※大阪府教育委員会は、昨春に引き続き、今春も卒業式・入学式における「君が代」起立斉唱を教職員に強制しようとしています。
これに対して、府立学校有志の会が、本日、抗議文を大阪府教育委員会に提出しました。
多くの市民のみなさまへ、学校が強制と命令によって運営されるとき、その被害は必ずや児童・生徒に及びます。
どうか、私たちと共に学校への「日の丸・君が代」強制反対の声をあげてください。
2013年1月31日
大阪府教育委員会教育振興室長様
「平成24年度卒業式及び平成25年度入学式の実施」通知に係わる抗議文
府立学校教職員有志の会
大阪府教育委員会は、去る12月26日の校長会で、今年度の卒業式、来年度の入学式について、昨年度と同様に取り組むことを説明したと伝えられています。また、1月15日には各府立学校長に宛て「平成24年度卒業式及び平成25年度入学式の実施について」なる通知(以下、1・15通知)を出しました。
私たち府立学校教職員有志の会(以下、有志の会)は、大阪府教育委員会に対して、校長会での説明の撤回、1・15通知の撤回を強く求めます。
有志の会は昨年、「平成24年1月17日付け教委高第3869号の教育長通達」(以下、1・17通達)の撤回、これに伴う処分者を出さないこと、及び被処分者の処分撤回を求め、府立学校教職員を対象とした署名を2度にわたり府教委と手交しました。いかに多くの教職員が通知撤回、処分撤回を求めているかは府教委自身がすでに承知のはずです。また私たちだけでなく、多くの市民、また各教職員団体もそれらを求めていることも認識しているはずです。
教職員、市民の声にまったく耳を貸さず、これらの人々の声を踏みにじり、橋下大阪市長や維新の会の政治介入により強行成立した各種条例に唯々諾々と従わんとする府教委の姿勢に、私たちは大きな憤りを感じます。政治権力の教育への政治介入を許さないことこそが本来府教委が果たすべき役割ではありませんか。
1・15通知には「学習指導要領」を踏まえ、「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう適切に指導する」とあります。「学習指導要領」の内容を百歩譲って認めるとしても、「日の丸」を式場正面の壇上に高々と掲げ、「君が代」斉唱の際必ず起立せよ、などという形式はそもそも規定されていません。教育課程の編成権が各学校にあるとするなら、掲揚・斉唱をするかどうかも含めて各学校の裁量に委ねられるべきです。
また、1・17通知そのものが不当です。国旗掲揚・国歌起立斉唱という一種の儀礼(人によっては宗教的儀礼にもあたる)を、教育長の「職務命令」として教職員に一律課すことなど、教職員一人ひとりの国旗・国歌に対する姿勢をいわば試そうとするものであり、憲法に保障された思想・良心・信教の自由を踏みにじるものであることは明らかです。
さらに、「万一の場合」とは一体何を意味しているのですか。また、「臨機の処置」とは一体何を指すのでしょう。何を想定してこのような事項を通知に加えているのでしょう。
いずれにせよ昨年府教委は、卒業式・入学式の君が代斉唱時に起立しなかった教職員に戒告処分を行いました。さらに2名(1名は義務制)の教職員の再任用の職を奪い、非常勤としての職さえ保障しませんでした。そもそも、卒業式・入学式という学校生活・教職員生活の一場面で、君が代斉唱時に起立しなかったという、そのたった一事が「懲戒処分」にまで当たるほどの「非行」「罪」なのでしょうか。「職務命令違反」「教職員にふさわしくない行為」として指弾されねばならないことなのでしょうか。まして不起立3回目となれば免職されねばならぬほどのことでしょうか。「懲戒処分」に及ぶ他の「非行」行為と比べても、その処分の重さにおいて著しく均衡を欠いています。1・17通知やそれに伴う処分、あるいはその根拠となっている「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」や「大阪府職員基本条例」は、ただただ力づくで、政治権力や府教委が教職員に言うことを聞かせるために作られたものとしか思えません。一体その先にあるものは何でしょう。自分のやっていることが一体何を目指しているのか、どんな結果をもたらすのか、判断力も批判力もないまま「ただ上司に言われたからやった」式のナチスのアイヒマンのような教職員を大量に生み出すだけです。学校現場に一層の沈滞をもたらすだけです。
府教委は昨年の処分者の処分を取り消し、すべての被処分者の職を保障すべきです。
教職員有志の会は1・15通知、1・17通達の撤回を要求します。またこれらを根拠にいかなる処分を行うことにも強く反対します。
以上
〒540-0038 大阪市中央区内淡路町1-3-11シティーコープ 上町402
市民共同オフィースSORA気付
府立学校教職員有志の会
1.15通知
教委高第3370号
平成25年1月15日
府立学校 校長・准校長 様
教 育 振 興 室 長
平成24年度卒業式及び平成25年度入学式の実施について
標記について、各学校においては、下記の事項に留意の上、遺漏のないよう配慮願います。
記
1式典は厳粛で簡素なものとすること。
2 学習指導要領の趣旨を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう適切に指導すること。
3 平成24年1月17日付け教委高第3869号の教育長通達を踏まえ、教職員を指導すること。
4 来賓の臨席を要請するに当たっては、学校として明確な基準を定めておくこと。
また、来賓に対して祝辞に代わる方法を依頼する場合は、その内容を事前に十分説明して了解を得ておくこと。
5 卒業式における児童生徒の送辞・答辞については、作成方法、内容、発表方法、発表者の服装・態度等について適切な指導を行うこと。
6 万一の場合に備えて臨機の処置が取れるよう、事前に準備しておくこと。
7 卒業式及び入学式の状況を別紙に記入の上、式の終了後、高等学校については高等学校課長あて、支援学校については支援教育課長あて、速やかに提出すること。
(参考)「平成25年度 府立学校に対する指示事項」
入学式や卒業式等においては、学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるよう指導すること。
また、学習指導要領に基づき、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導するとともに、「望ましい形」、となるよう努めること。
その際、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」が制定されたことも踏まえ、入学式及び卒業式等国旗を掲揚し国歌斉唱が行われる学校行事において、教職員は府民の信頼に応える責務を自覚し、国歌斉唱に当たっては起立し斉唱すること。