丸亀市文化振興講演会VOL.10
11/23(土)
「千と千尋の神隠し」で考える
グローバル時代の私たちの行方
~文化による市民創造・
市民活動と居場所づくり~
講師
九州大学大学院 教授 安立清史 氏
「千と千尋の神隠し」
「となりのトトロ」
「銀河鉄道の夜」などの作品を通して、
面白いお話の中にも
私たちの直面している問題を
考えさせられる講演でした。
……………………………
「千と千尋の神隠し」では、
子どもが両親に連れられて
足を踏み入れた理不尽な異世界で
名前など、大切なものを奪われる。
そこからの脱出。
豚にされた両親はどれか?
答えを迫られる、チャンスは1回。
だけど、答えはない、という答え。
現実の世界に置き換えて考えてみる。
グローバルな世界に放り込まれ
全く違う価値観に翻弄され
自分のアイデンティティさえ
よく分からなくなる。
ひとつの正解を求められ
間違うことは許されない。
そんな状況と似ているかもしれない。
正解と解は違う。
色々な視点から見れば
解は色々変わってくるもの。
解は視点によって全部違う。
その中から何とか妥協する解もある。
しかし、
それだけでは済まないような
切羽詰まった状況に
なってきているのも確か。
色々な解がある、
その中で、正解を求めつつも
唯一の正解があると
決めつけない考え方は必要。
…………………………
○○という地域、ではなく
自分の住んでいる地元、という意識。
地域再生じゃなく、地元再生。
しかし、地元を好きになれない人
(特に若者)も結構多いとのこと。
生まれ育った場所が“ 地元 ”ではない。
そこで
生まれ育った人だからこそ
知らない、知りたくないことや
飲み込まれてしまっていることもある。
確かに。私もそう思うこともある。
この地で生まれ育った者として。
嫁として、それまでの苗字を変え
育った環境や価値観と
違う世界で生きる者として。
一度地元から自分を引き離してみる。
気持ちの上でも。
脱出して……戻ってくる……
分かることもある。
外からの視点を持つことも大切。
……………………
居場所作りの話より。
不思議な日常性が必要。
居心地がよい、愛着がある。
しかし、そこが生活の場所ではない。
ずっと居続ける場所ではない。
安心、ほっとできる、活性化できる
場所の力。
不思議な力を与えてくれる。
エネルギーを感じさせてくれる。
まったく新しい場所なのに落ち着く。
私たちは、
そういう場所を失っているのでは。
職場、学校から
すぐ帰らなければいけない。
経済活動、合理的な活動をする場所
だけでなく………
目的をすぐ教えてもらえるような場所
でもなく………
自分でじっくり考えさせてくれる
発見の場所が必要。
それが異世界でもある。
そういう場所としての
ハードも必要だけど
ソフト面も必要。
………………………
自分に置き換えて
考えることもできる内容だった。
現実の閉塞感から
違う世界への脱出。
そして、何かを見つけて
リフレッシュして戻る。
自分だけじゃなく、子どもも
他の色々な人にも
必要なことだと思った。
普段、意識はしている。心がけている。
大切さもわかっている。
けれどなかなか、
お金や時間や周囲の理解や
優先順位の問題もあって……
どんどん後回しになり、
いつか…が、いつのまにか
いつまでたっても…になってしまう。
そんなツケが溜まりに溜まって
自力で抜け出せないくらい
どっぷり浸かってしまって
いるのかも。
宮沢賢治の話にもあったけど。
個人の幸せ、みんなの幸せ、本当の幸せ……
難しい問題でもあったけど。
個人的には、
個人の幸せをなくして
みんなの幸せはないような気もしている。
自分だけ、じゃなく、
自分も、みんなも。
うまく乗っかっていけるような
やり方を見つけられたら。
それは到底一人では考えつかない。
だからこそ、お互いの力を
うまく出し合って両方お得になりたい。
もともと、自然の世界にも
そういうのがあったような。
今時の私たちには、
そういう本能は備わってない
かもしれないけれど、
多様な視点や考えがあれば
まだまだ出来ることはあるはず。
ざっくりですが、
講演を聴いての感想です!