上川隆也さんが白髪の復讐鬼と化す「INOUEKABUKI SHOCHIKU-MIX 蛮幽鬼」を見てきました。
面白かった!
SHIROHを彷彿とさせる場面も何ヶ所か…
上川さんだし…どうしても四郎さま!っと思ってしまうところがありました(笑)
いのうえ歌舞伎としては「朧の森にすむ鬼」以来2年ぶり、ということで、中島かずきさんの脚本でたっぷり劇団新感線の活劇を味わえて幸せでした。
やっぱ、新感線はこれだね!って感じ。
というか、私の好きな新感線と言うべきか。
まだ、始まって1週間もたってないので、ネタばれしたくない方はお気をつけください。
ストーリーは「岩窟王」をベースにした復讐劇。
「モンテクリスト伯」ではなく、あくまでも「岩窟王」のイメージです。
しかし、「岩窟王」ってよくぞこのタイトルにしたよね、って感じ。正に言いえて妙。
上川さんの伊達土門、後の飛頭蛮、監獄島に囚われて復讐の鬼と化していくのが迫力あります。
蓬莱国に帰国してからは蛮真教の教祖として復讐の機会を狙うわけですが、布教活動しているところとか、四郎様を思い出しました。
後半、ロングの白髪、黒い衣装で立ち回るところとか、まるでトート閣下が刀持ってるみたいで…(爆)
ええ。それはすごく、カッコよかったですとも!
で、復讐の殺気迫る気迫が凄い割には、その復讐があっけなく終わってしまう感じなのが、ちょっと肩透かし的な気が。
脚本、もう少し書き込んで欲しかったかも。
でも、上川さんの演技の迫力には圧倒されました。
あと、歌の場面があって、上手くなってたように思いますが、錯覚?(爆)
もっとミュージカル出てくれないかなあ…
上川さんと最後対決することになる「サジと名乗る男」「ローランの悪魔」が堺雅人さん。
いつもニコニコ笑顔のお助けマン、でもちょっと訳あり的ないい役どころ。
顔はいい人、心は悪魔、といった感じで、その二面性が見所ですね。
お芝居の雰囲気は上手いんだけど、殺陣がいまひとつな気がしました。残念~
人を殺すマシン的なキレのいい、凄みのある殺陣になれば、ニコニコ仮面との対比が凄くなって見てるほうもゾッとすると思うんだけど。
まだ、初日明けてすぐだし、今後に期待でしょうか。
殺陣、頑張ってたけど、ますます頑張って欲しいです。
美古都役の稲森いずみさん。
美しい。。。正に眼福。
最初はちょっと不安な感じもしたけど、1幕後半あたりからは迫力でした。
五月女太一さん。
若い(なんと18歳!)けど、さすがに舞台経験半端じゃない、って感じで、凄くよかったです。
殺陣が、美しい。
重量感を感じさせない殺陣。身の軽さ、しなやかさがあって、見惚れてしまいました。
牛若丸とかやったらさぞいいんじゃないかなあ。
台詞の言い回しとか、間もしっくりと嵌まっていてよかったです。
他の客演の方たち、山本圭哉さん、山本亨さん、千葉哲也さん、それぞれアクのある役で、良かったです。
山本圭哉さんはちょっとなるしーさんっぽい。
団員の方たちも相変わらずツボに嵌まった演技で、楽しませていただきました。
全体的には、前にも書いたけれど、復讐があっけなく終わってしまうのが少し残念な気がするし、上川さんの存在感がずば抜けているので、ちょっとバランスが悪いかな、とも思いますが、でも、ワクワク、ドキドキの冒険活劇の世界を楽しめました。
あと、舞台転換の関係か、映像での説明が多い気がしたかなあ。
でも、まだまだ公演期間があるし、もっともっと良くなっていくんでしょうね。
ほんとはもっと観たいが、チケット取ってない(涙)
ところで、パンフレットで「豊崎由美が選ぶ復讐譚ならこの本だ」が凄く面白かったです。
「白髪鬼」って凄そう…
それも「岩窟王」を翻訳した黒岩涙香と言う人の翻訳だそうです。
凄い!
上川さんの白髪も「白髪鬼」を意識してのことかなあ。
あと、上川さんの紹介文が香川照之さんでした。
そうか、「巧妙ヵ辻」で一緒だったんですね。
ちょっと嬉しかった。