猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

親鸞記 初演 於三条別院

2019年06月02日 21時54分04秒 | 公演記録
宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要。浄土真宗の法要というものに初めて参加させていただいた。びっくりしたのは、合唱団がエレクトーン演奏で朗々と賛歌(・・・ここが教会なら賛美歌にしか聞こえない)を歌うのである。たとえば「真宗宗歌」は、

ふかきみ法(のり)にあいまつる
身の幸 なににたとうべき
ひたすら道を 聞きひらき
まことのみむね いただかん

と、もちろん、参会の門徒全員で歌うのである。なかなか壮観であった。



さて、午前中が法要で、午後が「親鸞記」である。浄専寺の堀川秀道氏からお話をいただいてからまる2年。やはり、門徒の方々は、親鸞聖人のことはよくご存じですから、見る目も厳しいでしょうが、ちゃんと分かってご覧になっていらしゃるという安心感がありました。そして、なによりも沢山ウケていただいたので、こちらもだいぶノリました。以下の写真は、幼い親鸞聖人が出家をする場面です。よく使う単純な早変わりの手ですが、これが大ウケでした。

慈鎮和尚(御殿の中)の所に弟子入りします。僧がカミソリを手にして、九歳の親鸞の髪を落とします。



坊さん達の人形で覆い隠して、人形をすり替えます。



一瞬で丸坊主のくりくり親鸞が現れます。因みに下手にいるのは、お父さんの日野有範です。

親鸞記 公開稽古

2019年05月26日 22時33分41秒 | 公演記録
いよいよ三条別院での「親鸞記」初演が近づいて参りました。新作の仕込みが大変なのは、頭(かしら)から衣装から、書き割り、小道具となにもかも、ひとつひとつ手作りだからですが、これらはほとんど西橋八郎兵衛師匠の作品です。その中でも、たいていひとつや二つは私も、参加して作ります。今回は24人の山伏の兜巾。本当に24個作りました。発砲スチロールですけど。あとはだいたい「字」は私が書きます。今回は、親鸞が指で岩に書き付けるという「帰命尽十方無碍光如来」を書きました。
今週は、本番前の公開稽古。仕上げの稽古でしたが、なんとか、停まらないで通せたようでした。本番は、来週6月2日です。「親鸞記」の公演は13:30開演の予定です。一般の参拝者は無料で観覧できますが、立ち見のみですので悪しからず。


笠間郡稲田での布教を憎んだ山伏達24人が、親鸞聖人を殺害しようといろいろ企てますが、うまく行きません。とうとう草庵に押しかけて殺そうと、詰めよりますが・・・。



この岩は、小田原市国府津の真楽寺の帰命堂の下に埋められているということです。




6月猿八座 新作「親鸞記」 

2019年05月06日 19時35分03秒 | お知らせ
この私のブログのうち、「忘れ去られた物語たち」というページには、説経や古浄瑠璃の現代語訳を収録してあります。その中から、「親鸞記」を探し出してこられたのは、真宗大谷派太田山浄専寺の堀川秀道氏でした。新潟三条教区の親鸞聖人の750回御遠忌法要で、「親鸞記」をやってほしいとの打診があったのは、もう1年以上も前のことですが、あっという間にその本番がせまってきました。どうやら、この連休中に数々の小道具・大道具も完成したようです。「親鸞記」は古浄瑠璃の中でも古い1630年の作品で古活字本です。当時はかなりの人気作品で、本願寺から何回も上演禁止の訴えがなされて、その度に題名を変えて再演されるなどした記録があります。しかし、そのブーム以降は、ひょっとすると、これが約400年ぶりの再演かもしれません。

初演の作品になりますので、猿八座では、公開稽古を行います。

「親鸞記」公開稽古 5月26日(日)午後1時半より  猿八座稽古場(東光寺心萃房)にて

お近くの方は是非、おいでください。観覧無料・飲食自由です。

本番は、

 6月2日(日)10時から三条別院で行われる「親鸞聖人七百五十回御遠忌」法要の一環として行われます。
観客席約400は全て檀徒の皆様で埋まりますので一般申し込みはできません。
ただし、参詣される一般の皆様は、客席の後方、脇からご覧いただけます。
法要に参加される御門徒の皆様を優先させていただきますので御了承下さい。

