不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Camera Con Vista

2007-10-27 22:57:00 | 映画

私は名作といわれる往年の映画をほとんど観ていないので
有名な「眺めのよい部屋」も
フィレンツェが舞台になったため細部は知っていても
実はストーリーの大筋を知りません。

1986年に製作されたイギリスの映画のリメイクが
やはりイギリスのテレビ番組制作会社によって
クランクアップされました。
撮影が行われていたのはニュースで知っていましたが、
もう完成しているとは。

土曜日たまたま街を歩いていて
「眺めのよい部屋:試写会入場無料」の告知を見つけました。
実はその映画のタイトルで引かれたのではなく
試写会会場が「Cinema Gamburinus」というのが
私にとっては魅力だったのです。

Cinema_gamburinus
共和国広場のアーケードの下にある映画館ですが
今年の夏前まででロードショー映画館としての活動を休止。
最近の世界的な流れなのですが、
イタリアでも映画館の経営が非常に難しくなっていて
老舗の映画館が閉鎖されるニュースが立て続いた中の
ガンブリヌス閉鎖だったのです。
そんな経緯で3ヶ月ほど放置されていた映画館での
試写会ということで私は意気揚々。
すべてのほかの用事を早々に片付けて映画館へ。

オリジナルサウンドでの上映、
つまり全編英語で字幕なし。
私の英語力で果たして理解できるのか?

18時開演の試写会には招待状を持っている人もいて
そういう方々はしっかりエレガントないでたちで
併設のガンブリヌスのカフェで供される
おしゃれなアペリティーヴォなどを
楽しんでいらっしゃいました。
私はといえば、思い立って出かけたので
いつものようにジーンズにシャツ。
そしてカメラの入ったでっかいリュック。
いかにも場違いな感じで登場。
ちょっと気後れしながら、入り口で
「招待状なくてもこんな恰好でも入ってもいいかしら」
と尋ねると係員のきれいなお姉さんはにこやかに
「どうぞどうぞ。お気軽に」って。

特等席はすべて予約席。
できるだけ前の見やすい場所を選んで待機。

映画の始まる前にスポンサーや主催者の挨拶があり
いよいよ上映。
さすがに英語のオリジナルでは
詳細部分までわからないところもあったけれど
何とかあらすじも理解して大満足。
ロールアップが流れる間中、場内拍手の嵐でしたが
そんなに映画自体の出来がすばらしかったわけではなく
この歴史ある映画館での入場無料の試写会
という企画自体に対する拍手だったような気もします。

1922年のフィレンツェを舞台にしているだけに
撮影は苦労しただろうなぁというのが私の感想。
当時サンタ・クローチェ広場の真ん中にあったはずの
ダンテ像は今は教会階段の右手にあるし
フィレンツェ全景で映そうと思うと
あちこちにクレーンが立って修復しているし。
そんなこともあってかカメラワークがすごく斬新(爆)。
不要なもの、現代的なものを映さないように
頑張って撮影しているのがよくわかります。

ストーリーはたぶん原作に忠実なのでしょう。
恋をすることによって自我に目覚める
イギリスの名家出身の女性の成長と恋愛を描いた作品。
オリジナルと見比べてみたら面白いのかな?

上映終わった帰り道。
共和国広場のメリーゴーランド。
Giostra_notte_2710
切ない恋愛映画を見た後の
夜のメリーゴーランドはまた一段とせつないね。