多治見・中津川間 晩秋の武並
昭和42年11月5日、晩秋の武並・恵那間で撮影。
下り貨物の武並発車で目覚めてから1年後、前回6月の現地状況と地図を参考に編成全体が撮れる場所を模索した。
国道19号線の土手から撮ることに決めて現地に向かった。一眼レフカメラに少し慣れてきた頃である。
千種から松本行普通列車に乗って武並到着10:17。小雨が降っていたが、D51の煙の撮影には好都合である。
DD51牽引の列車であるが、多治見からD51の後補機が付いていた。下車して急ぎ列車の後を追った。
D51の後補機付きの下り松本行827レ 武並を発車
槙ヶ根の峠に向かって歩を進めた。日本の原風景のような眺めのなか、下り急行が峠に向かう。
キハ58系下り急行第2"しなの"
恵那で急行と交換した上り貨物列車が坂を転げるようにして通過していく。
D51牽引の上り貨物652レ
後補機のD51 武並方面を望む
撮影目的の下り貨物653レは、上り貨物、急行と交換のため武並で10分間停車する。
歩いているうちに既に到着した列車が見えて、急いで国道に向かい薄を掻き分けながら土手を登った。
雨は止んだが、辺り一面は薄暗く霞み、遠景撮影には条件が悪化した。上り急行が11:05定刻通り武並を通過していく。
キハ58系上り急行第1"しなの"
停車中の本務機の長笛が響き、補機も負けない長い合図で応える。山に汽笛がこだまして2機のD51から黒煙が上がった。
ドラフト音を響き渡らせて25‰勾配をゆっくり、ゆっくり登ってくる。至福の時間である。
D51牽引の下り貨物653レ 遠く武並発車時の黒煙が残る
土岐川の最後の橋梁を渡る頃、本務機の煙は白く変わり完全燃焼で通過していく。気に入った写真が撮れた。
天候のせいもあり、物寂しさを感じさせられる風景であった。
本務機が林に姿を消して貨車が1両、また1両と目の前を通過。後補機が素晴らしい煙とドラフト音で押し上げていく。
満足して土手を下り、武並駅に戻って下り旅客列車の発車を待つ。
機番は不明であるが、当時の中津川機関区で重油併燃装置、集煙装置取付けは245と249の2機でいずれかの牽引。
D51牽引の下り中津川行621レ 武並発車
1967.11 武並・恵那
武並停車中の上り旅客列車。左手奥から中央に見える遠方の土手が国道19号線で、今回目指した撮影場所である。
この後、下り列車に乗って恵那・美乃坂本間の峠に向かった。
D51牽引の上り松本発名古屋行826レ 武並停車中
発車 この先は下り勾配が続く
1967.11 武並駅