不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Santa Maria della Vittoria

2006-01-24 19:01:04 | アート・文化

もともとサン・パオロを祀っていた小さな教会。
1608年から1620にかけてカルロ・マデルノ(Carlo Maderno)の設計で再築。
費用負担は司祭シピオーネ・ボルゲーゼ
(Scipione Borghese)
カトリック教徒の軍隊がプラハ近くのMontagna Biancaで闘った
対プロテスタント戦での勝利を記念して
その戦場の近くにあったピルセン城
(Castello di Pilsen)
見つかった聖母のイメージを持ち帰り、祀ることにした教会。
この勝利の聖母が名前の由来となっています。

シンプルですっきりした正面ファサードはジョヴァンニ・バッティスタ・ソリア
(Giovanni Battista Soria)の手によるもので
1626年の作品。道を挟んで隣にある聖スザンナ教会(chiesa di S.Susanna)
正面ファサードをモデルにしたとされています。
この二つの教会外観は実際よく似ています。

教会はゴテゴテのバロック様式。
入り口の真上には大きなパイプオルガンも設置されています。
右手真ん中の礼拝堂にはドメニキーノのローマでの最後の仕事
(1630年)となった
「聖フランチェスコの法悦」「聖痕を受ける聖フランチェスコ」があります。

左翼にはコロナーロ家の礼拝堂があり、
ここにベルニーニの傑作といわれる「聖テレーザの法悦」があります。
この彫刻は
1644-52年の作品で、
あいまいな微笑を浮かべる天使が右手に握る金の矢が今まさに
聖テレーザの心臓を突こうとしているシーン。
彫刻の上には隠れ窓がつけられていて
そこから柔らかな自然光が流れ込み
妖艶な彫刻をさらに艶やかにみせています。

教会は外から見た印象と内部の印象がまるきり違うのでかなり衝撃的。
バロック様式があまり好きではないけれど、
さすがにこれだけバロックの宝庫・ローマにいると
自然にそういうものへの興味もわいてくるから不思議。