海岸にて

海が好き。時事ニュース・海外ドラマ 、日々徒然

福田首相の太平洋が「内海」になる日

2008-05-24 | 自民党
  

 ◆福田首相の演説「太平洋が『内海』となる日へ」の要旨は次の通り。

 アジアの行く末を太平洋というプリズムを通して考えたい。今から30年先、太平洋を「内海」とする国々がネットワークを形成しつつ発展するアジアの姿が思い描ける。キーワードは開放だ。日本自身が開かれた多様性に生きることを原点とし、無限の可能性を求めたい。

 ロシアが日本との関係を深くし、アジア、太平洋と結び合うと一段と成長の機会が出てくる。インドもアジアの未来を支える柱になる。経済連携を進め、域内分業や生産や流通のネットワークを考えるべきだ。

 5項目の約束をする。第一は共同体実現に向けたASEANの努力を支持する。ASEAN担当大使を置き、代表部も設ける。これからの30年を「アジア格差解消の30年」と宣言する。第二は日米同盟をアジア・太平洋地域の公共財として強化する。第三は日本は「平和協力国家」として汗をかく。アジアの緊急援助機関同士の「アジア防災・防疫ネットワーク」を築き、防災協力外交を追求する。第四は若者の交流に力を入れる。第五は気候変動と闘う。ポスト京都の枠組みに早く合意できるよう努力する。

 透明で民主的な法の支配に基づく統治の仕組みを確立できていないと社会の混乱を吸収できない。アジア・太平洋の国々が問題にぶつかった時、日本は経験を語り合える仲間のように思える国でありたい。海を媒介として一つのネットワークとなるアジア・太平洋で、そこに生きる人たちとの間に、心と心の信頼を通い合わせながら「共に歩む」絆(きずな)を作っていきたい。  

  〈記事から省かれた首相演説のうち官邸HPより中国に関する部分補足・一部抜粋

中国からは今月の初めになりますけども、胡錦濤国家主席がお見えになりました。わたくしとの間で戦略的な互恵関係を強めていくことと、そのため日中は「新しいスタートライン」に立つんだと、こういうことを確かめ合いました。日本と中国の関係が、初めてグローバルな視野を獲得したと、こう申し上げていいと思っております。

 中国という大国が安定して伸びていくことは、これは大変に大事なことでございます。そのため日本としても、できることを一緒に協力してまいりたい。これはアジアの未来のためにもやっていかないといけない、そのように考えています。

http://www.kantei.go.jp/jp/hukudaspeech/2008/05/22speech.html

 

 

中国、露骨な野心 「太平洋分割管理」提案
2008.3.12 23:05   (一部抜粋)

 【ワシントン=山本秀也】米太平洋軍(司令部ホノルル)のキーティング司令官(海軍大将)は11日、昨年5月に中国を訪問した際、会談した中国海軍幹部から、ハワイを基点として米中が太平洋の東西を「分割管理」する構想を提案されたことを明らかにした。上院軍事委員会の公聴会で証言した。同司令官はこの「戦略構想」について、「中国は影響が及ぶ範囲の拡大を欲している」として警戒感を示した。

 キーティング司令官によると、この海軍幹部は、「われわれ(中国)が航空母艦を保有した場合」として、ハワイ以東を米国が、ハワイ以西を中国が管理することで、「合意を図れないか」と打診したという。

 http://sankei.jp.msn.com/world/america/080312/amr0803122304014-n1.htm

 

 

  

上の記事の、福田首相の「太平洋を内海に」という外交演説を読んでいて、違和感がじわじわと這い上がってくるのはどうしてかと思っていたところ、つい二か月前の記事『中国、露骨な野心 「太平洋分割管理」提案という記事を思い出した。

昨年五月に中国がアメリカ太平洋軍司令官と会談した際、中国海軍幹部から「ハワイを基点として米中が太平洋の東西を「分割管理」する構想を提案されたことを明らかにした。」そして、「われわれ(中国)が航空母艦を保有した場合」として、ハワイ以東を米国が、ハワイ以西を中国が管理することで、「合意を図れないか」と打診したという。」ということである。

  

福田首相演説の「第二は日米同盟をアジア・太平洋地域の公共財として強化するについて、首相は、日本が何か特別な力でも持っていると誤解しているのではないだろうか。安全保障を日米同盟に頼っている日本が、「日米同盟をアジア・太平洋地域の公共財として強化する。」などと言える立場だろうか。中国は軍拡を推し進めており、「日米同盟を強化」すれば中国はどう考えるのか、中国へのその配慮の結果、それで日米同盟は「公共財」ということなのか?公共財? 中国に太平洋分割統治という野心があるならば、万一、米中間で話が決まれば、「太平洋(内海)西部」にある日本は中国管理下となることもも想定しておかねばならない。

また、首相は「キーワードは開放だ。日本自身が開かれた多様性に生きることを原点とし」と述べている。中国に「開放」し(「解放」じゃないですよね・・)アジアに「開放」ですか・・。 

しかし、そのためには なによりも首相が結語部分で述べた「透明で民主的な法の支配に基づく統治の仕組みを確立できていないと社会の混乱を吸収できない。」  まずこのことこそ中国との関係において第一に掲げるべきではないのかと思う。共有できる土台づくりがなければ、構築するより先に混乱が広がることも考えられる。首相が今の日本にどれだけの力があると考えているのかはわからないが、首相提言の「アジアの格差解消の30年」の課題に、日本という国は持ちこたえられるのだろうか。

  

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