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国家の「暴力」と市民の「非暴力」―市民的不服従の権利と「改憲論」

2013-07-31 06:41:26 | 憲法

7月26日、山田さんを支える会で高作正博さんの講演をうかがいました。高作正博さんから当日のレジュメをいただきましたので掲載します。なお、ピンク部分の記載については、私の聞き書きであることをご了承ください。

国家の「暴力」と市民の「非暴力」―市民的不服従の権利と「改憲論」

高作正博(関西大学法学部)

2013年7月26日(金)

序――3年後の日本社会

(1)自民党の改憲論が孕む「暴力性」

①立憲主義を否定する改憲論→個人を保護する憲法から義務づける憲法へ

②基本的人権を否定する改憲論→国家・公益のために制限される人権

③平和主義を否定する改憲論→軍事力の選択肢の解禁

自民党改憲案では、本来個人の人権・自由を保護するため国家を制約するはずの憲法が国民を義務づけるものになる。現政権は集団的自衛権については改憲をせずして解禁しようとしている。3年間国政選挙はなく、そういう意味で非常に暗い時代であると言えるが、私たちは憲法とは何か、その本質を言い続ける必要がある。

 

(2)日本社会における「異論」の否定

①自衛隊情報保全隊による市民監視→国家による「異論」の監視・情報収集

②いわゆる「スラップ訴訟」の現状→国家による「異論」排除の訴え

③自民党によるTBS取材拒否→国家による「異論」への恫喝

経産省前脱原発テント座り込みは敷地に対する占有権の侵害として訴えられた。沖縄高江座り込み訴訟は道路使用禁止で訴えられた。国家が司法に訴えて、国家を批判する勢力を排除しようとする。これらは一つひとつの単体の問題として考えるのではなく、全体として日本社会にどのような影響を与えているか。それは次の「共生」の否定にもつながっている。

※スラップ訴訟…威圧訴訟、恫喝訴訟。公の場での発言や政府自治体などの対応を求めて行動を起こした権力を持たない比較弱者・一個人に対して、大企業や政府などの優越者が恫喝・発言封じなどの威圧的、恫喝的あるいは報復的な目的で起こす訴訟を言う。

(3)日本社会における「共生」の否定

①他国民・他民族に対する排外主義→ヘイト・スピーチの横行

②繰り返される「非国民」の罵声→思想・立場の異なる者の排除

③「引き下げ民主主義」の広がり→公務員、生保受給者、奨学金受給学生等

一つひとつ単体で出て来ているのではなく、全体として考える必要がある。住民運動に対する批判であったり、特権視し批判の対象にしようとする。

1 自民党の改憲論の問題性

(1)立憲主義の放棄――国民を義務づける憲法へ

①国旗・国歌の尊重義務

・「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。」(「草案」3条1項)

・「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」(「草案」3条2項)

・「国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のこと」(「Q&A」8頁)

自民党Q&Aでは、「当然のこと」というのみで、なぜそれが当然なのかは言わない。本当は、なぜ「当然」なのか説明が要るはすである。

②憲法尊重義務

・「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」(「草案」102条1項)

・「国民も憲法を尊重すべきことは当然である」(「Q&A」35頁)

現行の憲法では、第99条で公務員に擁護義務を課しているが、改憲案では、全国民に義務を課す。ここでも自民党Q&Aでは「当然である」と縛る。

(2)基本的人権の保障――人権を否定する国家へ

①人権思想の否定――人権=エゴイズムという理解の誤り

・「西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるもの‥‥は改める必要があると考えました」(「Q&A」14頁)

②「全て国民は、人として尊重される」(「草案」13条)――「個人の尊重」の変更

・「個人の自律」の尊重から「空気読む人」「秩序を守る人」の尊重へ

③人権の限界=「公益及び公の秩序」(「草案」12条、13条、21条等)

・「従来の『公共の福祉』という表現は、その意味が曖昧で、分かりにくい」。草案により「人権が大きく制約されるものではありません」(「Q&A」14、15頁)

④「家族は、互いに助け合わなければならない」(「草案」24条1項)

・「家族は、社会の極めて重要な存在ですが、昨今、家族の絆が薄くなってきていると言われています」(「Q&A」16頁)

