今回の出し物は「源氏物語梅枝(32帖)、六条院薫き物合わせ」で、世界でも類を見ない香を介してのコミュニケーション(短歌)のやりとりと、多様な和楽器を駆使してのきらびやかな管弦の宴の場面を演出していた。
宮廷衣装に身を固め、身じろぎもせぬ静寂の一方で、動きは緩慢だが内実は激しい感情の起伏が浮き彫りにされ、源氏物語で繰り広げられるロマンへ親しみやすさと骨太い理解を導いてくれている。光源氏を取り巻く華やかな女君(をんなぎみ)たちの中でも極く身近な、明石の女御(箏(そう))、女三の宮(琴)、紫の上(和琴(わごん))、 明石の上(琵琶)による合奏が圧巻だった。篠笛と能管、小鼓と薩摩琵琶、箏の息詰まるオーケストラにき込まれながら、平安時代はもしかして人々は香を焚きながら、のんびりと暮らしていたんかな、思っちゃう。最後に鬼太鼓座の特別出演も加わり最高潮の中で幕が下りた。毎朝10㎏もマラソンをし、集中力を欠かさない、力強い男たちの太鼓の音には㎞の道を歩みながら、腹の底からしびれさせていただいた。この音がブラジルでも鳴り響き、日本移民が父祖の地を慕う心情に大きく重ね合って共鳴していたと、私は聞いていた。。
何かとせわしい毎日の暮らしの中で、ぽかっと美しい時間と空間をを贈呈していただいた感がある。
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