猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

村上市 塩谷古典芸能を楽しむ会 山椒太夫公演のお知らせ

2013年08月27日 14時20分32秒 | お知らせ

以前にお知らせしましたように、猿八座では、山椒太夫の通し狂言を目指し、三段組みの

浄瑠璃を作曲しました。まだ道具類はそろっていませんが、稽古を続けています。

その流れは、以下の様な内容です。

初段:信夫の里から旅立つ発端の場面~直江津で山岡の太夫に売り飛ばされる場面

二段:丹後由良での兄弟山別れの場面~山椒太夫の安寿折檻の場面

三段:佐渡島鳴子曳きの場面~親子対面の場面

いよいよ、三段組み山椒太夫の初演の詳細が以下のように明らかになりましたので、お知らせいたします。

10月20日(日)午後二時から、昨年の会場と同じく、村上市塩谷山円福寺で上演いたします。
どうぞ、お越し下さい。

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石川雲蝶作:道元禅師猛虎調伏の図

2013年08月27日 14時00分49秒 | 調査・研究・紀行

関越道で通過していまうと、あっという間のことですが、やっと魚沼市の辺りを散策
する機会を得ました。その中でも、永林寺と西福寺は、越後のミケランジェロと言わ
れる石川雲蝶の作品で有名です。


 石川雲蝶は、幕末の方なので、古説経の時代とは離れていますが、古説経:越前国永平寺開山記の物語を西福寺開山堂の天上いっぱいに彫り込みました。「道元禅師猛虎調伏の図」です。
 このお話は、
忘れ去られた物語たち 4 説経越前国永平寺開山記

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20111130 

で紹介した説経節です。この調伏の場面を再録いたしましょう。開山堂内は、撮影禁止
ですので、パンフレットの写真を載せておきます。

永平寺開山記 ⑥

 道元、道正の二人は、偉大なる達磨大師の座禅の姿を心にしっかりと刻むと、急ぎ帰朝をしようと、天童山を下り始めました。達磨大師より頂いた有り難い柱杖を突きつつ、元の山道を辿って、谷よ峰よと越えて行きました。

 しかし、どうも様子が、変です。いつの間にか、見たことも無い、広い野原に出てしまいました。

「どうも、おかしい。道正よ。ここで、道が途絶えたぞ。どこで道を間違えたのだろうか。方角も分からない。どうするか。」

 二人は、道は一本道で、間違えるはずもないと、不思議に思われましたが、慌てる様子も無く。草むらにどっかと座して瞑想を初めました。ところが、さすがに山道の疲れから、二人ともとろとろと眠り始め、とうとう前後不覚に眠りに落ちてしましました。

 すると、どこからともなく、悪虎が一匹飛び出してきました。悪虎は、牙を鳴らして、二人に近づくと、只一口に食らわんと飛びかかりました。眠り込んでいる二人は絶体絶命の危機です。ところが、不思議にもその刹那、道元が突く柱杖が、たちまち大蛇と変化して、悪虎の前に立ちはだかり、かっぱと口を開けて悪虎に襲いかかりました。竜虎血みどろの戦いは、凄まじいばかりです。さらに、道正の小刀が、おのれとばかりに飛び出したかと思うと、たちまち巨大な剣となりました。剣は虚空を飛び回り、周囲の山をかち割りながら、猛然と悪虎目がけて突きさそうとします。悪虎は、怒り心頭に発して暴れまくりましたので、二人も目を醒まし、この有様を目撃しました。大蛇が悪虎の平首に食らいつくと、剣は、虚空より悪虎の腹のまっただ中を貫き通しました。大蛇が、悪虎の首を食いちぎると、巨大な剣は、すうっと草叢に下りて、剣の先を上にして止まりました。すると今度は、大蛇がするすると太刀に巻き付き、剣の切っ先を飲み込むよと見えたその途端に、元の手杖と小刀に戻って、地に落ちました。不動明王が右手に持つ倶利伽羅剣(くりからけん)とは、この時に始まったのです。

 両僧は、奇異の思いをしながらも、諸天のご加護に礼拝し、天童山を伏し拝みました。その後道元は、この柱杖を決して手放すことはありませんでした。これが、永平寺の重物である「虎食み(とらばみ)の柱杖」であります。(※永平寺蔵:虎刎の柱杖(とらはねのしゅじょう))

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一日中見ていても飽きません。説経で大蛇と言うのは、龍の事です。


お知らせ

2013年08月16日 10時23分49秒 | お知らせ

 異常な暑さの続く夏ですが、皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。以下の様にお知らせいたします。 

