( 天ぷらうどん 奈良市「竹乃館」) 2011/9/23
地酒屋『もも太朗』さんを「また、いつでも試飲しにいらしてください。 次は、是非にゅうめんも・・・」という社長さんの言葉と共に店を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。 入った時との明るさの差で、この店に思いのほか、長居してしまったことがわかった。
肌に当たる風が、とても冷たく、入る時には遠目に見えていた「中谷堂の高速餅つき」を取り巻く百人近い見物人の輪も終了したようで、既に無くなっていた。
「もちいどの通り」を一回りして、目当ての店が満席だった為、引き返して 本日探している酒探索の前に 少し腹ごしらえすることにした。 やっぱり夜風が冷たいなら 好物のおでんしかないな~
おでんなら・・・ あそこかあそこ 今夜はあそこにしよう! とそこから歩くこと15分ばかり。
「竹乃館」の扉を開けかけると、鍋一杯におでんを買い込んで店を出る近所の人とすれ違った。「あいかわらす、売れてるな~」と感心しながら、丸いおでん鍋の前のカウンターに腰を下ろした。
何だか忙しそうな雰囲気がまだ残っていて、注文をするタイミングまでしばらく時間が空いた。 その間 おでん鍋や竹で組まれた天井を見ていると感心してしまって案外飽きないものだ。
しばらくして「お兄さんごめん、飲み物は?」とおばちゃんに聞かれ
「今日は飲み物なしで、おでんと天ぷらうどんいいですか~」と注文。 おでんを食べ終えた後、目の前の厚釜でゆがかれ出て来たのが、この天ぷらうどん。
おでんもうどんもだしベースは共通。 同じ出汁が目の前の釜に注ぎ込まれる これがまた臨場感があって楽しい。それにこの店らしい好みの味だ。
「結局、今日も麺食いしてしまったな~ これで何日連続だい」と店を出るなりつぶやいた。 すっかり暗くなった夜、赤くて丸い提灯が、夜風に小さく揺れながら爛爛と輝いていた。
(寅)