13:30開演、約1時間半の公演です。


阿弥陀胸割 瑠璃山三光寺 新発田市 

2019年04月08日 10時58分57秒 | 公演記録
久しぶりの「阿弥陀胸割」(あみだのむねわり)でした。由緒ある浄土宗のお寺で開催できたことがなによりでした。この寺には、本尊の阿弥陀三尊をはさんで上手に浄土宗の高祖である善導和尚(ぜんどうかしょう)、下手に法然さんの像が、祭ってあります。「阿弥陀胸割」は、この高祖「善導和尚」が日本に伝えたことになっていますので、大変ありがたいわけです。

善導和尚像

御本尊
150名もの方々にご来場いただき誠にありがとうございました。方丈様の御協力で、楽しい舞台になりましたことに感謝申しあげます。別時念仏の場面で御出演いただきました様子をご覧ください。

阿弥陀胸割(別時念仏)ユーチューブへ




阿弥陀胸割 あみだのむねわり

2019年02月01日 09時05分24秒 | お知らせ

洛中洛外図《舟木本》の一部拡大ですが、ここには、貴重な記録が描かれています。「むねわりあやつり」と外題が書かれているのがわかります。400年前の京都、四条河原の光景です。この絵に描かれている人形は、天寿・ていれいの姉弟と大萬長者だと思われます。口を開いて観ている客が又印象的です。この説経は、かなりのヒット作品だったようです。それから、四百年、今や、この芝居を観ることができるのは、世界広しといえども、猿八座だけですので、この機会に是非「阿弥陀胸割」をご覧ください。
4月7日(日)新発田市の三光寺で開催です。



謹賀新年 己亥

2019年01月02日 08時39分56秒 | お知らせ
明けましておめでとうございます。平成31年の公演始めは、1月12日柏崎、ドナルドキーンセンターです。第三回の川村先生の解説は、浄瑠璃を中心にお話になられます。ですから、私が、いろいろとデモ演奏することになっておりまして、義太夫節のさわりもやるように言われております。本当に久しぶりなので本業よりもこちらの方が緊張します。



年末から、雪の多い冬になっていますが、お足元にお気をつけておいでください。

猿八座では、今年、新しい演目「親鸞記」に取り組ます。公演予定は6月です。詳細決定次第お知らせいたします。

11月 猿八座公演

2018年11月11日 08時54分59秒 | お知らせ
お知らせが遅くなりました。11月の猿八座は、11月24日(土)柏崎のドナルドキーンセンターでの古浄瑠璃をもっと楽しむ会の2回目、翌日の新潟市砂丘館の二つです。






砂丘館では「源氏烏帽子折」を上演します。2回公演ですが、客席数は30と少ないのでお早めにご予約下さい。


定員:各回 30 名   料金:一般 2,000 円 中学生・高校生 1,000 円 小学生以下無料(保護者同伴にて幼児入場可)

申込み受付開始日 10 月 24 日(水)   電話・ファックス 025-222-2676 E-mail sakyukan@bz03.plala.or.jp

*E-mail、ファックスでお申込みの場合は 連絡先(電話番号)、人数を併記して下さい。

第11回 村上人形浄瑠璃を楽しむ会 

2018年10月29日 12時38分27秒 | 公演記録
7年のうちに11回の開催もの開催回数を誇る会です。猿八座の最も強力なサポーターとして有り難い存在。今回も150人を越える皆様においでいただきました。誠にありがとうございました。演目は、平家女護島2段目全。一時間半みっちりですね。やるほうも観るほうも。ご苦労様でした。

この段は「俊寛」とも言うくらいですから、俊寛が主人公的ですが、島の娘「千鳥」が演じ処です。


流人である丹波少将成経(なりつね)は、島の海女「千鳥」と夫婦となる。写真は、水杯の祝言の場面。ようく見ると、沖の方から船が近づいて来た。



突然の赦免の知らせに一同大喜びをして、いざ上船という段。上使の妹尾は無下にも、千鳥の上船を許さない。



千鳥のくどき。「鬼界ヶ島には鬼は無く、鬼は都にありけるぞや」 のせてたべと絶叫する千鳥。

猿八座 寺泊・髙柳公演 無事終了

2018年10月01日 12時50分52秒 | 公演記録
9月23日(日)には、寺泊の真宗養泉寺の本堂にお邪魔いたしました。演目は信太妻と狢。


信太で泣いていただいて、狢で、大笑いをしてもらえますと、ほっとします。沢山のご来場ありがとうございました。

翌週の9月29日(土)30日(日)は柏崎市髙柳での2回目の浄瑠璃鑑賞会でした。台風24号の接近で、中止も覚悟という感じでしたが、黒姫山の神様のおかげで、奇跡的にたいした雨も降らずに済みました。

