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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

2・12総決起集会~今こそ、反戦・平和の運動を教育と社会に!(報告)・後編

2024-02-15 19:11:43 | 渡部通信

引き続き、渡部さんによる「2・12総決起集会~今こそ、反戦・平和の運動を教育と社会に!」の報告です

大内さんの講演の後、「教育現場からの問題提起」として、公立小学校教員で多摩島嶼地区教職員組執行委員長の宮沢弘道さんから、「憲法と教育・教育現場~教職員組合の現状と仲間づくり~」という報告があった(パワーポイントで30コマ)。

30分という短い時間だったので、宮沢さんはその全部を説明することはできなかったが、それでも現在の教育現場がいかに過酷なものになっているかが参加者には伝わった。以下、宮沢さんの報告を紹介する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1、教員の現状

<階層化される職員室>

 現在、教員は上から順に ①統括校長 ②校長(=部長にあたる)③副校長(=課長)④主幹教諭・指導教諭(=課長補佐)⑤主任教諭(=係長)⑥教諭(=係長補佐)とピラミッド型に階層化されている。そのため、職場のつながりがなくなり、バラバラになり、殺伐とした雰囲気になっている(責任をおしつけたり)。

<働き方改革がもたらすもの>

・本当に忙しい教員(会議・各種調査・土曜授業・学校公開・研究授業・・・)

・月の残業時間は平均で123時間

これに対し、「改革」として「スクールスタッフ」としてパートの方が入ってくる。かえって危ない。改革と言えば下からやらなければならないのに。

<教員不足の原因は・・②>(①は略)

 教職員の管理強化

  ・教職員の階層化により、競争と不公平感による疲弊

  ・人事考課制度の強化により、常に評価の目にさらされる緊張感による疲弊

  ・職員会議の形骸化により、自分の意見不在の「やらされる仕事」蓄積による疲弊

  ・減らないパワハラ。管理職等、上司による非常識なパワハラによる疲弊

 <分析すると・・>

  ・2005年度までは不採用率(新規採用教員が1年で不採用になる率)は1%前後

   それが、パワハラ相談増加とリンクする不採用率の上昇(2022年度は4.4%に)

  ・補欠合格制度の廃止と期限付き任用職員制度の導入

  ・「非常勤講師ー産休・育休代替ー期限付任用ー条件付採用」

    など、幾重もの採用制度の完成

  ・「三楽病院(指定医)受診⇒病気休暇⇒90日条項によりクビ」

<教員不足の原因は・・③>

 組合の弱体化

  ・労使の関係性崩壊による「指示待ち教員」の増加

   それにより、働き方改革すらもトップダウンで進む現実

  ・改善の機会、相談場所が喪失している(締め付けへとつながる)

  ・官製研修(つまらない)しか知らないことによる

   学ぶ意欲の減退(年々減退する意欲)がある。

<教員不足の原因は・・④>

 特殊な学校文化

     整列、挨拶、一人称、校則(ルール)・・etc

      ・管理的な文化への違和感を感じる若者は、

    受け入れて疲弊するか

    反発して退職・転職する ことになる。

<教員不足解消のためには・・・>

 (教育現場)

  ・組合を中心に民主的な職場を取り戻し、教育内容・賃金・労働条件の向上を図ること。

 (大学教育)

  ・学校に合わせる学生を生み出すのではなく、学校の常識に染まらない確固たる教育哲学を習得し 

   た学生の育成を目指すこと。

  つまり、現場から教育、労働運動を展開することで、待遇・魅力の向上を勝ち取ることが、教員不 

  足解消につながる。

2、憲法・人権・道徳と教育

<現在、私たちは心も体も国家の管理下にあります>

2002年「健康増進法」が施行された。しかし、「憲法25条」には、「健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」と述べてあるのに、「健康増進法2条」には、「国民は・・・自分が健康であるようにする責務がある」と述べてあり、さらに、10条、16条では厚労大臣や知事に調査権の行使を認める、ことになっている。つまり、今病気でなくても予防的観点から人々の生活を管理下に置き、修正要求を要求できることになる。そして、道徳の教科化により・・身体も「評価対象」になる。

<政治に無関心な教員>

 ・選挙活動制限の勘違い、として中には、選挙に行くことができないと思っている教員もいる。

 ・バランス至上主義が支配している。

 ・職員室の会話では政治の話が出ない。

 ・主権者の役割を果たしていない先生による主権者教育をやっている。

 ・自己責任を声高に叫ぶ学校になっている。

(「子どもと人権」には(1)(2)(3)がありましたが、

ここでは、その中から宮沢さんが話した内容に絞って紹介します。)

<子どもの権利条約第12条「意見意見表明権」とは>

・「自己の意見を形成する能力のある子ども」は誤訳で、正しくは「子どもは自己の意見を表明する能力があり・・」だ。それを受け止め、改善するのが大人の役目である。コロナ禍で弱者(子ども)は我慢の連続だ。声もあげられない。

