晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

2018年03月11日 | 
嘘  Love Lies  村山 由佳 著

新刊です!サイン会もあったらしいのですがちょっとチャンスがなかったです( ;∀;)
でも、楽しみにしていました。なんと530ページにもおよぶ堂々の長編でした。
最初からぐいぐいと引き込まれる面白さにさほど時間は要することなく完了。

感動の力作です~

中学生の同級生だった4人に突然あ訪れるレイプ事件。それから20年にもおよぶ時間を経て
なおも、抱える秘密に縛られて人生を支配されているよう。
暴力に純愛に友情に・・壮絶な生きざまがあります。

最終では、正木が不慮の事故で死に、妻のひなのは、悲しみの中にも呪縛から解き放されたような
安息を感じるのは私だけかな・・
ヒデは一番不幸な人生のようで、、これからは少し光が感じられます。
美月はどうだろう・・
シングルマザーになったわけは、誰にも言わないつもりなのだろうか?

ちょっと、その後の彼らの生き方を知りたくなるような終わり方でした。
ひょっとしたら映画化もありかもしれません。

砂上

2018年02月28日 | 
砂上    桜木柴乃 

久々の桜木柴乃さんでした。相変わらずの暗ーい雰囲気を味わいながら
読みましたが・・

 レヴューで面白い記事を見つけたので、コピペします!


小説家・桜木紫乃が覚悟を決めて書いた“書き手と編集者の話"
北海道江別市。小説の主人公・柊令央(ひいらぎれお)と作者・桜木さんがともに暮らす街だ。

「令央が働くビストロも江別駅前に実際にあるんですよ。直木賞をいただいた後、身辺が慌ただしくなって、食事をしていても砂を噛んでいるような気しかしない日々が続きまして。ある日、おいしいものを食べたいな、とこのお店に入った。支払いを終えて外に出た時、景色が違って見えたんです。私、まだこの街に居ていいんだな、と思えました。もちろん、豹柄ガーターベルトの人妻と遊んでいるシェフは現実にはいません(笑)」

令央は40歳、元夫からの慰謝料と中学の同級生が営むビストロの手伝いで生計をたてている。実母が遺した木造一軒家に一人暮らし、小説等の投稿を続ける冴えない日々。異変をもたらしたのは、編集者・小川乙三(おとみ)の来道だった。令央は彼女の属する女性誌の「母娘エッセイ大賞」に応募し、最優秀賞を逃していた。乙三はのっけから「主体性のなさって、文章に出ますよね」と切り出す。令央の過去の新人賞応募原稿まで読んでいた乙三は、2年前の作品「砂上」を叩き台に、一度本気で自分にしか書けぬ小説を書いてみろ、とけしかける。

「書き手と編集者の話を、と思ったのは5、6年前です。一度しか切れないカード。書けたら人として恥ずかしいし、書けなければ書き手として恥ずかしい、そういう題材です。原稿料は恥掻き料ですから、このテーマで書かせてくれる担当編集者を信頼し、覚悟を決めました」

そうなんですね~

前半少し話についていけなくて、難しい言い回しもあったけど、後半は一気に読めました。
女、三代の生き方を俯瞰してみる感じはすごいなぁと思う。さすが作家さんはこうでなきゃダメなんだとも。

小説を書く側の話はやはり新鮮で興味深いです。
また、
「人に評価されたいうちは人を超えられない」・・
う=ん、含蓄ありますね

感傷的な午後の珈琲

2018年02月14日 | 
感傷的な午後の珈琲    小池真理子 著

ここ12年間にわたって書いてきてものをまとめたエッセイ集です。
久々のエッセイ、とても興味深く読みました。

今までの作品。。
「水の翼」や「虹の彼方」そして、「沈黙のひと」などの作品にかかわるエピソード。
執筆に至った経緯や思い、真理子さん自身の心の内を覗いたようでわくわくした。

取材での旅の思い出も素敵・・作品作りには綿密な取材が欠かせませんね。やはり作家さんはそうでなくちゃ!