黒姫神社での奉納三番叟。

山椒太夫より鳥追いの場
二日間にわたり、大変お世話になりました。



猿八座 9月公演の予定 再掲

2018年07月21日 09時12分35秒 | お知らせ
だいたい毎年、猿八座は夏の間は、少しお休みです。9月から秋の陣。9月23日(日)は寺泊の養泉寺にて信太妻。翌週の29日、30日は、柏崎の高柳にて山椒太夫の公演を予定しております。


高柳公演のお知らせができてまいりましたので、再掲いたします。




新潟県立歴史博物館【伝統芸能上演会】佐渡人形芝居上演会 

2018年07月01日 22時00分11秒 | 調査・研究・紀行
久しぶりに、佐渡真明座の舞台を拝見。午前中は、平家女護島から、「俊寛」と「宗清親子対面」。この「宗清親子対面」は、猿八座ではまだやっていないが、義経が女装して美人局になり、男を呼び込み、源氏方に味方するという血判を迫る。拒めばその場で殺されて、床下行きという、とんでもない設定で、しかも、平家方の武将弥平兵衛宗清の娘「雛鶴」が、それに荷担している。なぜなら、母親白妙は源氏の武将比企藤九郎盛長の妹だったので、密かに源氏に味方しているのであった。


午後は、のろま人形で笑わせてくれてから、「源氏烏帽子折」。「卒塔婆引き」でデビューした平野太夫は立派に勤めていて感心。さて、お目当ては「烏帽子づくし」。なんといっても、この浄瑠璃の外題の通り、義経が元服の烏帽子折を誂えにくる場面であるので、重要なシーンなのだが、猿八座ではまだ取り組めていないので、どうなるのか興味津々。

なるほど、それぞれの特徴ある烏帽子を被せた人形を並べたか。そして、義経に一目惚れした、烏帽子屋の娘「東雲」が、この人形を持って可愛く踊るというところが、見所であった。人形を遣いながら、さらに別の人形を持つというのは・・・かなり重労働ではなっかったでしょうか。ただでも日本中が暑かったのに、真明座の舞台は、さらに熱かった。今日は大変勉強になりました。そして、みなさんお元気でなによりでした。



猿八座の活動 新潟日報に掲載

2018年05月28日 21時57分31秒 | お知らせ
平成30年5月22日の新潟日報に、猿八座の活動が大きな記事となって掲載されました。上越支社の記者、鷲頭さんには、4月の高田世界館公演も取材していただきましたが、八王子の稽古場までも取材していただきました。ありがとうございました。猿八座は、これから先の活動を模索中です。座員も随時募集中です。ご興味のある方は、是非ご連絡ください。



猿八座 ヨーロッパ公演報告 2 ポーランド編

2018年05月27日 17時29分52秒 | 公演記録
パリから飛行機で2時間。初めてのポーランドです。ワルシャワのショパン空港に降り立ちましたが、残念ながら乗り継ぎだけ。ハンバーガーを食べる時間しかありませんでした。更に空路で、クラクフへ。



さらに、そこから、車で2時間。地方の工業都市「ビエルスコ ビヤワ」に1日がかりで到着。この町で行われる「第28回の国際人形劇芸術祭」に参加します。



翌日は1日空きでしたので、いろいろな国の人形劇を鑑賞したり、夕方からの開会式に参加したりと、観劇三昧。




メイン会場のバイアルカ人形劇場と今回お世話いただいた、アダマ ビツケビチィ大学のエステラ先生。



猿八座が公演をした劇場。こうした劇場が市内にたくさんある。


いよいよ、公演です。一日二回の公演を行いました。演目は「源氏烏帽子折」だけでしたが、エステラ先生の解説や、ワークショップがついて、二時間近くやりました。







いろいろな国の演技を観ていると、勿論言葉はわからないわけですので、想像をして感じることの大切さが分かります。そうして、自分がやる番になりますと、言葉では伝わらないので、なんとか、別の方法で伝達しようと自然にするようです。強弱とか思い入れとかが、通常以上に、大きくなります。日本でやると、きっとわざとらしいぐらいだと思いますので、記録ビデオは見ないでおくことにします。