<人権と道徳は別物>

人権はあくまでも「人」としての権利の保障だ。これに対して道徳は国家体制を維持するためのもので、個人にまなざしが向けられるという特質がある。

 (個人が悪者に)

<道徳教科化のねらい>

キーワードは「自己責任論」である。戦前の「修身」は筆頭科目で、各教科ではその中に道徳的な内容を入れなければならなかった。その結果暗黒時代になった。今の「特別の教科・道徳」は、各教科の扇の要と言っている。しかし、本来、<各教科の科学的内容が優先されなければならない>。

<愛国心教育と近代憲法>

前者は、真ん中に「私」がおり、その周りを「国・公」が取り囲んでいる。後者は、「多くの私」と「国・公」は対等な立場だ。

3、教職員組合の現状

 ・組織率は・・極めて低くなってきており、厳しい状態だ。

 ・組合員の高齢化も進んでいる。

 ・疲弊した新規加入者の存在。

 ・メリットデメリット論による組合不要論がある。

 ・政治とか連合とかは、ここだけの話になってしまう。

 <組織力向上のポイント>

 ・まず寄り添うことがはじめの一歩だ。オルガナイザーは誰でもできる。

 ・身近な労働条件闘争を!

 ・職場会の充実 まずは「聞く」こと。若い職員の声から運動の方向性が見える。

 ・総論賛成でリベラル勢力の結集を!

宮沢さんは

「終りに」(教育を取り戻すために確認したい事)、として。

  ①誰がやってもよい仕事

  ②理想を語れる仕事

  ③半径1mが大切な仕事

をあげていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宮沢さんの話が終わった後、98歳という高齢をおして参加してくれた北村小夜さんが、「話したい」と手をあげ、次のようなことを話してくれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戦前に教育を受けた自分にとって、宮沢さんの話は大変良かった。戦後の1947年、教育基本ができたが、そこでは「道徳」ではなく、「科学」的なことを優先することになった。

また、当時は、教員になるとみんな日教組に入った。「国家権力」が現場を支配するというのは「国家」の在り様と関係しているということだ。「科学」的な内容をきちんと教えなければならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

また、アンケートには、

・宮沢さんの「教員の実情」についての話、

あまりに絶望的な状況に子供たちの将来が心配です。

教育にお金をかけない日本の政治を何とかしなければと思います。

学校は利益を目的とする会社とは違うのだから、

教師に上下をつけるのは間違いだ。

 

・宮沢さんのお話:教育現場の予想以上に深刻な実態がよくわかりました。

15年ほど前に退職しましたが(当時も職場状況は悪くなっていましたが)

はるかに大変な状況と感じました。

組合活動を支えている方の苦労・困難を改めて知りました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

集会ではその後、

〇英語スピーキングテストの問題(中学校教員のKさん)

〇この3月で再任用不合格(五次訴訟の大能さん)

〇最高裁までの闘い(根津さん)

〇学習サポーター不採用裁判(吉田さん)

〇埼玉の学校でのミサイル訓練反対の闘い(埼教組組合員のFさん)

〇戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会の闘い(Iさん)

などのいずれも重要な発言がありましたが、

割愛させてもらいます。

 

今回の第20回「総決起集会」は、私たちがどういう時代に生きており、その中でどう闘っていけばよいかが問われた集会だったと思います。全国の皆さん、共に連帯して闘って行きましょう。

――――――――――――――――――――――――――

226 都教委要請行動』のご案内

「日の丸・君が代」強制以降、職階制導入と業績評価などにより、学校現場は物も言えぬ職場になり、超過勤務も異常に増大した。病休者は増え、教員志願者は減少し、深刻な教員不足が起きている。しかし、文科省も都教委もその根本的な問題を解決しようとしない。都教委包囲首都圏ネットは、こうした状況を見るに堪えかね、現場教員たちの声を代弁し、都教委に要請行動を行うことにした。

 

<日時>2024226日(月)

    1530 都庁第一庁舎玄関前集合。抗議のコールなど。

    1600 第二庁舎に移動、18階の都教委に要請行動

 

都教委に物を申したい個人・団体の方は一緒に参加してください。

*************************************************************

 

「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス

     http://houinet.blogspot.jp/

千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ

       http://hinokimitcb.web.fc2.com/

「ひのきみ全国ネット」のウェブサイト

       http://hinokimi.web.fc2.com/

 

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7・21全国ネット会議報告記ー渡部通信より

2018-07-24 10:40:56 | 渡部通信
2018年7月21日、「日の丸・君が代」強制反対全国ネット会議が開催されました。東京をはじめ全国からの参加者を迎え、現在の「君が代」裁判状況に対する怒りは会場に満ち溢れていました。その怒りから、どうやって運動を進めていくか、私たちは決して諦めることなく知恵を出し合い日本社会の至る所にはびこる「忖度」価値を打ち破って行きたいと思います。渡部秀清さんが、いち早く会議の様子をまとめてくださっていますので、転載します。


