「君が代」斉唱時に立たなかったというだけで職を奪われる、これは異常なことだと思いませんか?
逆に言えば、それが「君が代」という装置の本質なのかもしれません。
大阪労働者弁護団と大阪社会法律文化センターが抗議声明を発表しました。
本年2月19日、大阪府は、今年度末をもって定年退職する教員の中で、再任用の希望のあった教員に対し再任用の可否について校長を通じて通告したが、昨年2012年の卒業式や入学式で君が代斉唱時に起立しなかった教員が2名、再任用の希望を提出していたが、2名とも再任用されなかった。また、同様に豊中市においても1名再任用されなかった。
再任用拒否決定について、当局は「総合判断した」というが、定年までの教育専門職としての実績ではなく、君が代斉唱時に起立しなかったことを実質的な理由としたものと解する他ない。
そもそも、定年を迎えた公務員に対して再任用制度が設けられている趣旨は、年金制度の維持のために「年金支給年齢」を先送りする方向で制度改変がなされるなかで、定年制延長がリンクしていないことから、定年後、年金が支給されるようになるまでの所得の空白を生じさせないように、配慮されたものである。その意味では教員として定年まで勤め上げた後、年金支給開始までの期間、再任用制度により継続雇用することを原則としており、例外的に継続雇用が不適当な場合以外は、再任用すべきものと解釈される。今回の当局の対応は再任用制度の趣旨を曲解し、起立しなかった教員に対し意図的に不利益取扱いをしたと言える。
このような運用がまかり通るのであれば、再任用制度で継続雇用してほしければ、自分の信念を曲げてでも起立すべきである、との圧力かけることを許すことになり、憲法が保障した内心の自由の絶対保障の理念を骨抜きにするもので、到底許されない。
よって、我々は、君が代斉唱不起立者についても、再任用を希望する限り、原則的に採用する方向で運用すべきであり、上記各不採用決定を撤回すべきであると考える。
なお、本年2月28日府立高校で卒業式が行われ、君が代斉唱時に、個々に信念を持って起立しなかった教員がおられる。教育委員会がこれらの教員に対して、その信念を踏みにじる処分を行わないよう、強く要望する。
大阪労働者弁護団 代表理事
大阪社会文化法律センター代表理事