海岸にて

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正規雇用と非正規雇用

2008-05-13 | 政治〈国内〉

   

中川昭一氏と宋文洲氏の『どうした、日本ー中川昭一と宋文洲の不愉快な対話』という本を読書中で、大変面白く読んでいます。

どうした、日本―中川昭一と宋文洲の不愉快な対話 どうした、日本―中川昭一と宋文洲の不愉快な対話
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2008-04-18
  

前半でまず「格差」についての話題があったので、以前非正規雇用経験のとき感じたことも含めて触れてみたいと思います。

  

いわゆる「格差」といわれているもの、正社員と非正社員の区別による「所得差」はひどい状態だと思う。派遣(派遣会社の仲介経由)や契約社員(一年契約が多い?)パート(労働時間が短い)やアルバイト(これは便利な言葉で、短時間短期労働から正社員と同等の労働まで幅が広いと思う)などの「非正規雇用」を、多様な働き方と肯定的に見ることも一面では正しいと思う。しかし、今になって思えば、非正規雇用形態の存在と拡大を考える時に最も重要なことは、この両者の「所得差」が、企業側の利益と労組員(正社員)の利益を確保するためのおそらく目的として生み出されたものであることだ、と私は思う。 (もっと大きな背景としては、いわゆるグローバル化という海外の安価な労働力が経済に組み込まれたことがあるのだろう。) そして、この両者の「差」によって、企業は利益を安堵し、労働組合組合員である正社員の所得と待遇はしっかりと安堵されたのである。この事情から正社員と非正社員の区別は、もともと、「格差」「身分差」という構造を内包している、と思う。

正社員と非正社員の区別(所得差)を作る最も大きな原因は、非正社員(派遣・アルバイト・パート)が時給計算であること、賞与や手当がほとんど(大多数は)ないこと、社会保険はあったりなかったり。契約は短期間(で更新)。昇給はほぼ望めない。これらの結果として、両者は所得にとんでもない差がついてしまう。というよりも、この格段の、待遇と所得差をつくることをあらかじめ目的としたその結果が「非正規雇用」であったといってもよいと思う。(例えば労働時間が正社員と同じ時間〈1日約7.5~8時間〉であったとしても、時給を単純計算すれば(時給に幅はあるだろうが) 所得は年収200万円前後程度になるのではないか?しかも昇給は望めない。) このような非正規雇用が全体の三割を超えたそうである。

この状態で、政府は移民庁を作って外国人労働者の規制緩和を図ろうとしているというニュースが流れている。現在の日本人非正規雇用者の行方(もしかすると正規雇用者への影響も?)はいったいどうなるのだろうか?

労組はここにきてやっと非正規雇用者を労組に加入させようとの方針を打ち出してきたそうで、春闘で経営側の態度を追及とのニュースを見た。これは一見表面的には真っ当な態度と見えるし、本当であるならば歓迎すべきことだろうと思う。(・・組合員拡大で組合費大幅増収のためかもしれないが?)

しかし、経営側に大声で「格差是正」を迫る労組自身も、正規雇用組合員の利益のみを追及することしか考えてこなかったことで、非正規雇用を産み拡大させていることに大きく加担しており、それを考えると、労組が非正規雇用を含めた労働者全体のことを考える気があるのかどうかは、まったく疑わしいことだと思う。

  

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