「人権」を「エゴイズム」だと言う誤った前提のもとに考えられている。自民党は60年代から「人権」を否定する考え方がある。こう言った自民党の考え方に対する反論としては、自分だけがよければいいと言う考え方はエゴイズムであるが、思想・良心について自分の自由だけではなく、すべての個人の自由を尊ぼうというのが人権の考え方であると説明するのがよい。

「個人」から「人」へ。「秩序を守る人」というのはつまり国家に盾を突かない人と言うことになる。たんい道徳的な問題であれば条文に入れる必要はないわけだが、こういった条文を入れることによって社会保障は影響を受ける。育児、介護、生活保護も家族間の扶助義務が叫ばれるようになる。

(3)思想・良心を超える「公益」の承認

①思想・良心の自由の制限

・「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」(現行憲法19条)

・「思想及び良心の自由は、保障する。」(「草案」19条)

・絶対的保障から「公益及び公の秩序」による制限へ

②起立・斉唱義務の正当化としての「公益」

・「国旗・国歌」の義務・「憲法尊重義務」=「公益」の優位

③軍事的「公益」の優位と「良心的兵役拒否」の否定

・「国防軍を保持する」「国防軍に審判所を置く」(「草案」9条の2)

・「軍隊を保有することは、現代の世界では常識です」(「Q&A」10頁)

・「軍人等が職務の遂行上犯罪を犯したり、軍の秘密を漏洩したときの処罰について、通常の裁判所ではなく、国防軍に置かれる軍事審判所で裁かれる」。「審判所とは、いわゆる軍法会議のこと」(「Q&A」12頁)。

・「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。だからそれに従えと。それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国は死刑」(自民党の石破茂幹事長)。

そもそも現行の第19条は絶対的保障であり、例外や制限はない。ところが自民党改憲案では、他の人権と同じく「保障する」という言い方をすることによって相対的権利として扱おうとする。つまり公益や公の秩序に反する「思想・良心の自由」は認められないということになる。

また、現役の幹事長がそれを言っていることに驚く。事審判所が作られると、裁判官をはじめ全ては軍人。非公開で行う。良心的兵役の拒否も認めない。かつて軍隊を持った「ふつうの国」へと言う人がいたが、これでは「ふつう」をはるかに超えた強大な軍事国家ができあがる。

2 市民的不服従の権利の可能性

(1)不起立・不斉唱と思想・良心との関係

①判例の見解

A 「日本の侵略戦争の歴史を学ぶ在日朝鮮人、在日中国人の生徒に対し、『日の丸』や『君が代』を卒業式に組み入れて強制することは、教師としての良心が許さないという考え」 → 不起立・不斉唱の理由

B 「『日の丸』や『君が代』が戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たしたとする上告人自身の歴史観ないし世界観」 → 思想・良心の自由

C AはBから「生ずる社会生活上ないし教育上の信念等ということができる」

②「ルール」「人権」区別論(無関係論)は既に崩壊

最高裁は、不起立・不斉唱について、既に「思想・良心の自由」に関する問題だと認定している。今後の裁判でどれだけ実体的なものを作っていくことができるかである。

(2)思想・良心の自由の「制約」

①判例の見解

・本件職務命令は、「歴史観ないし世界観それ自体を否定するもの」ではない。

-「『日の丸』の掲揚」「『君が代』の斉唱」が広く行われていたのは周知の事実

-「起立斉唱行為は、一般的、客観的に見て」「慣例上の儀礼的な所作」

-「そのような所作として外部からも認識される」

-起立斉唱行為は、性質上、歴史観・世界観の否定と不可分に結び付かない

・本件職務命令は、「個人の思想及び良心の自由を直ちに制約するもの」ではない。

-起立斉唱行為は、「特定の思想又はこれに反する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難」

-「本件職務命令は、特定の思想を持つことを強制したり、これに反する思想を持つことを禁止したりするものではなく、特定の思想の有無について告白することを強要するものということもできない」

・本件職務命令は、「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる」。

-起立斉唱行為は、「日常担当する教科等や日常従事する事務の内容」ではない

-「一般的、客観的に見ても、国旗及び国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為」

-「個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められる」

②大阪の事案の特殊性

・全国的には「一般的」「客観的」に思想・良心の否定ではないとしても‥‥

・大阪では? 教員の思想・良心を否定するための条例制定・処分!

