晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

その日のまえに

2008年11月10日 | 
「その日のまえに」
重松清著 文芸春秋社

2005年8月出版、この夏文庫化もされました。

7つのストーリーの短編集ですが・・読み進むうち、最後はつながって感動しました。

突然、愛する家族が目の前から消えてなくなる・・命のはかなさや現実感の喪失・・
余命宣告され、残された時間をどう生きるか・・?残される家族の苦悩。想像を絶するものがあります。

「その日」とは、「死」を迎える日のことです。
「その日のまえに」「その日」そして「その日のあとで」
と、物語は進みます・

さすがに「その日」は涙で活字が揺れて読むのに苦労しました・・
小学生と中学生の息子を残し、がんでなくなる母親の姿は、とても身近に感じられ、胸がせつなくなりました。

途中、悲しい話ばかり、で読むのが億劫になりそうでしたが・・
最後には、残された家族の明るく前向きに生きよう!とする姿に勇気をもらったようで救われました。

「その日」を見つめて最後の日々を過ごすひとはじつは幸せかもしれない。
自分の生きてきた意味や、死んでいく意味について、ちゃんと考えることができるから。

でも、その答えはなかなか出てこない・・。
主人公の「和美」の夫は

「考えることが答えなんだ」

と、最後にいっています。そうかもしれないですね。

とても重いテーマでした。