不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'Eredita di Giotto

2008-06-17 07:11:19 | アート・文化

長い間、専門家たちの間では
ジョットとともにフィレンツェの芸術世界は死んだ
といわれてきましたが、
実際にはそうではないということを
証明することのできる特別展が
「L'Eredita di Giotto(ジョットからの継承)」。

1337年1月8日にこの世を去ったジョット。
その後のフィレンツェは
ギベリン派とグエルフィ派の抗争がいっそう激しくなり、
トスカーナ全体を巻き込んでの大騒ぎとなります。
またフィレンツェの繁栄を支えていた二大銀行家
「Bardi(バルディ)」と「Peruzzi(ペルッツィ)」が、
イギリス王への貸付が焦げついたせいで
破産の危機に追い込まれ、
追い討ちをかけるようにアルノ川の洪水、
そして1348年のペストの流行と
フィレンツェは芸術活動どころではなくなっていました。

しかし、そのような時代にあっても、
ジョットの技術と精神は師弟に受け継がれ、
やがて華やかに花開くルネッサンス芸術へと繋がっていきます。
その限られた時代(1340-1375)の絵画はもちろん、
彫刻そして細密宗教絵画、金細工にいたるまで約60点を集めて
ジョットの写実主義にテーマを絞った特別展は
ウフィツィ美術館で6月10日から11月2日まで開催中。

ジョットが1315年に
フィレンツェのサンタ・クローチェ教会内のペルッツィ礼拝堂
(Cappella Peruzzi di Chiesa di Santa Croce)を
飾るために手がけた多翼祭壇画が
フィレンツェでオリジナルに近い形で再現されるのは初めてで
今回の展覧会の目玉となっています。
長い年月の間に分割され各地に散らばっていたものが
1947年に一堂に集められ再構築、
その後1960年からノース・キャロライナの美術館の
所有となっている本作品以外にも、
ジョットの継承者であるTaddeo Gaddi(タッデオ・ガッディ)、
Bernardo Daddi(ベルナルド・ダッディ)、
Maso di Banco(マゾ・ディ・バンコ)の絵画作品を中心に
Andrea Pisano(アンドレア・ピサーノ)や
Alberto Arnoldi(アルベルト・アルノルディ)の彫刻、
そしてAndrea Orcagna(アンドレア・オルカーニャ)、
Nardo di Cione(ナルド・ディ・チョーネ)の
兄弟の作品も展示されています。
またジョットの曾孫に当たり、
実際の彼の芸術の継承者といわれる
Giottino/Maso di Stefano
(ジョッティーノ/マゾ・ディ・ステファノ)の作品まで
幅広く展示されているので、かなりの見ごたえがあります。

L'Eredita di Giotto
L'arte a Firenze tra il 1340 e il 1375
開催期間:2008年6月10日から2008年11月2日まで
開館時間:8:15-18:35
     7月1日から9月30日までは夜間特別開館実施となり
     毎週火曜日と水曜日は22:00まで開館
会場:ウフィツィ美術館(相変わらず混んでいるので要予約)
入場料:10,00ユーロ(美術館&特別展)

ウフィツィの3階部分の常設展示の後、
2階に移動してカラヴァッジョ派のコーナーの前に
設置される特別展。
常設店だけでも見ごたえがあるウフィツィなので、
休憩しながらじっくり時間をかけて見学しないと、
めちゃくちゃ疲れます。