・エホバの証人剣道受講拒否事件の事実

 

「兵庫県教育委員会は1983年6月各県立高校宛に『格技の履修を拒否する生徒の指導について』と題する通達をマル秘扱いで出しており、信教上の理由での格技の履修拒否を認めないように指導している。(1986年3月2日付朝日新聞夕刊)。加えて同問題について兵庫県の県立高校長協会は1984年6月、格技の履修を拒否する生徒は体育の履修・修得は認められず、進級等にも影響が出る旨の統一見解を出した。(1984年6月12日付神戸新聞)。これらの暴挙は日本で唯一と思われ、文部省さえ『全く宗教上の理由を無視するわけにもいかない。人間関係を尊重して各校で解決しているはず』と柔軟性を求めている。兵庫県の各高校はその時々で対応の厳しさが異なっている。格技履修拒否者に進級を認める高専・高校も少数あるようだが、兵庫県の多くの公立高校・高専においては、格技履修拒否者は進級するのが難しかったり、自主退学を強いられたりしている。

 格技を拒否しても進級が可能であると入学時に断定できる兵庫県内の公立高校・高専はほとんどないのが実情であるから、申立人が神戸高専に敢えて入学してきたとしても非難される余地は全くないのである。」(神戸地裁平成4年6月12日決定における申立)

内面と外面とは違うと言うのが最高裁の論理。つまり、ヒトラーに万歳せよ(外部的行為)と言うことと、ヒトラーに心酔せよ(内心)とは異なる、と言っていることと同じ。裁判でどうやって、その最高裁の論理を崩していくことができるかだ。大阪では条例までつくって処分しているが、その大阪の特殊性を裁判で強調していくことは一つのポイントになるのではないか。例としてあげた判例は、兵庫県の特殊性をあげ最高裁で勝訴した事例である。

(3)判例変更への期待

①衆議院定数不均衡訴訟(1:2.30を違憲状態。最高裁平成23年3月23日大法廷判決)

  ・1:2.31を合憲(最高裁平成11年11月10日大法廷判決)

  ・1:2.4を合憲(最高裁平成13年12月18日判決)

  ・1:2.06を合憲(最高裁平成19年6月13日大法廷判決)

②参議院定数不均衡訴訟(1:5,00を違憲状態。最高裁平成24年10月17日大法廷判決)

③公務員の政治活動の自由

  ・猿払事件判決(最高裁昭和49年11月6日大法廷判決)

-職務上の行為と職務外の行為の区別、勤務時間内の行為と勤務時間外の行為との区別、職員の担当する職務の相違等に関わらず一律禁止・処罰も合憲

  ・社会保険庁職員事件判決(最高裁平成24年12月7日判決)

-管理職的地位ではない、職務内容や権限に裁量なし、職務と無関係に配布、公務員による行為と認識しうる態様ではない

④非嫡出子の相続分差別

  ・合憲判断(最高裁平成7年7月5日大法廷決定)

  ・しかし、判例変更の見込み

最高裁における判例変更の判例をいくつか紹介したが、大阪の「君が代」不起立処分についても、先ほど述べた大阪の特殊性をどこまで訴えていくことができるかが直近の課題となるであろう。そのうえに、国民の理解が得られれれば、判例変更も望むことはできる。

結び――もう一つの日本社会は可能か?

(1)問題の広がり;「日の丸」「君が代」とそれ以外の象徴、強制と非強制

①「日の丸」「君が代」の「強制」が問題 → 判例の理解

②「日の丸」「君が代」の「非強制」も問題 → 不起立・不斉唱の理由

③「日の丸」「君が代」以外の「強制」も問題 → 「象徴的言論」の問題

④「日の丸」「君が代」以外の「非強制」も問題 → 「政府言論」の問題

 

「国旗敬礼が発語の一形式であることは疑いない。Symbolismは、観念を伝達するに当たっての、原始的ではあるが効果的な一方法である。体系、観念、制度あるいは人格を象徴するために、紋章ないし旗を使用することは、精神から精神への近道(a short cut)である。」(Board of Education v. Barnette,319 U.S.624(1943)。蟻川恒正『憲法的思惟』(創文社、1994)32頁より引用。)

 