================================
7月21日、大阪にて、「ひのきみ全国ネット」全国会議が開かれ
東京、大阪などからこの間の「君が尾」裁判に関わった原告など28名が参加し、
この間の大阪や東京での判決についての検討が行われました。
その中で、明らかになったのは、一言で言えば、
この間の「日・君」裁判は、もはや、憲法で定めてある
「良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」
裁判ではなく、裁判の名にも値しない「アベ忖度裁判」
に成り下がったという事でした。

7月19日に出された「再雇用2次裁判」の逆転判決では、
これまでの「一審」、「二審」の判決を全く顧みることなく否定し、
まだやってもいないことを取り上げ、
 「被上告人らを再任用職員等として採用した場合に被上告人らが
 同様の非違行為に及ぶおそれがあることを否定し難いものと見ることも、
 必ずしも不合理であるということはできない」とまで述べ、
 不合格にしたのは「著しく合理性を欠くもの」ではなかったとしています。
これに対し、参加者からは「戦前の予防拘禁と同じだ」、
「共謀罪と同じだ」などの声が上がりました。
しかも、第一法廷の裁判官5人の中には、
アベ友の山口厚、加計学園元監査の木澤克之が入っています。

また、この間の大阪地裁の内藤判決や、大阪高裁の稲葉判決(再任用拒否)
などもきわめて反動的なものでしたが、後者についての報告では、
次のように述べられていました。(主に骨組みです。< >は判決文から)
 1、「規律・秩序保持」の名のもとに、個人の思想」を裁いた判決
   <・・かかる職務命令違反は、他の非違行為とは異なり、
   その反復、継続が予想され得る、ものであり、
   非違行為として軽視することはできない。>
   <自らの主義主張を優先することに重きを置き、
   上司の指導、命令等に従う姿勢に乏もしく、・・・
   学校の規律や秩序の保持の観点から問題がある・・>
  まさに、「日・君」強制が学校の第一の規律や秩序になってきているのです。
  そして、それに従順でない教員は教壇に立たせないという事です。

 2、大阪の特異な状況ー「国旗国歌条例」も「職員基本条例」も合憲!?
   (詳細は略)

 3、平等原則違反に対する判断
  (1)再任用における非違行為の重要性は、処分の重さとは関係しない?
    判決では、体罰や飲酒運転で停職1~6ヶ月のものも
    再任用で採用していることを認めながら、
    戒告処分にすぎない被処分者らの再任用拒否について、
    次のように述べています。
    <職員であるときの非違行為に対する処分の軽重と、
     採用にあたっての過去の非違行為に対する評価とはそれぞれの目的に
     応じた異なる基準になることは何ら不当なことではない。>
    行政の開き直りをそのまま認めているわけです。
    「日・君」は特別(神聖不可侵)なのである、ということでしょう。
 (2)違憲・違法な「意向確認書」による選考は、
    結果の如何を問わず違憲・違法!
    「意向確認書」(「もう不起立はしない」と確認する書類)についても、
    判決では、
     <(意向確認書の)文言中の『今後、入学式や卒業式等における
     国歌斉唱時の起立斉唱を含む』との記述は、抽象的な内容ではなく、
     府教委として確認したい具体的遵守事項が端的に記載されているものであり、
     これが他の戒告処分等と比べて恣意的な扱いであるとか、
     平等を害するものとはいえない。>
    などと述べています。しかし、この「意向確認書」が
    「現代版踏み絵」(思想弾圧)であることは明らかです。
    だから、大阪の商工労働部は「厚生労働省が定める
    『公正選考に反する14項目』に抵触する」と指摘しました。
    そして、大阪府教委自身もその後、「意向確認書」から
    こっそりと『今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む』
    という文言を削除しているのです。
    にもかかわらず、このような判決を出しています。
    これこそ「教育勅語」礼賛の「アベ忖度裁判」以外の何物でもありません。

 4、「処分」は存在しなくとも、再任用合格取り消しは正当で、
   賠償も認めない?
   原告のYさんの「戒告」処分は、人事委員会で取り消されています。
   しかし、Yさんの再任用合格取り消しはそのまま是認されました。
   それに対し判決は分かりにくい言い訳を述べています。
   <職務命令に違反した事実や、その後の事情聴取における態度という
   客観的な事実までもが存在しなかったことになるものでなく、ひいては、
   当該事実を考慮することができなくなろというものではない。>
   もはや、裁判の体をなしていません。
   すべては「日・君」に忠実かどうかだけが基準です。
   しかし、「国民主権」の国で「天皇主権の歌」を強制し、
   それに従わなかったからと言って罰する、
   そして、それを権力の意を「忖度」し、裁判所が是認する。
   これほど、理不尽なことがあるでしょうか。
   また、果たして日本の人々はこのような理不尽なことを
   いつまでも許しておくでしょうか。

