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先の夏コミ(C88)にて、同人活動を無期限休止といたしました。
18年間ありがとうございました。
復帰時期はまだ未定です。
詳細は以下記事をご参照下さい。
http://blog.goo.ne.jp/yellow_comet_ap1/e/0a20e26867d7e06cc61853311e1941e0
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だいぶ前になりますが、レンタカーでゴルフ6を借りる機会がありました。
ゴルフはどの世代も必ず競合他社の「お手本」になっているクルマです。
そしてお手本であり続ける…他に負けないものであり続けているということです。
そういう意味では世界最高のクルマであるといって良いと思います。
そういう話を良く聞くのですが、実はその完成度の高さなどはわかるにしても
あまり「これこれこうだから良いのだ」
「これが理由でお手本になっているのだ」って話は聞きません。
いまいち理由が分かんないよう…と。
という訳で、自分なりにいろいろ考えながら…
丸二日間、高速道路から一般路、ワインディングまで走り回ってみました。
へなちょこの自分の私見ですので、ご参考程度に…。
借りたクルマは1200TSIブルーモーションで、素のグレードだと思います。
初日は朝から高速で北関東へ。
そこから一般道でいろいろ走り回り、
翌日は郊外のワインディングなどメインに走ったあとに、高速利用の帰還で締めです。
簡単に結論から言えば、「お金と手間をきちんとかけたクルマ」だったと思います。
先ず乗り出しから。
ゴルフ6は幅でいえば小さいクルマとはいいにくいです。1790mmだかありますので。
ただ、その大きさは感じにくいです。
確かに隘路に入れば大きさを感じますが、普段の道では大きさによるネガは感じないと思います。
自分なりに大きさを感じないというのはサイズの認識がきちんとできるという意味なのですが、
各部の剛性とか位置決めがきっちりしているからだと思います。
個人的には例えるのなら棒で物を押したりすることに似ていると思っています。
小さいクルマの扱いやすさや分かりやすさは短い棒みたいなものです。
短い…そうですね、ペンなどで消しゴムを押す感じです。
きっと簡単に押せるだろうし、その操作も簡単につかめると思います。
でもそのペンが細い串になったらどうでしょう?
たぶん細かく当てる所を探れるでしょうけど、簡単にずれやすくもなって、難しくなるとも思います。
手ごたえや感触もシビアな方向に行くと思います。
軸がさらに細くてへろへろになったらどうでしょう?
たわんで曲がって、力が伝わってるのか逃げてるのか分からないし、いつ入るのかも分からない。
すごく扱いにくいと思います。
先端を広げても、やはり伝わり方が一定せず、かなり扱いにくく、
近くにあるのに遠くにあるみたいに感じるかもしれません。
逆にその太さのままペンを伸ばしたらどうなるか。
伸びれば伸びるほどたわみや曲がりが大きくなり、それ自体の重量も重なって
先端を上手く意のままに動かすのは難しくなってくると思います。
限りなく軽く丈夫な棒であれば、それらは軽減されますが、
小さな動きも先端では増幅され、丁寧な動きは難しくなると思います。
大きくなればなるほどゲインの設定が難しくなるんだと思います。
ちょっと話が離れたんですが、良いとされる…と言うか乗りやすいとされるクルマの多くは
このゲインの設定が巧みなんだと思います。
そしてこのゴルフもその設定が巧みなんだと思います。
車体やサスペンションの剛性が高いのも、位置決めがしっかりしているのも、
これらのゲインが安定するように…とのことだと思います。
剛性は数値を誇ったりするものじゃなくて、その目的のために要るものであって、
言われて見れば当然の事のように思えても、国産なんかは、その数字を誇るのか
最低限でいいと軽んじるかのどちらかで、
このゴルフのような考え方にはなかなか達していないと思いました。
車体を細かく見ましたが、パネルの継ぎ目のボンドなどでの補強もすさまじいし、
サスペンションのアッパーなども遠慮なくガッチリ作ってあるようです。
ドアなんかもすごい立て付けで作ってあるように思いました。
締まる音もそうだけど、動かした時のしっかり感もすさまじいです。
サスアームも太いし、ジョイントもしっかりしています。
そしてアームも極力水平になるように工夫しているようです。
剛性と位置決め。
数値的目標性能的にこれで十分だ…じゃなくて、
乗った人が感覚性能できちんと剛性をゲインの安定性として実感できるレベルまで
きちんと高めてあるんだと思います。
そしてただ剛性を上げるんじゃなくて、単純かつ明快なものとして
シンプルな設計をしているのだろうと思います。