「公立学校での政府の教化政策」が問題であり、「敬礼の強制という、行事の『特定のテクニック』のみ」が問題なのではない。「つねに囚われ、未成熟な聴衆を相手に、しかも教育の名の下にメッセージを送ることのできる公立学校は、government speechにとって、またとない環境を整備するものと云ってよい。その理想的環境性を構成する諸因子の中で、わけても緊要とされるのが、学校における生徒のcaptive audience(囚われの聴衆)性である。」(蟻川・前掲36頁)

 

(2)〈親の自由と公立学校の対抗〉

①公立学校の役割 → 価値の植え込み(上記④の問題性)

②「親の自由」による対抗

  ・Meyer v. Nebraska,262 U.S.390(1923)

   -反ドイツ感情がドイツ語の授業の禁止立法として定着。

   -法律に反しドイツ語授業を行った教師の起訴事件。

   -「アメリカ市民性を植え込む」目的、しかし、「親の自由」の観点から違憲判決。

  ・Pierce v. Society of Sisters,268 U.S.510(1925)

   -8歳から16歳までの子どもの公立学校への就学を強制する州法。

   -「親の自由」の観点から、違憲無効。

  ・Wisconsin v. Yoder,406 U.S.205(1972)

   -16歳までの義務教育を定める州法。

-アーミッシュの信者が、子どもに第9学年以上の学校教育を受けさせることを拒否、起訴事件。

-「親の自由」の観点から、14歳をこえるアーミッシュへの子どもの公立学区への就学を免除。

最後に、「日の丸」「君が代」の強制が問題であるという、現在の訴えとは、別の角度から、この問題を考えてみたい。最初の囲み記事はバーネット事件の判決文から、これは③の例としてあげている。ここではシンボル(象徴)が精神的に与える影響を問題としている。ならば、徴兵カードを焼くという行為も象徴的言論つまり表現行為として認められることになる。国旗を焼くというのも表現の自由と言える。二つ目の囲み記事は④の例としてあげたが、そもそも、公立学校における生徒がどのような立場に置かれているかを述べたものである。これについては現在議論している。あと、親の子どもに対する教育権は認められた判例をあがたが、「君が代」の強制の問についても一律に義務付けるのは親の立場から教育権の侵害と訴える事例が出て来てもいいのではと考える。

―感想―

自民党改憲草案の問題性については、これまでもいろんな人から話を聞いてきたが、改めて、あれは国家の暴力性を肯定するものだと感じた。改憲に向けて、あらゆる場面でそれを先取りするかのような「国家の暴力性」は表れている。「君が代」強制もその一つだ。北九州「こころ裁判」を皮切りにいくつもの訴訟が起こった。市民としての教員としての不服従の権利を司法に問う裁判であった。最高裁小法廷では、「君が代」起立斉唱の職務命令は合憲としながらも、徐々にではあるが、その態度を変えている。さらに司法に訴えることを通して、憲法19条「思想・良心の自由」とは、制約や比較衡量によって保障されるものではなく、絶対的保障であることを大法廷の場で確認させたい。そして、それが自民党改憲すなわち壊憲を阻止することにもつながっていくはずだ。市民的不服従が今ほど求められるときはないのではないかと思われるほどである。

 


参院選候補者に聞く!アンケート結果公表

2013-07-01 06:55:26 | 憲法

「選挙」が近づいて来ました。どのような結果になるかはわかりませんが、選挙が終わって政治が大きく変わることは間違いありません。では、その政治のなかで公教育はどうなっていくのでしょうか。教科書は?教育委員会は?「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」の伊賀さんから参議院選挙候補者アンケート結果を知らせるHPの案内が届きました。選挙後も見据えて私たち自身の手で教育の問題を考えていく一助にしてください。

参議院選挙候補者アンケート結果

私たちは、日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークや西日本の各地の市民団体や個人の協力を得て西日本を中心にして教科書制度都歴史教育・日本軍「慰安婦」問題についての参議院選挙候補者アンケートをしています。