その後、会議では、「国際人権規約」についてのレポートがあり、
⓵「10・23通達」について自由権規約委員会から
 二つの質問が日本政府に出されたこと。
 (その中には、「教員に対しては経済的制裁が加えられている」
 ことについて説明してほしいとの質問があった。)
②大阪府の「国旗国歌条例」(2011年)「職員基本条例」(2012年)を
 も訴えてはどうか、ということ。
などが話されました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日紹介した『紫禁城の黄昏』を読むと、
辛亥革命後の中国の人々も
清王朝(皇帝)に相当愛着を持っていたことが分かる。
そして、クーデタ騒ぎなどもあった。
多くの人々は清王朝(満州族)に強制された弁髪を
中国古来のものだとまで考えていた。
ところが、英国の家庭教師に影響を受けた宣統帝が、
自ら弁髪を切り落とすと、あっという間に朝廷では弁髪がなくなり、
残ったのは皇帝の老師(先生)たち3人だけになったという。

日本でも、おそらくそれと似たようなことが起きてくるだろう。
<なぜ、主権者の自分たちが「天皇主権」の歌を強制され、
ひどい目に合わされなければならないのだ>、と。

物事は、
「窮すれば変ず、変ずれば通じ、通ずれば久し」(易経)、である。
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「オリンピック教育」批判ビラまき続報

2017-04-20 20:34:23 | 渡部通信
渡部通信を転載します。これを読むと、東京の学校ってひどいって思います。このままいくと、大阪の学校もこんなふうになっていくんでしょうか!?まるでイジメじゃないですか。これでは、学校でいくらイジメ対策をしたって生徒たちは見ていますよ!

以下、渡部通信より〜

昨日(4月19日)「共謀罪」が実質審議入りしました。
安倍首相は、3年後の東京オリンピックにおける「テロ対策」を強調しました。
しかし、ビラにも書きましたが、オリンピック招致に当たって彼は、
「2020年を迎えても(東京は)世界有数の安全な都市」と強調し、
またオリンピックは僅か1か月にも満たないのです。
「オリンピック」は、人民大衆・とりわけ若者をだます口実です。
安倍首相はやはり「デマゴギー政治家」です。

昨日夜、日比谷野外音楽堂で、
<辺野古の海の埋め立て工事強行を許さない!4・19大集会>
が開かれました。
沖縄から集会に駆けつけた山城博治さんは、
「共謀罪」に関して次のようなことを述べました。
 「私に対する逮捕は共謀罪先取りの弾圧だった。
 取り調べの中で『共謀・共犯を明らかにせよ』と繰り返し聞かれた。
 だから私に対する弾圧は抗議する全国民に対する弾圧だ。
 戦争の事態が全国に向かっている。
 腹を決して、アベの暴走を許さない、
 戦前のような暗黒社会に戻さないようにしよう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「オリンピック教育」批判ビラまき続報です。

本日(4月20日)
<農芸高校>7:40~8:30
 「戦争をさせない杉並1000人委員会」の方と3人でやりました。
 早い時間に登校してくる生徒たちは、
 時間的余裕があるのか、ビラの受け取りは比較的いいです。
 「オリンピックと共謀罪のビラです。共謀罪を知っていますか」
 と言って渡していると、一人の男子生徒が立ち止まって
 「知っている。テロなど準備・・とか言うのでしょう」
 と言ってビラを受け取っていきました。
 
 しばらくすると、卒業式の時にビラまきに対し
 しつこく妨害してきた副校長が出てきました。
 そして、「ここは出入りが激しいから向こうでまいてくれ」と言います。
 私たちは正門の脇の方でまいていましたから、
 そのままビラまきを続けました。

 そのうちある男子生徒が、
 私たちの仲間から受け取ったビラを手に取って、
 これみよがしにぐしゃぐしゃにし、
 副校長の方を向いて「こうしたやった」とばかりに笑い、
 副校長も「それでいいんだ」とばかりに笑っていました。
 
 そこで、私は大声で
 「何をするんだ。そんなことをして恥ずかしくないのか。
 それはいじめと同じだ。」と怒鳴りました。
 その生徒はそのまま校舎に入っていきましたので、
 私は副校長に向かって大声で、
 「副校長、あなたはなぜ生徒を注意しないのか。
 こんなことを許すのか」、と糾しました。
 副校長は黙ったままでした。

 副校長は門前にずっーと立っていたので、
 生徒たちはビラをとりにくかったと思います。
 それでも、副校長が見ているにも関わらず、
 その傍から何人かの生徒はビラを受け取っていきました。
 
 昇降口付近に例のごとく「ゴミ箱」が置いてありましたが、
 その中にビラを入れた生徒はいなかったようです。
 
 ところで、登校途中の小学生の話です。
 多くの小学生は「大丈夫です」と言ってビラを受け取りません。
 そこで、ある生徒に「先生に言われているの?」と聞くと、
 「学校の決まりです」という答えが返ってきました。
 そこで、「おかしな決まりだね」と言うと、
 「おかしくありません」と言って去って行きました。
 
 戦前、親や大人が戦争について「おかしい」と言うと
 子どもたちが、逆に親や大人を批判したという話を聞きますが、
 今また同じようなことが「教育」を通して行われつつあるようです。

 なお、ビラは62枚まけました。
 ニュースなどで「共謀罪」が流れていますので、
 知っている生徒たちも増えているようです。
 一人でも多くの生徒たちにビラを読んでもらい、
 疑問をもってもらいたいと思っています。
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大阪府教委の暴挙を糾弾する!