そして人生観をも変えるようなあの東関東大地震。悲痛な想いが伝わります。

追悼のような、親交深かったたくさんの作家さんとの思いで話も面白かったです。

ファンならではの大切な一冊になりました。

九十歳。何がめでたい

2018年02月04日 | 
九十歳。何がめでたい    佐藤愛子 著

去年からヒットしているエッセイ。やっと到着。
わりと小さい本で字も大きかったので一日で読んでしまった。

大正12年生まれの大作家、佐藤愛子 さんのやけくそに書かれた(本人いわく)エッセイです。
もはや満身創痍、へとへとでしぼりだした怒りとやけっぱちな日々を語る。語り口はユーモアたっぷり
でつい、吹き出しそうになりながら、時には感心したり、反省したり。

印象深かったのは
「文明の進歩」は我々の暮らしを豊かにしたかもしれないが、それと引き替えにかつて我々の中にあった謙虚さや
感謝や我慢などの精神力を摩滅させた・・・もう、「進歩」はこのへんでいい。進歩が必要だとしたら
それは人間の精神力である。
・・・
う~ん、説得力ありますね!

佐藤愛子さん、まだまだ現役ですなぁ~

月の満ち欠け

2017年12月27日 | 
月の満ち欠け  佐藤正午 著

第157回 直木賞受賞作品 です!

佐藤正午さんの作品はあまりなじみがなかったけど、今回一気読みでした!
面白かったです^^
物語は、「前世を記憶する子供たち」が主題になっていて、恋人に会いたいために死んでも生まれ変わり
をくりかえす輪廻転生の話。ファンタジーのようでホラーのようで、ミステリーのようで・・
東野圭吾の小説っぽい。
ぐいぐい、引き込まれる感でした。

月のように満ち欠けをくりかえし、生まれかわる。そういう意味だったのか~
やはり月は狂気を孕んでいるのです。小池真理子風にも思える。

死んでもまた会いたい!なんか究極の愛のように見えるけど、
この瑠璃という7歳の子供は前世の記憶をみにつけ愛しい恋人を探す様子は純愛?というより
私はぞっとする気味悪さを感じましたよ。

まぁ・・輪廻転生や死後の世界感をちょっと意識して読むと軽薄な恋愛小説とは一味違った
読み物になったかな

この冬、イチ押しの作品に・・
と言いたいところですが

尊敬する「葉室麟」さんが先日お亡くなりになりました。
66歳、まだまだ執筆が期待される作家さんだけにとても残念でした・

で、今年の一押しはやはり「散り椿」と「草笛物語」に決まりです

望み

2017年12月06日 | 
望み   雫井修介 著
スイム仲間のEさんお勧め本。
読みましたよ~

「火の粉」以来、久々の雫井さんのミステリーでした。

平凡な家庭で暮らす4人家族に高校生の息子が殺人事件に巻き込まれていくのですが・・
最後の最後まで真相が見え隠れして、わからず読むほうもついついページをめくる手がはやりました。

息子は殺人犯なのか?それとも被害者なのか・・?

鬼気迫る心理描写に圧巻でした!

ストーリーは・・教えられません

草笛物語

2017年11月19日 | 
草笛物語  葉室麟 著

あの、「蜩ノ記」の続編と聞いて、早速リクエスト!
またもや、葉室ワールドを堪能しましたよ^^

無実の罪を負って、切腹した 戸田秋谷 。あれから16年。
娘の薫に息子の郁太郎、そして壇野庄三郎、と懐かしい名前がでてきて、わくわくします。

物語はやはりお家騒動にまつわり、羽根藩の行く末が心配される。
真の藩主とは?真の武士とは?秋谷の意志が受け継がれていく様
が題材です。

いつものように、凛とした
武士道精神に裏打ちされた、若武者の青春群像でじつに爽やかな結末でした 

花になるらん

2017年11月08日 | 
花になるらん  玉岡かおる 著

9月の新刊です
玉岡かおるさん、ずっと気になっていた作家さんでしたが読むチャンスがなかった。
今回はさっそくget!
思った以上の秀作!面白さに一気よみでしたよ~

物語は幕末、激動の時代に生き抜く、京都老舗の呉服商、高倉屋。そこの跡取り家付き娘、勢田雅(せいたみやび)
こと「ががはん」のサクセスストーリーです。

ほんわか京都弁の語り口ではじまる物語。私にはなじみやすくすぐにががはんに寄り添って
話を聞くような感じでした。

古くはコメ問屋から、古着屋、そして皇室の衣装も担当するまでになった、呉服屋さん。まるに梯子髙の印の屋号。
もう、すぐに有名百貨店「高島屋」のことだとわかりましたよ。
へぇ~どこまで本当のことなんだろう・・?なんて興味がわきます。