下記に特設HPを設けて公表しています。
是非とも様々なHPやブログ、ツイッター等で紹介したり、リンクを張っていただきましたらありがたいです。

◆公開HP
http://www7b.biglobe.ne.jp/~senkyo2013/index.html



 安倍政権は、参議院選挙以降、教科書検定制度と近隣諸国条項の改悪、教育委員会制度と採択制度の改悪等々の動きを本格化させようとしています。安倍政権が念頭に置いているのは、2014年4月からの中学校教科書検定と2015年の中学校教科書採択です。この秋以降、教科書と歴史教育をめぐって重要な局面を迎えることは確実です。
 橋下市長の「慰安婦必要」等の発言は、これまで築き上げられてきた歴史認識を一挙に崩す暴論です。女性だけではなく、すべての人間の尊厳を冒とくする許しがたい発言です。今では国内だけでなく、世界各国から批判にさらされています。橋下発言に対してどのような姿勢をもつのか、日本の戦争責任と歴史認識を問われる重要な問題になっています。
 私たちは、これらの問題で参議院選挙候補者にその立場を明らかにするよう求め、できる限り選挙の争点化、世論化を進め、参議院選挙後に予想される安倍「教育再生」への本格的な抵抗の第一歩にしたいと思っています。


壊憲NO!96条改悪反対1000人集会

2013-06-07 15:45:36 | 憲法

いつやるの?今でしょ!憲法について語る時です。

「週刊金曜日」や、レイバーネットTVでお馴染みの「人権と報道・連連絡会」の山口正紀さんからの案内です。 

壊憲NO!96条改悪反対1000人集会

日時:6月18日午後6時30分~8時(6時開場)

会場:豊島公会堂(みらい座、池袋駅東口下車、徒歩5分)

講演:奥平康弘(東京大学名誉教授)

発言:96条改悪に反対する各党議員、労働組合・市民団体代表など

資料代:500円

主催:壊憲NO!96条改悪反対連絡会議(共同代表=内田雅敏、二瓶正勝、山口正紀)

集会の趣旨

1947年5月3日の施行から66年、平和憲法が今、戦後最大の危機を迎えています。

第2次安倍晋三政権は、フクシマの被災者を切り捨てて原発再稼働に動き、TPP参加、辺野古基地新設、消費税増税へ動きを加速、ついに憲法破壊へ本格始動しました。

政権発足後しばらく、安倍首相は改憲などの主張を控え「安全運転」するとしていました。ところが3月末、日本維新の会・橋下徹代表が「自民、みんなとともに、参院でも改憲発議に必要な3分の2をめざす」と言明すると、いっきに「暴走」し始めたの
です。安倍首相は4月9日の衆院予算員会で、「まずは96条を改正することで、新しい憲法をつくることが可能になる」と述べ、メディアは「改憲・96条が参院選の争点に」と報じました。

「96条改正」とは、改憲の発議要件を「各議院の3分の以上の賛成」から「過半数」に変えるというものです。

憲法は国家権力を縛り、国民の権利・自由を守るためのものです。だからこそ、改憲発議には「3分の2以上」という条件が付されたのです。それを、政権が、いつでも好きなように憲法を変えられるようにするのが「96条改正」。第1次安倍政権が制定した国民投票法には最低投票率の規定もなく、投票率40%なら5人に1人の賛成でも改憲できます。これが「96条改正」と連動した時、平和憲法はまさに風前の灯です。

96条改悪の先にあるのは、9条改悪=「米国と一緒に戦争できる国作り」です。それだけではありません。自民党改憲草案は、憲法を「権力を縛るもの」から「国民を縛るもの」に根本的に変えるものです。「国民の義務」を強調し、人権を制限する。中でも21条(集会・結社・表現の自由)に「公益及び公の秩序」を害しない限りという条件を付け、28条(勤労者の団結権)から公務員を除外するという「草案」は、労働運動・市民運動を敵視し、労働者・労働組合の闘いを完全に封じ込めようとする許しがたいものです。

昨年の総選挙で、衆院はすでに「自民・維新・みんな」の壊憲勢力が3分の2を上回っています。7月の参院選で勝てば、彼らは96条改悪へ、いっきに突き進む構えです。

私たちは2006年以来、国鉄闘争共闘会議に結集してきた労働組合を中心として「壊憲手続法の撤廃を求める実行委員会」を組織し、10回にわたって国民投票法反対する集会を重ねてきました。働く者が立ち上がり、職場・地域・街頭で連帯と行動の輪を広げること、それが壊憲を阻止する唯一の道だからです。