2017-02-17 13:47:57 | 渡部通信
==============================

大阪府教委は本日(2月17日)、
大阪府立高校教員・梅原さんの再任用を不合格にしました。
以下に、(1)<大阪府民、府職員のみなさんへのニュース>と
(2)<大阪府教委に対する〔抗議・質問要求書〕>を貼り付けます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 (1)
大阪府教委は梅原さんの再任用を拒否!!
■大阪府立高校教員の梅原さんは今春、定年を迎え、再任用を希望していたのですが、今日2 月17 日、再
任用の不合格が通知されました。この再任用不合格は、梅原さん本人の異議申し立てに全く耳を貸さず、重大な憲法違反を犯して強行されたものです。満腔の怒りを禁じ得ません。
■梅原さんは再任用「選考」直前の1月下旬、校長から、再任用に向けた意向確認として「卒業式の際の『君が代』で起立斉唱の職務命令に従うか、『はい』か『いいえ』で答えろ」と、突然訊かれました。
梅原さんは「生徒にもそのような(思想信条を問う)違反質問には答えるなと指導している私たちが、答
えることは出来ない」と返答したところ、校長は「意向確認できなかったと報告する」と言ったのです。
■大阪の府立高校などでは、就職を希望する生徒に、就職試験の際、親の職業・家族構成など自分の責任に関わらないことや、信仰や思想良心に関わることを訊かれた場合、「そのような質問には答えないよう学校で指導されています」と答えるように指導しています。これは大阪府教育委員会の方針でもありました。梅原さんが「そのような違反質問に答えることは出来ない」と答えたことは教員として当然のことです。
■そもそも、「君が代」で立つ・立たないは「思想良心の自由」「信教の自由」の問題であり、それを問うことや、踏み絵のように採用の条件に使うことは思想差別であり憲法上の重大な権利侵害です。しかも、「再任用を希望する職員については再任用するものとすること」という総務省通知(「地方公務員の雇用と年金の接続について」2013.3.29)に明らかに反するものです。ところが大阪府教委は、教職員の定年を迎えた再任用「選考」において、まさに教職員の思想良心を問い、合否を判断しているのです。

大阪府商工労働部は「違反質問」と認定
■私たちは、府教委の指示を受けて校長がおこなった「違反質問」について、企業・自治体の公正な採用選考を推進する役目を担っている大阪府商工労働部に相談すると、“このような質問は差別選考につながる「違反質問」である”という認識を示し、教職員人事課に対して、“再任用選考のためにこのような質問をすべきではない”という改善要請をおこないました。
■ところが、この商工労働部の「改善要請」について府教委(教職員人事課)に説明を求めたところ、「民間の就職試験では思想良心を問う質問をしてはいけないが、公務員は国旗・国歌条例があるから(日の丸・君が代について)質問してもいいのだ」と回答したのです。つまり、府教委(教職員人事課)は同じ大阪府の機関である商工労働部からの改善要請を真っ向から否定しました。
■そして、違反質問には「答えられない」という梅原さんの返答や「意向確認ができなかった」とする校長報告を、再任用「選考」の合否判断材料から除外するよう、梅原さん本人が申し入れたにもかかわらず、大阪府教育委員会は本日の再任用不合格通知を強行したのです。

■私たち「日の丸・君が代」強制反対大阪ネットは、大阪府教委に対して、違反質問・差別選考に基づく再任用拒否を撤回するよう、とことん要求します。府民、府職員のみなさんのご理解ご協力をお願いします。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (2)
2017年2月17日
〔抗議・質問要求書〕
憲法違反の思想差別による梅原さん「不合格」糾弾!撤回を要求する!
大阪府教育庁・教育長
教職員人事課様
「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク(代表:黒田伊彦)
〔連絡先=山田光一〕
2014 年の芦間高校の卒業式で、梅原さんは、卒業生の「君が代」強制反対の思いに応えて、「生徒に強制するものではない」と述べてほしいと要望しました。
しかし校長は応じず、「国旗国歌に敬意を表明するのはマナー」と予行で説明。
さらにその不当性を訴えた教員有志のビラ配布を府教委は「信用失墜行為」としたうえ、 梅原さんの「君が代」不起立への戒告処分を行いました。
このことへの人権救済申し立てを受け、2016年3 月18日に大阪弁護士会は、
①国旗国歌条例は違憲・違法の疑い、処分は思想良心の自由の侵害
②校長の対応は生徒への実質的強制
③教職員の勤務時間外・学校外のビラ配布を制限しないこと等を勧告しました。

しかし校長も府教委もこれに応じないばかりか、再びビラ配布をしないようにと「指導」。
さらに、今年1月、校長は梅原さんを呼びだし、再任用に関連する質問として、
「卒・入学式における国歌に対する起立斉唱の命令を含む上司の職務命令に従うか」について、
「はい」か「いいえ」で答えよと述べたのです。

