市内の複数の学校を訪問し、学校薬剤師として環境検査を実施しました。
その中で、特に気になったのが電子黒板への映り込みです。
皆さんは、児童生徒が学校で電子黒板を見ている姿を想像できますか?
実際に教室内を回り、子どもたちの目線で電子黒板を見てみると、
その深刻さがより明らかになりました。
太陽光や蛍光灯の光が反射して、とても見えにくい座席が少なくなかったのです。
私が調べていると、児童が近寄ってきて
「この列の席は、いつも画面が見えにくくて困っています。どうかよろしくお願いします」
と訴えてきた時には、胸が締め付けられる思いでした。
市原市はいち早く全教室に電子黒板を導入しました。
そういう意味ではICT教育の先進地と言えるでしょう。
ICT教育は子どもたちの学びを豊かにする素晴らしいツールですが、
その一方で、子どもたちの視力低下や学習への悪影響が懸念されます。
電子黒板の映り込みは、単に「見にくい」という問題にとどまらず、集中力の低下や疲労感を招き、
ひいては学力低下にもつながる可能性があるのです。
これは、ICT化の進展に伴い、私たちが直面している新たな課題と言えるでしょう。
では、この問題を解決するために、どうすればよいのでしょうか?
まずは、現状を正確に把握すること。
どの教室のどの位置の席でどのような問題が起こっているのかを詳しく分析する必要があります。
そのためにも、子どもたち自身が、どのような場所で、どのような時に、
どのような不便を感じているのかを直接聞き取ることが重要です。
その上で、適切な対策を講じること。
電子黒板の向きや配置の工夫、照明の消灯、廊下側も含めた窓の遮光(カーテン設置)、
電子黒板の反射防止フィルムの利用などが考えられます。
教職員への研修の充実も必要でしょう。
この問題はまだ世間で大きく取り上げられていないだけに、
市原市が先陣を切って手探りでも対応することが求められていると思います。
ICT教育のメリットを最大限に引き出しつつ、デメリットを最小限に抑えるために、
今できることをしっかりと行わなければ・・・。