安倍政権が壊憲に動き出した今、この運動をもっと早く・広く拡大する必要があります。労働組合が前面に出、「憲法改悪反対」のさまざまな団体、個人と協力して「反壊憲統一戦線」を構築しなければなりません。その足がかりとして4月18日、「壊
憲NO! 96条改悪反対連絡会議」が結成されました。

「6・18集会」は、96条改悪・壊憲に反対する皆さんの意志表示の場です。安倍・橋下らに「壊憲は絶対許さない」の思いをきっぱり突きつけようではありませんか。

●事務局(連絡先)

 ℡ 03-5802-3809 Fax 03-5802-3806

 



『日本国憲法の誕生』を読んで①

2013-05-19 22:35:12 | 憲法

38年間の教員生活を終えていくつも後悔がありますが、その一つは、もっと憲法教育をやるべきだったということです。改憲、護憲、壊憲、と話題になりますが、多くの若者にとっては、憲法は馴染みのないものではないでしょうか。残念ながら府立高校という現場からは「君が代」不起立のため排除されてしまいましたが、学び合いの場は他にもあります。憲法のこと、一緒に勉強しませんか?

『日本国憲法の誕生』古関彰一著(岩波現代文庫)感想①

以前、9条をめぐって、教え子と議論になったことがある。1952年生まれの私は、小学校の教室で、戦争体験のある教師から情熱をもって「憲法」を教わった。憲法と言えば9条、戦争放棄。それはずっと誇りであった。ところが彼(教え子)は、9条のもとで戦後日本が何を行って来たのか、朝鮮戦争しかり、ベトナム戦争しかり、その自覚もなく9条護憲というのは納得できないと言うわけだ。確か、以前読んだチョムスキーと辺見庸の対談集でもチョムスキーがそのようなことを言っていたような記憶がある。確かに9条はないがしろにされ辱められてきた戦後の歴史がある。それを無視して9条賛美などする気はないのだが、どうも議論がすれ違うような気がした。世代論で片づけるわけではないが、9条の理解は年代によって違いことは否めない。

その折、彼から薦められた本が本書だ。当時は現職にあり、購入しながらもなかなか読む時間がなかったのだが、最近、9条「戦争放棄」発案者は幣原喜重郎だと言う話を聞き、そのあたりのところも当然書いているだろうと本棚から探し出し読んでみた。なるほど、彼が9条護憲を批判するもう一つの理由がわかった気がした。9条の成り立ちが天皇の戦争責任を回避する手段としてあったことをへの批判であったのだろう。9条問題も含めて改憲問題がいよいよ政治日程にあげられるほどになった今、日本国憲法がどのようにした誕生したかを知る必読の書かもしれない。ようやく手に取った本書であるが、9条問題もさることながら憲法制定にかける人々それぞれの想いが伝わって来て実におもしろかった。

戦争が終わり、政府要職にあった者が考えたこと、GHQとの間にどのような交渉があったか。民間からどのような人々がどのような思いで憲法草案に携わったか。終戦後の1945年9月から1949年5月まで、憲法の誕生から当時の改憲問題まで、資料をもとに生き生きと描かれており、読んでいるうちに、まるでその場に臨席しているかのような興奮さえあった。

本書は、『新憲法の誕生』(1989年刊)からおよそ20年を経て、その間に明らかになった資料をもとに憲法制定の過程が書かれている。終戦時そもそも政府は憲法改正(大日本国憲法の改正)など考えていなかったことも、今から考えれば驚きであるが、一貫して保守勢力が国体護持つまり天皇制を維持することを一義として考え行動していたことは今に続くように思う。それとは対照的ともいえる憲法研究会の誕生はとその議論のありさま、草案は、これもまた今に提起する問題を含んでいる。ないしろ自由民権期の憲法諸草案の影響のもとに、政体として共和制を理想として議論しているほどだから今に続く議論である。

そして、「後にGHQが草案を作成するにあたり、この研究会の起草した草案が多大な影響を及ぼしたことで知られている」とあるが、まさに現憲法の生みの親と言えるのかもしれない。本書の序の最後に「日本国憲法の誕生に際し、憲法研究会案を生み出した少数の人々のなかには、戦前の厳しく絶望的な時代に、希望を失わず、民主的な憲法を構想してきた人々がいたことによって、私たちの『戦後』が始まったことを改めて想い起こす」とあるが、高野岩三郎、鈴木安蔵らの、戦争が終わり新たな憲法にかける情熱とその清新な思想には魅力を感じる。

