( 「義侠」特別栽培米・山田錦 奈良・王寺「KIBUN」) 2011/9/9 21:40
■2011/9/9(金) 月夜
重陽の節句の〆酒は・・・ 山形の「楯乃川」なんてどうかな・・・ と 21時半を過ぎ最後の酒を何にしようかと迷っていた。
「最後は、楯乃川で!」とカウンターの兄さんに勢いよく注文すると 「楯乃川は、やめちゃいました。 評判がよろしくなくて・・・ 。 それより『義侠』の山田錦が入ってますよ」と返ってきた。
義侠は、五百万石だとばかり思っていたので注文しなかったのだが、「えっ、義侠の山田錦入ってるんですか!? てっきり五百万石のままと思って注文しなかったけど。 それならばそれ(義侠・山田錦)しかないでしょう。」
前回までは、五百万石という『義侠』の裏バージョンだったけど 義侠・山田錦となれば話は別だ。 冷蔵ストッカーから まだ透明セロハンが巻かれた未開封の一升瓶が取り出され、私の前でお母さんが、開封。 I君は隣で「私たちのためにサラ(新品)を開封してもらって何だか申し訳ないです~」と恐縮することしきり。 だが、私は思った「美味しく飲んでくれる人を もしかすると自分が来るのを この酒は待っていたのさ 」と
そのラベルには、加東郡東条A地区特別栽培米の文字。 「これこれ、蔵で味わったのと同じやつだ。これとあと60%磨きなんてのもあったな・・・ 山田社長が、無農薬の米作りからこだわった 渾身の自慢酒。 この酒を口にするのは、2月に名古屋で義侠ナイトして以来のことだ。」
大阪でも取り扱っている店が少なく、それも結構敷居の高い店でしか味わえないこの酒が、 奈良県王寺の焼き鳥屋で味わえるのだから 嘘のような本当の話である。 ここKIBUNの兄さんと山田社長の息子11代目が、何かのきっかけで知り合いになったことが大きい。
米の味がしっかり伝えられて これぞ日本酒というのが、この酒の良さ。 「別に うちの酒を飲みたくない人に無理して飲んでもらおうとは思わんですわ。 山田錦の米の旨味をしっかり味わいたい人にわかってもらえたらそれでいい 」という例の山田社長の言葉を懐かしく思い出した。
化学肥料を一切使わず、田んぼから化学という物質を一切消し去った米作り。 まわりの田んぼに比べ 山忠の稲田は結構虫にやられているのが遠目でわかるという。 でも 化学物を一切吸い上げてない山田錦から作られるこの酒は、飲み比べると格別さが伝わってくる。
全国的にもマニアックなファンを持つ日本酒銘柄というのもわかる気がする。
今年も9ケ月目を迎えたが、今年話しを聞いた中で印象に残っている人は、この義侠蔵10代目山田社長とコンサルタント会社の車いす社長・春山満氏 この二人だけだ。
存在感のある「義侠」の文字が、これぞ日本酒! という気にさせてくれる。 もしかすると今夜 この酒が、私をここに呼んだのではなかろうか。 そう思わなくもない。 満足して22:00に店を出ると 頭上にはもう数日で満月になりそうな月が、煌々と輝いていた。
重陽の節句の〆酒は、くしくも「義侠」 酒が呼び寄せる夜って実際にあるものだな~
(寅)