この質問そのものが、またそれに答えよと問うこと自体「思想・良心の自由」を保障した日本国憲法に違反するものです。

梅原さんは「生徒の就職の面接でも、このような質問には答えないように指導しているので、
答えることはできない」と回答。

大阪府商工労働部に相談すると“このような質問は差別選考にもつながる『違反質問』である“
という認識を示し、教職員人事課に対して、“再任用選考のためにこのような質問をすべきではない“という改善要請を行いました。

ところが府教委(教職員人事課)は私たちが説明を求めたところ、「民間の就職試験では思想良心を問う質問をしてはいけないが、公務員は国旗・国歌条例があるから(日の丸・君が代について)質問してもいいのだ」 と回答したのです。

まさに、「違反質問」を公然と行い、これを「踏み絵」として、それに答えることを合格の最終条件とする憲法違反であるとの私たちの質問・要請にも答えないまま、本日、府教委は梅原さんの再任用不合格を通知しました。

このようなことが許されるなら、今後、再任用や新規採用においてさえも、同様の差別選考が行われ、さらに民間企業でも「業務上の必要」という理由で差別質問がまかり通ることにもなります。
私たちは、府教委の皆さんに問います。
そのような行政を推進することがあなた方の公務員としての役目ですか?
憲法を遵守し、府民の人権と生活を守る仕事をしていると胸を張って言えますか?
今回の梅原さんの「不合格」に満腔の怒りをもって抗議・糾弾するとともに、裁判でも提出を拒否し隠し続けている「再任用審査」における判断基準も含め、梅原さんの「審査」をいかなる資料に基づき、
いかなる理由で「不合格」としたのか、明らかにすること。
梅原さんならびに私たちの説明要求に直ちに答えること。
そして「不合格」を直ちに撤回することを要求します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これが、「自由で民主主義」と言われている日本の現実です。
大阪の仲間たちは本日抗議行動を行っています。
私たちも、梅原さんと連帯し、大阪の仲間と連帯し、
全国各地で断固闘うことが求められていると言えるでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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北村小夜さん講演報告ーーー「嘘がまかり通る時代」

2017-02-07 06:08:43 | 渡部通信
一昨日(2月5日)東京で、第13回目になる『2・5総決起集会』(主催:都教委包囲首都圏ネットワーク)が開かれ、117名が集いました。(渡部通信より転載)

集会では、主催者挨拶の後、
<現場からの報告><様々な闘いの現場から>が行われ、
その後に<北村小夜さん(91歳)>の講演
「改めていま『教室から戦争がはじまる』」が行われましたが、
最初に北村さんの講演から紹介します。
(内容が濃いので少し読みにくいかもしれませんが、ゆっくりお読みください)

北村さんは昨日朝まで新潟での日教組教研に参加され
駆け足で東京に戻られて講演してくださいました。
そして冒頭、次のようなことを述べました。
 「日教組教研に右翼が来ていない。1台だけ見たが3台くらい来たらしい。
 右翼も相手にしなくなった。参加者も少なかった。」

その後本題に入りましたが、北村さん(1925年生まれ)は、
「今は、私が育った時代と同じような状況になっている」として、
当時の資料(これは大変参考になるものでした)
を参考に多くの事を語ってくれました。
 
まず、「昭和18(1943)年3月31日発行の『写真週報』(情報局編集)に
大きく掲げられた<時の立札>というものを紹介しました。
それには次のようなことが大書されていました。
 「校門は営門に通じてゐ(い)る
 学生生徒の生活もそのまゝが
 戦ふ(う)国家の一分野
 逞しい上にも逞しく
 若い力と意志とを捧げて
 必勝の道を邁進しよう」(漢字は当用漢字にしました)

そして次のように述べました。
  この年は学制が変えられ5年生が4年生になった。
 早く兵隊に行かせるためだった。
 自分が女学校の時代、勉強をしていなかった。
 工場で兵隊の服の修理をやらされていた。
  当時まだ大正デモクラシーの雰囲気が残っており、
 親や教師は疑問や批判を持っていた。
 しかし子どもたちはそうした親や教師をまどろしく感じた。
 当時、もう少し大人がしっかりと子どもたちに教えてくれれば良かった。
  今も同じだ、子どもたちは小学生の時から「日の丸・君が代」で
 入学式卒業式をしており、それが当たり前になっている。
 (たしかに、それを批判する大人を批判したりします。:渡部注)

その後、2016年の言葉として、イギリスのオックスフォード英語辞書が
「Postーtruth(ポスト真実」を選んだことを紹介され、
同時に二つの短歌(科学者・歌人の永田和宏氏作)も紹介されました
 <不時着と言い替えられて海さむし言葉の危機が時代の危機だ>
 <Postーtruth他所事ならず無表情に衝突と言ひて去りゆく女人>
そうして、次のように述べられました。
  現代の「嘘がまかり通る時代」を糾すには事実を示し続けるしかありません。
 リテラシー(読み書き能力)をつかさどる教育の役割がますます重視されます。
 
