晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

八日目の蝉

2011年05月13日 | 
八日目の蝉  角田光代 著

読売新聞 夕刊に連載されていたころから、時々読んでいましたが、とぎれとぎれじゃつまんなくていつの間にか終わり、単行本になったときも買いそびれ、そのうち文庫になるだろう、なんて思っていたらなんと、映画にまでなって最近話題を呼んでいます。

早速文庫をゲット。

読み出したら止まらない、面白さでした!

角田光代さんの実力を改めて認識しましたよ

物語は・・簡単に言えば、乳児誘拐事件+
でも、それはたんなんるサスペンスストーリーではなく、女の幸せとは・・?
を考えさせられた物語でした。

希和子は職場で知り合った秋山丈博と不倫関係に陥る。最初は彼が妻帯者とは知らなかった。しかし彼のいつか、離婚するの言葉にほだされて。するすると関係がつづき、彼女は妊娠する。彼に説得され堕胎。希和子は心も身体も大きく傷つくのだが、そのころ秋山の妻が妊娠する。そして出産。別れを決意した希和子はひと目、赤ちゃんをこの手にだきたかった。いや確かめたかっただけなのだ・・自分が生んでやれなかったおなかの赤ちゃんと重なり、きがつくと、連れ去り逃亡するのです。
それからは逃げて逃げて・・おかしな女ばかりのオカルト集団に身を寄せるのも2年あまり、また警察の忍び寄る気配を感じ、逃亡・・そして逃れて、瀬戸内の美しい海にいだかれた小豆島へと・・

第2章はその子が救出?されて、秋山夫妻の元に返ってからの物語・・

息を呑む展開でぐいぐいと話の中に引き込まれます。
いろんな疑問もでてくるのだが、まずはそこは小説として面白く楽しめます。
常識では考えられないような希和子の誘拐という行動に、最期は哀しい女の結末を感じます。平凡な普通の女の人生をなんでここまで道を誤った方へ彼女は追いやられたのだろう?
なんと言っても秋山丈博という、超、最低男が憎らしい。
私が裁判官だったら、希和子が実刑判決になる前に秋山を死刑にしてやりたい!くらいですよ。
でも不思議なことに、秋山へのうらみつらみは一言も語られていないのです。

希和子を自暴自棄にした原因はいったいなんだったんだろう・・
血のつながりのない赤子を我が子のようにして、愛して、育て、苦労して・・傷つき・・

私には理解できない。不幸の始まりを作ったに過ぎないのに。

ラストシーンはやはり感動的でした。悲劇の中にも明るい未来を感じさせる風景をにおわしていました。

映画も見てみようかなぁ・・