-movie.com/


 親も子も観るべき映画だと思う。そして真剣に話をするべきだ。この映画で村内先生は、相手が全力で投げかけてきたことに対して全力で返さないと、それは卑怯だと言っている。親も子も一度全力で会話してみてはどうか?




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