大きくクルマの見た目を変える事が無いのは、そういった設計合理性を受け継ぐからで
逆に言えばそれぐらい基本の機械設計に忠実な姿勢の表れなんじゃないかと思いました。
この辺は予想ですが…(^^;)
まぁ話はそれましたが、とにかくしっかりしたクルマで1790mmの幅があるにしては
異常に取り回しのしやすいクルマでした。
乗ると小さくなるクルマです。
運転席からの視界がいいからってのもあるかとは思いますが、
逆に個人的にはボンネット先端の見切りがいいクルマとは思えず、
ボンネットはあまり見えないクルマなので、
視界要件で取り回しが良いわけではないかと思っております。
サスペンションは硬くはなく、柔らかいですがダンパーがほどよく効いててイイ感じです。
高速道路なんかはすごいフラットで、ドイツ車…ってイメージどおりの快適さです。
レーンチェンジなんかも快適で、たぶん文句を言われることはないでしょう。
峠のようなところですと、柔らかすぎるかと思いましたが、
ロールが極端に深くならないようなセッティングのようで、安心感がありました。
峠マシンじゃないからめっちゃ速いというわけじゃないけど、
気持ちよく楽しく走れてしまうのには驚きました。
あとタイヤも良かったんでしょうね。
ミシュランのグリーンタイヤを履いてましたが、非常に乗りやすく心地良いものでした。
そんなわけで第二点である「つくりのよさ」を挙げたく思います。
剛性感たっぷりの走り味だけじゃなく、ダンパーもタイヤも良いのをつけてるんだなぁと。
国産なんかだと純正装着のタイヤなどがあまり満足度が高くない場合もありますが、
これは変えるのが勿体無いくらいだなぁと。
さっきのボディの作りもありますが、
細かなワイヤーやリンク類もしっかりしたものが付いてますし、
遮熱シールドなども社外品のような立派なものが付いてます。
(日本車などは不織布みたいなものですし)
ドア周りにも全部シールが付いてます。
乗ってると驚異的に静かですが、そのこだわりはすごいと思います。
バッテリーもドイツ製ですし、なによりその積み方が凝ってます。
きちんと断熱シールドにくるんであるのです。
これにはビックリしました。
生産国にもよるのでしょうけれど、この辺りを見た時に、
コストの高さが気になりました。
その日の夜に調べてみたんですけれど、VWの利益率というのは極めて低く、
極めて悪いとされるホンダでも5%前後で他社も6~7%くらい。
高いとされるトヨタやスバルは14%らしいのですが、
VWの利益率はとても低く、このクルマを作った当時は何と2.9%だったそうで。
単体としては危機的な数字で、グループとしてはアウディの数字で補っているのだとか。
もちろんちょっとデータも荒いし、今挙げた数字の正確さは自分でも疑問です(笑)
でも参考にはなるかと。
今は改善して4~5%だそうですが、それでも高いわけではありません。
MQBなどの合理化策も入れているそうですが、
それを入れたゴルフ7は性能も装備も向上させつつ価格はさらに下げたそうなので、
基本的に「いいものにこだわりたい」という思想があるのかもしれません。
もちろんドイツ生産という高賃金もあるのでしょうけれど、
その品質へのこだわりもあるのだろうと思います。
当たり前のことを当たり前にする。
誰もが当然だと思いつつ、自分の都合や見栄でできないことを徹底してやる。
ゴルフが長年にわたって各社のお手本であったのは、
出来上がった製品そのものではなく、その思想が生むものであったのだろうと思います。
数字や寸法や効率では、それらをいくら追ってもこれには追いつけないだろうとも思います。
お手本にすべきはその思想であり、作りこみだからです。
でもそれをするということは、企業として極めて危険な高コストの世界にはいることを意味します。
それは危険でできない。
ゴルフは見た目は普通の乗用車ですが、とんでもない極限領域のクルマでもあると思います。
たぶん理屈では分からなくても、その良さは多くの人に通じると思います。
美味しさの理由は分からなくても、美味しいことだけはわかるのと同じで、
乗れば良さが分かるし、走る姿を見ればそれが良いものである事は
好みが合う多くの人に通じるはず。
だからその利益率でも何とかやっていけるだけの生産ができているのだとも思います。
ある意味奇跡のクルマでもあるかと思います。
見た目は地味です。
内装もシンプルです。
でも乗れば、逆にそれらが奥ゆかしさや凄みにも感じられるのは面白いことです。
滑らかな外観ですが、たぶん空力的にも安定した形なんだろうと思います。
足があれだけ柔らかいのに高速度でビターッと安定するのはヴィッツも同じですが、
こちらも全く同じなのかもしれません。
かなりの速度まで出してみましたが、不安感はありません。
むしろ安定感に驚嘆するだけです。
自分が見つけた唯一の遊びはヘッドライトの中のマークだけでしたが(^^;)