さて、この海外公演に当たっては、国際交流基金の助成をうけましたことに感謝申し上げます。













猿八座 ヨーロッパ公演報告 1 フランス編

2018年05月27日 12時47分29秒 | 公演記録
約2週間に渡るヨーロッパ公演旅行から、無事に帰国いたしました。行き帰りの飛行機の12時間近い缶詰状態は、私のような多動児には耐えがたい苦行でありますが、連続3年目ともなりますと、多少の慣れと覚悟ができるのもでございます。なんといっても私が編みだした最大の武器は、「さらし」であります。眠むるときは、ヘッドレストに頭部を縛り付けて固定。見た目はミイラ状態でしょうが、かまっていられません。これで熟睡できます。足がだるくなったら、テーブルにかけて、足を吊ります。いろいろ工夫していると時間がたつもの早くなります。そして、二時間に一回の機内散歩、ついでにトイレとおやつの調達、水分補給。大体、機内の一番後ろの方の配膳室に、同じような人々がたむろしているので、さも旅慣れたような顔をして、うろつきます。いつでもじっとしていないので、きっと回りは、迷惑だと思います。この頃は、通路側の席を譲ってくれないかと交渉するようにしています。もちろん、空いてる席があれば即、移動です。

さて、今回はまず、フランス、パリの郊外の村、ラ・ヌビール・スレソンにある「真夜中劇場」というところで、合計7公演を行いました。そのうち4公演は、小学生や幼稚園児を対象とした短縮版「信太妻」でした。しかし、一番受けたのは、一般公演でやった「源氏烏帽子折」の金王丸でした。この日も子供たちがたくさん来てくれましたが、言葉の意味はわからないでしょうから、どうやら「金王丸」の声色が面白かったようです。日本とは違う反応を体験できるのが、海外公演の良さです。以下、フランスでの写真を羅列します。






中世の建物を利用した劇場の建物。一番下の写真は、私が1週間過ごした小屋です。



劇団員との交流会





近郊の教会や城をちょっと観光。上からプイゾォという町の教会。ナポレオンが居たというフォンテンブロウの城。下は近くの城跡。




日仏合同黒衣チームの結成・・・名前は・・・NINJYA



毎日、劇団員の方々が交代で食事の準備をしてくれました。ここに住み込みの団員もいるので、完全自炊。毎晩、楽しいパーティーでした。とにかく、田舎だから野菜料理がおいしかった。一週間でかなり、太りました。








公演風景。一般公演では、ライトを極力落として、ろうそく明かりでやりたいとの希望。初めての試みでしたが、人形や芝居の化粧が真っ白なのは、本来、こういう明かりでやるものなのだと、痛感した次第。さすが、フランス人の感性は鋭い。


草加市市制60周年記念 弘知法印御伝記 

2018年05月06日 22時07分28秒 | お知らせ
草加市の市制60周年、おめでとうございます。この60周年記念の行事は他にも沢山のイベントが計画されているようです。そんなイベントのひとつが、「弘知法印御伝記」でした。現在の猿八座になる前の作品なので、私にとっては初演ということになりました。さまざまに変化の激しいストーリーなので、10年ぐらい前の実力では、手に負えなかったと思われます。少なくとも、文弥節が身についた、今現在の節回しで語ることができて、満足でした。詳しいストリーは、猿八座のブログ等をご覧ください。

遊女屋で暴れる弘友と家臣荒王。この騒動をきっかけとして連鎖的に事件が始まる。この弘友が、やがて弘法大師によって出家し、その後、即身仏になられた「弘知法印」の若き日の姿なのである。因みに、「弘知法印即身仏」は、新潟県長岡市寺泊の真言宗智山派海雲山西生寺に安置されていますので、一度は、ご覧いただくとよいと思います。