#61(3-16) 「悲しき凶気」 With Tired Eyes, Tired Minds, Tired Souls, We Slept
ジミー・エドワーズが登校すると、ロッカーが荒らされていた。 チャリティコンサートの時に、ジミーを殴った連中。 ジミーは拳銃を取り出し、発砲した。ガラスが砕け散る。学校はパニック状態。生徒たちはバスで避難、警察によって学校は封鎖された。
ブルックは一緒にいたペイトンがいないことに気づく。 ネイサンはヘイリーがいないことに気づく。ルーカスとネイサンは学校に戻る。 コーチがブルックを避難バスに押し込んだ。ルーカスとネイサンは、二手に分かれてヘイリーたちを探すことにする。
ルーカスは図書館でうずくまっているペイトンを見つけた。ペイトンは足を負傷して動けないでいた。出血している。怯えきっている。
ネイサンが廊下でマウスと出会う。マウスだけは視聴覚室にいたため、この騒ぎを知らなかった。マウスはネイサンと一緒に、ヘイリー達を探すと言う。
学習室にいるのはヘイリー、レイチェル、スキルス、マーカス、アビーと、ジミー。銃を発砲したのがジミーだとは、まだみんな知らない。学習室の外は中庭で、そこから逃げることはできない。ネイサンとマウスが学習室まで来て、ドアの下から「免許証」を投げ込む。ヘイリーは外にいるのはネイサンだと確信するが、皆は、もしかすると犯人かもしれないと疑って、ドアを開けるのに反対する。ヘイリーが暗号として「永遠に」と言うと、「愛する」という言葉が帰って来た。
ドアを開けて、みんなでここを出ようとした時、ジミーが皆に銃を向けた。
マウスやスキルスが、ジミーに「こんなこと止めよう」と言うが、ジミーは「もう遅い」。 ヘイリーが携帯で警察に電話しようとして、ジミーに気づかれて取り上げられた。ジミーはその携帯に向かって、この学校に一人でも近づく者がいたら生徒を撃っていくからな、と言って携帯を投げ捨てた。ジミーはテープを貼らせて、皆を一か所に集め、銃を向けている。
ダン(市長)は「どうしたら子供が学校に銃を持ちこめるんだ」と警察にくってかかっている。警察が言うには、「理由もなく所持品を調べられない。生徒の権利を侵害することになる・・」「金属探知機の設置は市の教育委員会が反対した」「学校は安全だとアピールしたいんでしょう」とか。
ジミーはマウスに「・・お前、すっかり変わったな・・・」 レイチェルが「マウスは悪くないよ・・もうやめなよ。そうやって、何でも人に責任押し付けるの。みんな自分のせいでしょ」と言う。
ジミーは苛立っている。 「自分の胸に聞いてみろ。今まで誰かをくずみたいに扱ったことはないか?」 「気に要らなくなったからといって、簡単に人を捨てるような真似したことは?」「陰口たたいたことは?」・・「他にみじめな思いしている奴がほんとにいないと思うか」・・
レイチェルがジミーに「もういいかげん自首したら?・・・誰も撃っていないんでしょ?撃ったの?」と聞く。ジミー「わからない」 ヘイリー「・・あなた真面目だし、未成年だから・・」ネイサン「そうだ、案外罪に問われないかもしれない」と言う。 マーカスが「冗談だろ、学校で銃をぶっぱなしたんだぞ。・・こいつは俺を銃で脅したんだぞ。死刑だな」
アビー「何でそんなこと言うの?彼は子供だよ。私たちみんなまだ子供なの。あんたが言うことややることにものすごく傷つくんだよ。なんでそんな意地悪なことが言えるわけ?・・自分には関係ないみたいな顔して。関係なくないでしょ。なんでこうなるの。私たち、まだ子供なのにおかしいよ。こんなのありえない」・・
ジミー「・・顔を合わせば唾を吐かれて、廊下を歩く時は床だけ見ていた毎日だ。極めつけはこう。・・・親父は俺が足蹴にされるのを見て、息子が負け犬だって悟った。その時の親父の目がどんなだったかわかるか。あんな思いは二度としたくない。その時と同じ目をして親父は家を出ていったんだ・・・・」 「・・・お前に何がわかるんだよ・・・こんなに深い話をしたのはみんな高校になって初めてじゃないのか。・・・俺がこうして銃を持ってなきゃ、こんな話はできなかった・・・」
・・マウスが「MITは?行くんだろ」と聞く。ジミー「はねたれたよ。何でかわかるか。課外活動が足りないんだとさ・・・殴られるのに忙しくてそんな暇なかった・・」 ネイサン「だからって世界のおわりじゃないだろう」 マーカス「じゃこれは、大学に拒否られた腹いせなのか。人気者になれなかったから・・・」
ジミー「違う。もう何もかも疲れたんだ・・・」
体育館に避難している生徒たちを、親が迎えに来ているが、ブルックは親がこの街にいないので帰れない。 マスコミ記者がネットに流出したジミーのかぷせるビデオを見つけて、「特ダネよ。中継で流してくれる、生徒たちのコメント取るから。数字取れそう・・」と電話で話している。
そして、「生徒会長のブルック・デービィスに話を聞きます。ブルック、今回起きた悲劇についてどう思いますか?」 ブルック「恥を知りなさいよ」
記者がブルックのところに来て言う。「・・・みんなこの悲劇の原因を知りたがっているの。そこに踏み込む私が気に入らないんでしょうけど、これも仕事よ。そういうあなただって、この学校に入って、ジミー・エドワーズとまともに話したことある? 恥を知るべきなのは私だけじゃないんじゃない?」 ショックを受けているブルックに、「グレンダがいつもお世話になって。娘を見なかった?・・」と、同じクラスのグレンダ・ファレルのお母さんが話しかけてくる。 でもブルックは同じクラスのグレンダを知らなかった。彼女に、探してきますと言って外に出て、ブルックは泣いてしまう。
