12345・・・無限大  一粒の砂

「一粒の砂」の、たわごと。
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経営者もいろいろ。最終回

2010年04月28日 06時26分57秒 | Weblog

 今回で最終回である。地元の新聞、中日新聞の「新技術へ守りの投資 樹研工業・松浦元男社長 2009年7月2日」より引用する。

小泉政権の少し前くらいから、大企業ではアメリカ式経営手法が蔓延してしまったが、日本の中小企業には現在でも松浦氏のような経営者がまだ残っているように小生には思えてならないのである。

十分な内部留保と至極円満な労使関係の維持という実に日本的な経営形態は大きく破壊されたのだがそれでもこんな企業が日本に残っているのは心強いことである。  

3.中日新聞記事より
中学卒業して、1人で豊橋に来ましてね。3年間働きながら学校に通って進学の話になってですね。(アルバイトしていた)駅前の書店でね、今は会長、当時常務さんに大学進学を勧められて。「おれが金貸してやる。だから行け」と。 その時、(常務には)僕が一体どこの誰だか分からないわけですよ。単なるアルバイトですから。

人間を信じるということがいかに大事なことか。もしその時、信じるということを教えられていなければ、人を疑ったりチェックしたり、ひょっとしたらうちの会社も難しい入社試験をやったり、そういう人間になっていたかもしれないですよね。

 (会社を)大きくする気はありません。大体30億弱なんです。年商で。ところが昨年9月からがた冷えで。平均したら、売り上げ半分ですね。 今ね、売り上げが半分しかないということを会社の人はみんな知ってますよ。

でも、心配そうな顔で会社に来る人は1人もいない。それが大事なんです。私が社員に提供できるものというのは、ほんとわずかな「安心」です。毎月ちゃんと給料もらえるよ、首にはならないよと。これなんですよ。

 調子のいい時に守りを固めるということなんです。守備を固める、というのはお金を貯(た)めることではなく、技術を貯めるんですよ。

 17歳ぐらいから26歳までバンドマンやってて、そん中で生き残れるのは技術。技のすごいやつが生き残るんですよ。技のいいのは何かというと、いい楽器を持っていないと駄目なんです。

 つまり、設備投資をちゃんとしないといい技は出てこない。だから設備は最高の設備を入れている。で、トレーニングをちゃんとしようと。これはバンドマンの時に教えられたことですね。

 そういうことをやって社員が安心して定着してくれて、勤続年数が長い社員がそろって。つまり帰属意識が高まってくると初めて、先端技術の開発が可能になるんです。

 先端技術は投資もお金もたくさんいります。稼がない期間もたくさんあるから、帰属意識が高い社員でないとできないんです。そのためには安心して働ける環境。そうしないと新技術は生まれてきません。

 【まつうら・もとお】 愛知大法経学部卒。愛知県豊橋市の化学メーカーに勤めた後、65年に同市で樹研工業を設立。

自動車や腕時計、家電向けなど各種プラスチック製精密部品の製造で定評があり、02年に100万分の1グラムの歯車を開発して話題に。

社員数76人、平均年齢40歳。新卒者の採用は先着順、定年なしというユニークな人事制度でも知られる。74歳。名古屋市東区出身。