その後、北村さんは<軍国少女のへの道>と題して
以下のような話をされました。
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まず、<軍国少女への道 ~その1>」です。

『少年倶楽部』(1937・5)に載った「日本もし戦は(わ)ば」に、
世界地図上で、
 ・日本の所に銃剣に「正義」の旗を掲げる日本兵、
 ・ロシアの所に銃剣を持つロシア兵、
 ・中国の所に青竜刀を持つ中国兵、
 ・アメリカの所にピストルを持つアメリカ兵、
が対峙している絵が載せられているのを紹介し、次のように述べました。
 
 戦争には「嘘と監視」がつきものです。真実を教えてくれる人がいなければ
 子どもは従っていきます。・・これ(上の絵)を見た幼い私は、
 なぜだかわかりませんが、正義の日本が狙われていると理解しました。

そして、彼女が小学校就学直前の1932年、第一次上海事件で
爆弾三勇士(彼女の故郷の久留米市の工兵隊から出征)が戦死し、
その功を讃える旗行列(回覧板で回る)がありましたが、
家の人は参加するつもりはありませんでした。
しかし当日に町内の世話役のおじさんが束にした「日の丸」の小旗を
抱え回ってきたとき「お嬢さんだけでのいいですよ」と言って
彼女に旗を持たせ、彼女はおじさんについて旗行列に参加したそうです。
おじさんは彼女を高く抱えて旗の波を見せてくれたそうです。

北村さんは言いました。
 上から見る旗の波は美しく私の心がそそられます。
 すっかり日の丸に魅せられてしまいました。軍国少女の始まりです。

そして、 
 年始に、ふと宮中参賀のニュースを見て、この大きな旗の波、
 上からはどう見えるのだろうと考えます。
と続けました。

また、彼女は1925年生まれですが、
 その年に「治安維持法」ができ、すでに物が言えにくくなっており、
 子どもが何か疑問をもったりすると、大人は<シー>と指をたてた。
 今も同じことが起こりつつある。大人の役割は大事だ。
と述べられました。
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次に、<心と体が国に奪われる 軍国少女への道 ~その2(心)>です。
ここは資料から以下は抜粋で紹介します。
 
 戦争をするためには国民の逆らわない心と丈夫な体が必要です。
 私が小学校で学んだのは1932年ー38年で日本が戦争に向かう時でいたが、
 大正デモクラシーの名残もありました。教えてくれた先生たちもすべてが
 戦争推進派ではありませんでしたが、
 子どもたちは日に日に軍国少年少女に育っていきました。・・
 どこの学校にも奉安殿が出来、御真影・教育勅語への敬意の
 表明を厳しくしつけられました。修身の時間は天皇の赤子として生まれたことの
 ありがたさを教えられました。・・
 綴り方の時間には満州の兵隊さんへ慰問文を書き、図工では戦車や飛行機を
 描いたり模型を作ったりしました。・・

 ・・四大節(一月一日、紀元節、天長節、明治節)には、奉安殿から
 運ばれた御真影の前で君が代を歌い厳かに読まれる教育勅語をきき
 講和があり式歌を歌いました。~いま都教委が強制している卒業式は
 御真影を日の丸に代えてこの形を模しています。
 
 ひたすら皇民教育を受けるうちに、
 戦争は天皇の宣戦布告に始まり講和条約締結で終わること、
 戦争には日本が勝ち領土が広まることと覚えました。
 そして「天皇陛下の為に命を投げ出すこと」こそ
 最高の善だと思うようになりました。

 それでも子どもです。忠孝一致と言われても、楽はしたいし、欲しい物は欲しい、
 親孝行どころか親を困らせることもたびたびで、忠義などできそうにありません。
 深入りしてはいけないことのようですが、
 「現人神」という天皇は人間ではないのかなどなど、折々に悩みました。

(ということで彼女は先生に)
 「修身の本に書いてあることはみんな本当のことですか?」と聞きました。
 先生は驚いたようで
 「本当に決まっています。そんなこと考えて勉強していたの?がっかりした」
 と言われました。私は即座に「ウサギとカメもですか?」と聞きました。
 担任先生が黙ると隣の組の若い先生が
 「みんなが親孝行で、みんなが忠臣だったら教科書には載らないよ」
 「親孝行してもらいたいから、忠臣になってもらいたいからだよ」
 と言ってくれました。
 途端に長年の疑問が解けたような気がしました。・・
 でも重ねて「誰が?」と聞くと「それは自分で考えなさい」と言いました。
 今考えるとよく言ってくれたと思います。
 でももう一歩踏み込んでくれていたら私の生き方は違っていただろうとも考えます。
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<軍国少女への道 ~その3(体)>から、
 