図書館。ペイトンは疲れている。眠っては駄目だ、話してくれよ、楽しかった日のこととルーカスが言う。ペイトン「雪が降ったよね・・小6の時・・・朝起きたら真っ白で、まるで別世界に連れてこられたみたいだった。・・・ブルックが家に遊びにきて・・雪の砦を作って、トンネルつきの。一日中その中にいたら、中にいるとすごく安心できた・・・・外の世界とかけ離れたところで時が止まったみたいだった。もう少し子どもでいられるような気がしたの。でもそのうち寒くなって」「・・・・今と同じ・・大人たちがやってくる。・・そう大人・・マスコミの人たちとか精神科医とかカウンセラーとか、いわゆる専門家ってよばれる人たち・・・・こうなった原因を見つけようとする。わかるわけなんてないのに。 たとえここから出られたとしても、ここであったことは、ずっと消えない。もう前とは違うんだよ・・・」
ネイサンがジミーに「お前は?どの授業とってんの?」と聞く。
ジミーの話。「三か月前、二週間、学校を休んだら授業についていけなくなった ・・ある日、一日中、誰も俺を見ないし話しかけてこない日があった。その時気づいた。俺にとってはそれが最高の一日だって。誰も俺に気づかなかった日が。俺の存在が消えた日。それが最高の日だなんて。さすがに気持ちが落ち込んで、家に帰って抗鬱剤を1錠飲んだ。それからまた1錠飲んで、結局さらに12錠飲んだ。母さんと医者は事故でかたづけた。それから二週間後に学校に戻ったけど、誰も気づいてなかった。俺はいてもいなくても一緒だった。最初から存在しないってこともいい面があるんだな。いなくなっても誰も悲しまない」
マウスが言う。「だからって、こんなことしなくても。アーティストや科学者や詩人の中には高校で浮いていた人が多い。みんなそういう時期を乗り越えている。大人だって子どもが殺し合うのを見たら、きっと悲劇だって思うよ。どんな大人も子供だったから。いじめっ子だったりいじめられっ子だったりしたはずだ。でもみんなそれを乗り越えて、自分の人生を取り戻しているんだ。お前だってやれるよ」
アビーの様子がおかしい。アビーは糖尿病でインシュリンが必要。彼女を開放するようにとみんなが頼む。アビーが出て行こうとする時、「怖いの。(犯人は)他にもいるんでしょ」とジミーに言う。 ジミー「これが計画したことのように見えるか。行けよ」
ブルックからの電話で、カレンはブルックを迎えに行くことになる。カレンとキースがハグしているのを、ダンが後ろから見ている。
ネイサンが隙を見て、状況をダンにメールしてきた。 キースはジミーを知っていたので、警察が突入したらジミーは怯えて発砲するかもしれないから、自分にジミーを説得させてくれとダンに頼む。 俺が勝手にすることだから、誰にも言わなくていいから、と。
ペイトンの足は銃弾で出血しているので、いつまでもこうしているとペイトンの命が危ない。ルーカスはペイトンを抱いて図書室を出る。その時、ドアが閉まる大きな音がして、階下にいたジミーに気づかれてしまう。 部屋を出て行こうとするジミー。レイチェルとマウスたちが必死で止める。けれども、ジミーは、「こうするしかないんだ・・俺は化け物だって言われるだろう。でもお前たちは何なんだ」 そう言ってジミーは出て行った。
ペイトンを抱えたルーカスがジミーに見つかった。銃を向けられる。このまま放っておいたらペイトンが死ぬとルーカスはジミーに言う。 そこにキースが来る。ジミーに、話は自分が聞くからと、ルーカスとペイトンを逃がす。
キースがジミーに話す。「・・俺と一緒に投降しよう。俺がお前を一人にはしない。何があってもお前を守る。・・俺も同じように銃を買って人を撃とうとしたんだ、だからわかるんだよ。こんなことしなくてもやり直せる。・・・お前の心の痛みはいつか必ず消える。・・・信じてくれ。今からでも十分やり直せる・・」
ジミー「無理だよ・・なかったことなんかできない。彼女、死んじまう」 「ただそっとしてほしかったんだ。・・俺はみんなに好かれたかった。・・・俺はここにいないんだ。・・痛いんだ。ここが痛いんだ。ずっと痛いんだ」・・ジミーは銃を自分に向けて撃った。
ダンが入ってくる。銃を拾う。「止められなかった・・」とキースがダンに言う。そのキースにダンが銃口を向けた。ダンが発砲。キースが倒れる。
この暗闇に名はあるのか
この恐ろしい憎しみに、なぜ我々は囚われてしまったのか
その憎しみは向こうから忍び寄ってきたのか、自分が呼びこんだものなのか
我々は今 まるで戦場に送り込むように
子供たちを世の中に送り出している
無事を祈りながらも
傷つき、命を落とす者がいることを覚悟して
我々はいつしか道を見失い
影に見つかり、暗闇に飲み込まれてしまった
この暗闇の名は
君の名かもしれない
『One Tree Hill #61』は、学校での発砲事件を扱った、とても悲しく重いテーマでした。いじめや銃の問題だけではなく、学校を取り巻いている社会やマスコミ、大人と子供、親子や家庭、いろんな問題が織り込まれている、大きな視線を感じたエピソードでした。
はやくも年の瀬。「One Tree Hill」の今年の放送はこれで終わりです。皆様、よいお年を。
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