 これまで、十三代目の薩摩若太夫として演奏・研究活動をスタートし、多くの方々よりご声援を
いただいて参りましたことに深く感謝申し上げます。その後、猿八座との出会いがあり、西橋八
郎兵衛師匠より渡部八太夫をいただいたことで、より広範囲な演奏活動へと発展してきたこと
も、ご覧いただいてきた通りです。
 しかし、この間、ふたつの名前を使うことの煩雑さや、使い分け等に悩むこともありました。
名跡である「若太夫」には、それなりの意義もあり、助けられて来た訳ですが、一方で、その名
跡に縛られて、自由な演奏・研究活動に圧力が掛かるというようなこともあったのでした。
 そこで、より自由な立場で浄瑠璃を極める為に、平成25年7月末を持ちまして、薩摩若太夫
の名跡は説経節の会に返上しましたので皆様にご報告申しあげます。

 本ブログも、お気づきの通り、「猿八座 渡部八太夫」と改め、既に若太夫のHPは閉鎖させて
いただきました。今後は、渡部八太夫として、演奏・研究活動を深めて行きたいと考えていま
す。古い物を保存するだけでは無く、流派の垣根を越えて、現代に問い掛けることができる人
形浄瑠璃を追求して行く所存です。今後とも、ご理解ご支援の程、宜しくお願い申しあげます。

 


忘れ去られた物語シリーズ 16~25 について

2013年08月06日 20時09分02秒 | 忘れ去られた物語シリーズ

説経正本集(角川書店)に翻刻された古説経達を読んできました。第1から第3までに収録された
古説経正本の中で、いわゆる五説経として詳しく翻刻されている話は、後回しにして、まだ知ら
ない物語を選んで読んできました。駄訳の連続で申し訳ありませんでしたが、私には楽しい探険
でした。特に道行きの部分は、訳出の意味も無いような記述の連続であるわけですが、地図と
首っ引きで、ルートを解明して行く作業にはある種のスリルがありました。

説経正本集第3を読み終えましたので、まとめておきましょう。

説経正本集第3

32 鎌田兵衛正清 (天満八太夫) シリーズ16

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130116

33 鎌田兵衛政清(佐渡七太夫豊孝)

34 しだの小太郎(鱗形屋絵入り本) シリーズ17

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130207

35 しだの小太郎(佐渡七太夫豊孝)

36 すみだ川(鱗形屋絵入り本) シリーズ18

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130304

37 ぼん天こく(ケンブリッジ大学絵入り本) シリーズ19

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130404

38 胸割阿弥陀(天満八太夫)

このテキストの直接の翻訳は掲載していませんが、シリーズ1において、約400年前の「阿弥

陀胸割」(国文研)を読んだのが、本シリーズの始まりでした。

版本を読解したhttp://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20111020

39 崙山上人之由来(天満八太夫) シリーズ20

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130511

40 毘沙門之御本地(天満八太夫) シリーズ21

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130525

41 天智天皇(天満重太夫) シリーズ22

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130608

42 伍大力菩薩(武蔵権太夫) シリーズ23

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130629

43 弘知上人(江戸孫三郎) シリーズ13(昨年に先読み)

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20120714

44 こあつもり (鱗形屋板) シリーズ24

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130715

45 中将姫御本地(鱗形屋板) シリーズ25

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20130715

46 ゆり若大じん(鱗形屋板) 

 第2集の27 ゆりわか大じん(日暮小太夫正本)シリーズ11で読んだので省略

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20120325

以上で、説経正本集第3を終了することにします。

尚、今後の「忘れ去られた物語」シリーズの正本を何にしていくかを現在検討中です。


猿八座 9月 公演予定 とよた総合文化フェスティバル

2013年08月05日 16時43分03秒 | お知らせ

第13回 とよた ストリーティング フェスティバル 2013に参加します。

今年の猿八座の演目は、「阿弥陀胸割」です。 

9月7日(土) 西中山 八柱神社 18:30より 

9月8日(日) 寺部  八幡宮   18:30より 

(会場は、高橋交流館に変更になりました。)

9月9日(月)午後7時からは、琉球Cafeてぃーだかんかんにおいて、「信太妻」を演じます。

詳しくは、http://www.toyomii.com/blog/teidakankan/?entry_id=1036361

をご覧下さい。

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猿八座 猿八公民館公演

2013年08月05日 16時08分36秒 | 公演記録

猿八とは、ご存知のこととは思いますが、座長の西橋八郎兵衛師匠がお住まいの土地です。
7月28日(日)本拠地の猿八で公演する機会がありました。佐渡島を舞台とする「山椒太夫」
鳴子曳きの段です。佐渡に伝わる文弥節を基調として作曲しているので、とにかく佐渡で語る
機会をいただけることは大変有り難いことです。

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佐渡も越後も例年に無く梅雨明けが遅れていましたが、雨間に、鹿の浦の安寿塚や、目洗い地
蔵に参詣してきました。安寿塚には、今秋、初公開する「山椒太夫」の信夫の里・直井の浦の段
を奉納して参りました。波の音が聞こえる所で、語ってみたかったのです。

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写真右側に安寿塚があります。