 戦争準備は国民の体力づくりからです。
 1928年昭和天皇の大典の記念行事としてラジオ体操がはじまり、
 1930年には「日本一健康優良児」表彰制度(1976年まで)がスタートします。
 今は学校表彰だけですが、全国の小学校6年生から男女1名ずつ選び、
 その中から県知事が各1名健代表として選び、その中から日本一を決めます。
 成績優秀で家庭も健全でなければいけません。

 1938年には厚生省が出来ます。同年にできた国家総動員法は
 いざという時国家は物的人的資源を自由に調達できるというものですが、
 厚生省はその人的資源を担当しました。
 1939年には「産めよ増やせよ国のため」という標語が出来ました。
 そして1940年の「国民体力法」です。
 1条に「政府は国民の体力の向上を図るため、国民の体力を管理する」とあるように
 一人一人の国民の意思に関係なくその体力を検査してその向上にかかる
 必要な措置をするというものです。
 健康増進法は十分にその機能を持っています。

 私が小学校を終え県立高等女学校を受験したのは1938年でしたが、
 突如入試制度が変わり口頭試問と体力検査で筆記試験がなくなりました。
 入学してもスカートを穿くことは少なく普段はセーラーの上着に
 もんぺ(錬成服と呼んでいました)を穿いていました。
 それを自分で勇ましく感じていました。(「得意になる」とも話されました) 
 ・・体育には薙刀(なぎなた)がありました。
 袴を着けて薙刀を持つともうそれだけで献身奉公・攻撃精神が
 心身にみなぎるように感じました。

 戦後、GHQの指示によって軍国主義的教育が払拭され、
 武道の授業は禁止されました。
 それが復活するのは1949年の中華人民共和国の成立、
 1950年の朝鮮戦争等を契機にアメリカの対日戦略の変更によるもので、
 1950に柔道・1951に弓道、1953に剣道と順次正式に
 学校体育の教材「格技」として再登場しました。
 さらに、卒業式等で国旗の掲揚と国歌斉唱の指導を指示し
 国家主義的な道徳教育の強化を図る1989年改訂学習指導要領で
 中・高の保健体育の「格技」を「武道」に改めました。
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最後に北村さんは、以前私のメール(「アベを倒そう!(199)」(1月24日)で
紹介したサトウ・八チローの詩(後方に貼り付けます)を紹介し、
次のように述べました。

 国策・国威発揚にはいつも子どもが狙われます。
 学校教育は勿論ですが、あらゆる手段で。
 少年倶楽部は特集を組みました。たくさんの写真を載せ奮い立たせるような
 文章を添えられていました。

 入場式の場面には「秩父宮殿下から賜った大日章旗を先頭にひるがえした
 わが代表選手・役員171名が、威風堂々入場してくる光景をご覧ください。
 「皆さん、この写真をじっと見つめていると、瞼が熱くなってきますね。」
 といった具合です。ジーンとこないと日本人じゃないみいな書き方です。
 それに輪をかけるのが先に読んだサトウ・ハチローです。
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    詩人 サトウ・ハチローの翼賛ぶりを紹介します。

 1932年7月、ロサンゼルスオリンピック陸上三段跳びの場面の
 放送を聞きながら (『 』内は現地からのアナウンス)

 「『一等南部忠平君(日本) 記録は15メートル72、オリンピック並びに
 世界新記録。二等スヴェンソン・・・・』
  もうどうでもいい、スヴェンソンも何もあるものか、南部が勝ったのだ、
 勝ったのだ。
 『いま、するするとマスト高く日章旗があがりました』
 バンザイ、僕だって唄うぞ君が代を、君が代を。
 『つづいてスエーデンの旗、次に又日本の旗、南部、大島両君は、
 直立不動ビクトリー・マストの日章旗を仰いでいます』
 僕は目に浮かぶ、同胞の歓喜のさまが、歓呼の声が。
 優勝した南部は、何百というカメラにかこまれた。トーキー会社は南部を
 カメラの前に立たした。
 『どうか一言おっしゃって下さい』
 南部は何と言ったか。
 『只今、南部忠平優勝いたしました』
  この言葉をよく聞け諸君、この言葉は南部が、いかに国を愛しているか、 
 いかに陛下のよき民であるかをはっきりとしめすものである。
 『只今、南部忠平が優勝いたしました』
 誰に報告しているのであろうか。
 天皇陛下へである。そうして、日本国民へである。
 そうして、その後に大きな声で
 『日本万歳』と言ったそうである。
 南部!!! 僕の南部、日本の南部、世界の南部、僕は君を愛する。
 僕は君の友情と優勝に感謝する。僕は日本の詩人として、
 君の美しい友情と優勝を、讃美歌となすつとめを持つた。」

  1932、少年倶楽部10月号、南部の優勝を聞く サトウ・ハチロー
  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この手は今も子どもたちに向かってしきりに使われています。
 すでに届いています。

そして次のように結ばれました。
 「子どもたちはすでに前に進んでいます。
 大人が嘘の何倍も正しいことを言わなければならない。」

以上が91歳の北村さんが、
力を入れてまとめられた貴重な資料と、
大変教訓深い話の概略でした。

北村さん本当にありがとうございました。
    

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