予算委員会で、共産党志位委員長が派遣労働者問題を取り上げ、派遣労働者の困窮について、企業側の立場を批判していた。お話の中の、全体の三割を超えたという派遣労働者をはじめとする非正規雇用者の困窮や、企業が違法にならないようなやり方で、労働者雇用を「操作」していること、そういう操作によって、言わば「行政の目をすり抜けている」ことも事実だろうと思う。委員長の話は、部分的には、正しいと思った。
しかし、である。雇用問題を語る志位委員長の話の中に、「非正規労働者」と「企業」と「行政」は登場しても、「正規労働者」と「労働組合」がまったく登場しないことに、たいへん違和感を感じた。 正規労働者と労働組合を、まるで「特別財源」であるかのように既得権益化したまま蚊帳の外において、非正規労働者問題を語ることは、(志位委員長にとっては、意にかなっているのもかもしれないが)この問題を考えるには不足であると思う。今の日本の経済と雇用問題において、正規労働者の団体組織である「労働組合」の存在は、大変大きな「既得権」と言える。
経済だけでなく、政治的にもそうであるかもしれない。中山元国交相の日教組批判の結果を見ても、社会保険庁年金問題と自治労と民主党の関係を見ても、企業や「公」の組織と癒着した「労働組合」が、後ろで深く関与している問題は多い。