幕末、明治維新、文明開化と激動の歴史を背景に日本の工芸美術、文化を世界に知らしめよう!価値を認めさせよう!
なんてすごい考えを持ったががはん。きっと異端児そのもの。周りには理解不能の人達ばかりだったでしょうね。
なんせ、当時は日本は欧米からずっと遅れを取っていた時代ですから。
京都の友禅や西陣織、天子様がおわす都。当時の様子がよくわかる。そして、奉公人の働きぶりや、京都遊郭での
島原のこと。。
後半は夫、義一の急逝。そして裏切りが発覚。。いつの時代も女ばかりが泣かされる~と、独り言。

しかし、異端児、薩摩の「久賀」との出会いでががはんもようやく女の幸せを知ったみたい。
何故か、にやにやとしながらページをめくる手がはやります^^

バラの包みの高島屋~なんてTV皇室アルバムの番組をみていたのを思い出しました。
そうか、バラのデザインはこういうわけだったのね!
老舗、百貨店の歴史にはこんな偉大な「ごりょうはん」が織りなすドラマがあったんだ~と感心しました。

玉岡かおるさん、もっと読みたくなりましたよ~

先月読んだ本ですが、UPできなかった作品を記しておきます

君の膵臓を食べたい  住野 よる 著
亀と観覧車      樋口 有介 著

嵯峨野花譜

2017年10月01日 | 
嵯峨野花譜    葉室麟 著

八月の新刊。オール讀物で連作短編として連載されていた10編を一冊にまとめたものです。

物語は・・Amazonよりコピペです

舞台は文政13年(1830年)の京都。年若くして活花の名手と評判の高い少年僧・胤舜(いんしゅん)は、ある理由から父母と別れ、大覚寺で修行に励む。「昔を忘れる花を活けてほしい」「亡くなった弟のような花を」「闇の中で花を活けよ」…次から次へと出される難題に、胤舜は、少年のまっすぐな心で挑んでいく。歴史、能、和歌にまつわる、さまざまな花の姿を追い求め、繊細な感受性を持つ少年僧が、母を想い、父と対決しながら成長をとげていく、美しい物語。

大覚寺での生け花の師は、不濁斉広甫。華道未生流の二代目である!私が学んだ華道家元ですよ~
ガゼン、興味をもって読み進めました。

胤舜の出自には秘密があったのです。老中に上り詰めようとする幕閣の水野忠邦の隠し子なのです。
出世のため、母子を追いやり自らは非情の政で頭角を伸ばすのです。その為恨みを買われることで、胤舜の身にも
危険が迫るのであるが、、
これは、生け花の話だけでは終わらないです
葉室麟さんお得意のお家騒動にからみ、勢力争いの図式へとつながっていきます。
でも、、
実在の人物をちりばめ、そこはフィクションで上手い物語に仕上がってるな~と感心します。

最後はやはり
胤舜と母と父の情け深い、物語で閉じておしまい。
雅な生け花に和歌を添え、纏わる故事を拾い、なんとも風流な作品です。

京都嵯峨野、広沢の池・・大覚寺
行ってみたくなりました 



散り椿

2017年08月30日 | 
散り椿   葉室麟 著

再読!

やはり、いいのですよ~時代劇大好きな人にはたまりません。
葉室先生の珠玉の作品です^^

物語は・・

かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘密だった。散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの―たとえこの世を去ろうとも、ひとの想いは深く生き続ける。秘めた想いを胸に、誠実に生きようと葛藤する人々を描いた感動長編!

Amazonコピペしました~

お家騒動に藩内における権力争い、よくあるパターンですが、悪家老をとっちめてそこへ正義の剣士があらわれ
バッタっバッタと斬りつけて~の話で終わらないのですよ。

以外にもミステリー仕立ての藩の不祥事があり面白い!
そして、友情、夫婦愛、武士の一分・・これはもう日本人美徳ですね
大切な人への想いを貫くためには命をも顧みない。切なすぎます。。。

途中、、これはラブロマンスなの?と錯覚するほど、切ない想いに身がよじれましたよ(*_*;

 くもり日の影としなれる我なれば
   目にこそ見えね身をばはなれず

これは、、篠さんが嫁ぐ前に、想い人だった采女に送った歌です
 
最初、わからなかったですが、これはかなりの意味深長で・・勘違いすると夫には嫉妬が生まれます、それを逆に利用して
彼を生かそうとする妻の想いなんですよ!
なんと・・切なすぎますね~

ちなみに・・映画では、きっと「新兵衛」役が岡田君でしょう。剣の達人ですし^^
楽しみです~