ひらかな盛衰記:頼朝に追討される木曾義仲とその一族や、源氏の譜代である梶原家一族のお話
つづき
大津宿屋
鎌田隼人と山吹御前・駒若・お筆は、落武者狩りから逃れる為、巡礼姿となって木曾へと向かう。
その道すがら、大津の清水屋に泊まります。隣合わせた船頭一家にも駒若と同年代の子供が
いました。旅に疲れて、大人は寝入ってしまいますが、子供同士は目を醒まして、遊びはじめて
しまいます。そんな所に、追っ手の番場の忠太が踏み込んで来ます。
笹引き
山吹御前達は、急いで逃げ出しますが、多勢に無勢。追い詰められて鎌田は討ち死に、若君
も取り上げられて、首を切り落されてしまいます。しかし、斬り殺された子供の死骸を良く見て
みると、駒若の着物ではありません。同宿の子供と取り違えたことに気が付くのでした。
しかし、余りのショックで、山吹御前は息絶えてしまいます。一人になっていまったお筆は、
死骸を葬ることもできず、辺りの笹を切り集めて、死骸を乗せ曳くのでした。お筆は、駒若を救出
するために、妹千鳥を頼ろうと考えます。
松右衛門内
船頭権四郎と娘は、取り違えた子供を、仕方無く連れ帰りました。そこが、婿松右衛門の家
です。きっと、取り違えた相手方が尋ねてくるだろうと、過ごしていると、お筆が、死んだ槌松
の笈摺を手がかりに尋ねて来ます。槌松が死んだことを聞いた権四郎は、駒若を殺そうと
しますが、婿の松右衛門が現れ、実は、この子は、主君義仲の遺児であり、自分は、樋口
次郎兼光であると、名乗るのでした。真相を知った権四郎は、槌松の菩提を弔うのでした。
逆櫓
松右衛門は、梶原から、逆櫓という操船法を伝授するように頼まれていましたが、これは、
松右衛門を四天王樋口と知っての計略でした。しかし、それを見破った樋口は、相手方の
船頭を叩き殺します。その頃、権四郎は、槌松は、松右衛門の本当の子供では無いと
訴え出ていたのでした。駒若を逃がすための機転でした。やがて、樋口は軍勢に取り囲まれ
ますが、若君の無事が分かると、大人しく畠山重忠の縄につくのでした。
畠山は、槌松を駒若と知っていましたが、見逃したのです。
辻法印
お筆が、妹千鳥の居所を占ってもらうために立ち寄った占い師は、辻法印という山伏であった。
お筆は、法印のデタラメな占いを聞いて、神崎(尼ヶ崎)の廓に向かう。
一方、勘当された梶原源太は、この辻法印の元で、再起のチャンスを窺っていたのだった。
義経一の谷出陣の情報を得た源太は、出陣の準備をしたいが、鎧兜は、神崎の傾城、梅が枝
(千鳥)に預けてある。それを取りに行くのに、紙子の風体では、上がれないと、金の工面に
一計を案じます。源太は、尼ヶ崎を回って、武蔵坊弁慶が兵糧を集めにくるので、辻法印の所に
もってくるように、言ってまわるのでした。しかし、本物の弁慶が来る訳がありません。無理矢理、
辻法印を俄弁慶に仕立てます。集まった百姓達は、怪しみますが、なんとか誤魔化して、切り抜けます。
神崎揚屋
源太と一緒に梶原の家を追われた千鳥は、神崎の傾城梅が枝となっていました。妹のお筆が、
尋ねて来て、久しぶりの対面となり、これまでの事の子細を互いに語り合い、敵討ちの話になります。
その後、今度は準備を調えた源太がやって来て、一ノ谷に出陣するから、鎧兜を受け取りに来た。
と告げますが、鎧兜は最初から身の代三百両に売っていたのでした。
それを聞いた源太は、切腹しようとしますが、千鳥は、三百両ぐらい直ぐになんとかなると言って、
ひとまず、源太を帰すのでした。千鳥には身請けの話が来ていたので、その客を殺して、三百両
奪おうと思い詰めるのでした。手水鉢を無間の鐘になぞらえて、つきかけますが、その時、
三百両が、二階からばらばらと降って来るのでした。
身請けをしようとしていたのは、源太の母、延寿だったのでした。
奥座敷
産衣(うぶぎぬ)の鎧を取り戻した千鳥が戻ると、やがて、源太も戻ってきました。直ぐに出陣
という所に、敵討ちをしようと妹お筆がやってきて、梶原源太の父親平三が、親の敵だと
告げるのでした。おろおろする千鳥をよそに、お筆が源太に斬り掛かります。出陣の時刻が迫ります。
その時、鏃の無い矢が飛んできて、お筆と千鳥に当たります。射たのは、源太の母延寿でした。
延寿が、切々と事の次第を語り聞かせ、お筆を慰撫するのでした。そうして、源太は、宇治川
での汚名をそそぐため、一ノ谷へと出陣して行くのでした。
生田の森
梶原源太景季は、生田の森で、平家方の菊池の陣を撃破して、父の勘当を許されのでした。
大切り
一ノ谷で勝利した義経の御前には、義仲の四天王、樋口の次郎、お染千鳥姉妹、船頭権四郎
に抱かれた駒若らが出頭しています。義経は、樋口の忠臣の心に感心して、助命し、自らの
子供を犠牲にして、主君の子供を助けた権四郎も許されます。
この裁定に異を唱えたのは、梶原平三景時でした。平三は、射手明神でのことを根に持って
いたのです。頼朝の判断も聞かずに、大将顔に勝手な裁定するなと、詰め寄ります。
源太は父を押さえますが、次男平次が義経に飛び掛かります。すかさず、樋口が飛んで出て
平次を投げ飛ばし、番場の忠太を押さえ付けると、姉妹に親の敵を討たせます。さらに、
樋口は、平次の首を落とすと、自害して果てるのでした。
潔い忠義の最期に感激し、義経一行は凱陣するのでした。
おわり
ついでにとは言え、
下手な粗筋を書きました。
古浄瑠璃に比べると新しい浄瑠璃なので、
大変、複雑です。