あと参考までに私見を述べておけば、メーターのデザインも良かったです。
夜間の点灯時の落ち着きかつスポーティーな雰囲気は良かったです。
あと毎回言われるDSG。
デュアルクラッチトランスミッションです。
いろいろ言われるけれど、いまいち本質というか、良さが分からなかったDSG。
変速の速さやショックの少なさ、シームレスさを伝えているけど、
どれが本質なのか…と。
一番の良さは、先ずはそのプログラムだったかと思います。
構造的なシームレスさや速さではなくて、
シフトチェンジのタイミングやギヤのホールドの仕方。
そういうのの組み立てがすごく良かったです。
アクセルを入れたときのギアの落とし方もいいし、
その電光石火の連携も見事でした。
ゆったり踏んだ時のホールドや、エンジンのトルクをグーッと生かす感じも良かったです。
これを作った人間はきっと運転が好きで、いろいろ考えている人なんだろうと思います。
たぶんVWだったらデュアルクラッチじゃなくてもこのフィールを持ったものを
作るんだろうと思います。
構造的なものを言うのなら、クラッチとギアというMT車と同じ構造だからこその
アクセルにきちんと直結したドライブフィールですね。
これはMT車好きが唯一心許せる自動シフトだと思います。
1200のTSIエンジンも極低速での微小アクセルでなければもたつきは感じることなく、
太いトルクをきちんと出してくれます。
だから音が聞こえてこなくても、エンジンの主張は思い切り感じる事ができました。
7段という細かいギアをすごく適切に組み替えて、エンジンのパワーを思い切り生かして、
そうやって得られる走りはメーカー公称の1800cc相当ではなくて、
個人的には2000cc相当といっていいものだったかと思います。
1200ccでも高速をグイグイ気持ちよく走っていく…。
しかも素晴らしい身のこなしで。
これはクルマがスキだったらたまらないと思います。
長くなったので結論をまとめるのならば、
・きちんと手間とコストを惜しみなくかけた、真面目な設計とクルマ作り。
・クルマの運転が好きな人なら絶対に分かるエンジンやサスペンションのセッティング
当たり前を当たり前にこなす真面目さこそが魅力であり、
合理性を突き抜けていくほどの合理性が魅力でした。
変な例えですが、カメラみたいな精密機械が好きな人には
100%突き刺さると思います。
最後に数少ない欠点を挙げるとするのならば。
ある意味究極のバランス型のクルマ作りなので、日本車的なセールスポイントや
イタフラ的な一点豪華的な華やかさを求める人には分かりにくいこと。
あとDSGは故障が多くても仕方がないとも思いました。
あれだけ細かくきちんとギアチェンジをするからこそのパフォーマンスです。
手入れが要るのは仕方が無いし、それにコストがかかるのも仕方がない気もします。
自分が乗ってても一日走り回ると少し音とかしゃくりは出ました。
不動にならなければ良しとするのが正なのかもしれません。
そして合理性を求める人で、余り経験の無い人がこれに乗ってしまうと
クルマの世界というのはここに突き抜けたと早合点してしまう可能性があることです。
このクルマだってもっと突き詰めていけるところはあるわけで、
個人の色を出したり個人の好みをもっと語ってもいいのですが、
あまりのこのクルマの説得力に、思考停止してしまう可能性があります。
VWの思想と出来上がって手にしたものに圧倒されてしまって、
これを自分の思想にすりかえ、理想としてしまうだろうと。
若い時の自分なんかがこれに乗ったら圧倒されてしまっただろう。
素直にそう思いました。
シンプルなクルマに見えるけれど、実は猛烈に強烈な個性を持っているとも思います。
でもそのくらいよく出来たクルマだと思ったし、
自分自身には非常にいいクルマでした。
2日間楽しかったです。それに感動しました。
自分のクルマが古くなって乗れなくなって…、
またお世話になっている猫ガレージさんが店をたたむ日がやって来て、
クルマを変える日がきたら…。
今あるクルマで選ぶのならゴルフにしようと思いました。
1200でも十分ですが、1400TSIなら文句は絶対でないでしょう。
色は銀がいいな。
ホイール変えて、いくらか趣味を出して…。
マフラーもうるさくなくていいですが、センター出しがいいかな…と。
シートもコース走るならリクバケにして、パッドも好みにして。
脚も不足だったらGTIのにすればいいし。
きっとFMCを何度しても、VWなら必ずいいクルマが買えるかなとも思います。
クルマを代替するときは必ずゴルフを検討するでしょう。
そんな風に思えるいいクルマでした。
いい経験ができたと思いますです。
拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました…。
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