いま、日本国憲法はGHQからの「押しつけ」憲法、と一言で片づけ、だから、改憲が必要と言うような短絡的な発想が政治家からも語られるが、事実は、そんな単純なもので一国の憲法が成立するはずがない。それこそ歴史のなかで生きた先人の業績を知らぬ者の言葉ではないだろうか。(続く)


レイバーネットTV5月9日放送「特集 : 止めろ!安倍改憲暴走」

2013-05-07 20:49:41 | 憲法

2003年以降、石原東京都政のもとでいち早く始まった「君が代」強制・処分攻撃は、2008年橋下府政が誕生するやいなや、大阪でも苛烈なまでに広まりました。2011年、橋下維新政治は、東京都にすらなかった「君が代強制条例」を成立させ、翌年には「君が代処分条例」を含む教育条例まで成立させ、教員・公務員を攻撃し、それを利用するかのように公教育への政治介入を強めていきました。

しかし、いかに命令されようが処分されようが、東京では「君が代」不起立という形で不服従を示す多くの教員の運動がありました。大阪の私たちも同じです。それにつながります。そして、今、自民党改憲草案を見れば、「日の丸」「君が代」強制のすべては、拳法9条改悪の道につながっていたように思います。ならば、「君が代」不起立は9条を守る平和主義の表明と言えます。

レイバーネットTV5月9日放送

「特集 : 止めろ!安倍改憲暴走」

http://www.labornetjp.org/tv

5月9日(木)のレイバーネットTVは、憲法問題を取り上げます。先日5/5の長嶋茂雄・松井秀喜の国民栄誉賞授賞式はとんでもない政治的パフォーマンスでした。始球式の審判をしたのは、背番号96を着けた安倍首相。「96条改正」を大宣伝したのです。ほんとうにヤバイ状況になっています。

放送には、「君が代不起立」だけで再雇用拒否された辻谷博子さん、減給処分を受けた田中聡史さんも出演します。自民党憲法草案第三条には、国民の「日の丸・君が代」尊重義務が定められており、教員の「君が代処分」問題は、あすの
私たちの問題です。安倍改憲暴走ストップにいま立ち上がるとき。ぜひご覧ください。(レイバーネットTVプロジェクト)

労働者の 労働者による 労働者のための   レイバーネットTV 第52号放送   
~特集:止めろ!安倍改憲暴走~          
日時  2013年5月9日(木曜日) 20:00~21:30アドレス   http://www.labornetjp.org/tv
場所 バンブースタジオ(竹林閣)  http://vpress.la.coocan.jp/bamboo.html 
(地下鉄「新宿三丁目駅」E1出口近く)
キャスター  松元ちえ  土屋トカチ
番組構成1.【ニュースダイジェスト】(5分) ここ2週間のホットなニュースをお伝えします。
2.【特集 :止めろ!安倍改憲暴走】 この夏の参議院選挙で争点になると言われている憲法改正。
すでに自民党の草案について報道されていますが、見るに耐えない内容です。戦争する国、思想信条や
良心も国家に支配されるような日本になってしまうのか。暴走する安倍首相を止められるのは、私たちの力だけです。
前半では、労働運動活動家とジャーナリストが対談し、安倍「壊憲」の凄まじい実態と、それに立ち向かう道を探ります。
後半では、首切りの脅しにも屈せず「君が代不起立」を貫く東京・大阪の教員が登場します。
「ものいえぬ日本」にしないために、一緒に考えてみましょう。
(1)差し迫る安倍壊憲~労働者はどう闘うか(30分)   
★対談 二瓶久勝(元国鉄闘争共闘会議議長)山口正紀(ジャーナリスト)
(2)憲法つぶしに抵抗する教員たち(30分)   
★ゲスト=田中聡史(東京・「君が代」不起立教員) 辻谷博子(大阪・「君が代」不起立教員)
3.ジョニーと乱のほっとスポット(8分) ジョニーHさんの替え歌と、乱鬼龍の川柳で元気になろう。
4.【さようならのポエム】(5分) 5月のこどもの日に関連して、子どもが書いた詩「自分をえらんで 生まれてきたよ」を朗読します。
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