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ノトスクール 親子で楽しむ演劇
『にせ桃太郎』
昨年、プレ公演を観たことがあった。
今回は、観劇前の
子ども向けワークショップに
三女が参加。
ワークショップは、
簡単なストレッチや
楽しいゲーム的なもの。
舞台裏へ行って、
キャストや小道具などを見たり、
劇中に出てくる歌を
一緒に歌って覚えたり。
ノトススタジオが初めての子も
のびのび参加されていた。
その後いったんロビーへ。開場待ち。
折り紙&お絵かきコーナーや
桃太郎の登場人物に変身できる
グッズコーナーもあり、
あっという間だった。
そして開演。
行きたくないのに、
鬼ヶ島へ鬼退治しに行くことになった桃太郎。
イヌ、サルと。キジはどこかへ、
姿が見えない。
子どもたちなら、何を連れていく?
問いかけに色々な答え。
客席が盛り上がる。
舞台は、
中央が花道のように突き出していて
登場人物がそこを行き来している。
低いので、さくっと降りたり
客席とのやり取りも近い感じ。
うちの娘は、こういうのは
恥ずかしがって全然だけど、
近くの子どもは色々答えていた。
おなじみの桃太郎の物語だけど
ちょっと様子が違う。
鬼は悪いやつなのか?
人間も鬼を襲ってるらしい?
でも誰も自分で見たことがない。
人の話。うわさ。なのに疑わない。
行かなきゃいいよねと思う。でも
村からお金をもらっている桃太郎。
じーちゃんばーちゃんは高齢で
施設に入るお金でもあるらしく。
要は、後に引けない状況。
大人的には
他人事に思えない共感も(笑)。
その上、困ったことに
どうも桃太郎の鬼ヶ島行きには
ちょっとした村側の思惑があるようで…。
行っちゃダメじゃん!!
観客も、どうしよう…と迷ってしまう。
誰とも戦いたくない。
きっと観ている誰もが同じ思い。
でも、鬼ヶ島へ行かなければ
じーちゃんばーちゃんが困るし
行けば桃太郎たちが大変なことになる。
でもこのままじゃ
いい鬼も退治されてしまいかねない。
現状を教えてあげたいのに。
八方塞がりだ…。
子どもたちは、
どこまでこの状況を理解しているのか。
それは、年齢にもよるし
その時の会場で、どんな言葉が出て
それぞれが どう考えたかにもよる。
(武力で)戦いたくない
という前提はあっても、
現実として2択を迫られた時、
どちらかを選ばなければいけない時。
何が選択の決め手になるのか。
色々な意見が出た時と
限られた意見だけの時と、
(おおかたそんなことはないけれど)
片寄った意見が全体を占めた時。
それらは
集団を大きく動かすのではないか。
そんなことが頭をよぎった。
その時、自分は。
子どもにはどう伝えればいいのか。
結局その回は……
行かないことになった。
子どもも大人も含め客席全員の
拍手の大きさで決めるのだけど、
行く方にも拍手があって
少なくなかったのだ。
きっと、行って鬼との平和のために
何かせねば…という
思いもあったのだろう。
でも、今回、それを印象づける言葉は
多くなかったように思う。
だから、戦わない=行かない
という方向に動いたのかなと思った。
それはそれで自然な流れで
納得できたのだけど。
その選択の結末にも
困ったことがついてきた。
行かないことに腹をたてる
輩からの仕打ち。
見当違いなのに。納得いかない。
そもそも人間同士、
敵じゃないはずなのに
どうして仲間内でそんなことになるの。
戦うべき相手は外じゃなく
内側にいるのかもしれない。
そして、戦うということは
武力などの力であってはならない。
誰も幸せになれない。
年齢の大きな子なら
そのあたりを突っ込んで
話し合いたいなと思った。
もっと違う道、
違うやり方という点では、
三女も思うところがあったようだ。
結局どちらを選んでも
すっきりしない展開になることも
予想されたようだ。
だよね…と、しばし沈黙。
次の予定があったので
色々話す時間がなかったが、
三女のことなので何やら色々
突飛な展開を考えているようでもあった。
それこそ、物語の始まりのあたりから。
それも面白いなと思った。
色々な人が色々に考える『桃太郎』
きっと道は2択ではなく、
思いもよらない道が開けるかもしれない。
ほんの遊びでもいいから
気軽に自由にポンポン出し合えたら
単純に楽しいだろうなと思った。
やっぱり現実は深刻で、
世界を見渡すと
簡単に答えが出せそうにない
問題が山積みになっている。
大人は途方に暮れてしまう。
でも、もっとシンプルに
子どもの発想を大人も楽しむ機会を
持てたらいいなと思う。
すぐ、それは無理だからとか
バカなこと言ってないでとか
自分から可能性を捨てしまう。
無理でもバカでも一度想像して
わくわくしてみるのも悪くない。
三女が空想を語る、うきうきした口調や
キラキラした眼を見ていると
そんな気分になった。
きっと日常そのものの中では
時間や、やるべきことに追われて難しい。
こんな物語の世界を通してなら
そんなひとときを過ごせるのかなと思った。
みんなが幸せになるなんて夢物語
かもしれないけれど、
夢を語らなきゃ
現実にはならないだろうし。
ということで、
さんざん重いことを書いてきたけれど(笑)
単純に楽しむことができた!
拍手をしたり、歌ったり、
子どもと言葉を交わしたり。
それが心地よかった。
気負わずにまた、新たな桃太郎を
楽しむこともできそうだ。
………………………
おみやげに
折り紙でラッピングされた飴をもらった♪
ロビーの〔行く?行かない?〕入れる袋、
コスプレコーナーも楽しかった。
劇場入ってすぐの桃の形のライトには
びっくり。テンション上がった♪♪