不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Grace is gone

2008-08-06 23:59:00 | 映画

フィレンツェの映画館は夏休みに入るところも増えてきました。
近所の映画館も上映回数減らしています。

見逃さずに観ておこうと思ったのが
Grace is gone
4020827467

イラクに派兵された海軍兵Graceは
祖国のためにその命を散らします。

自分自身が兵士として祖国に忠誠を誓いたかったのに
視力検査で不合格となった経緯のあるStanleyは
愛する女性を失ったショックをさらけ出すこともできず
二人の娘に事実を伝えることもできず苦悩します。

二人の娘とただ「楽しさ」を求めるために車で旅に出て
喪失感と不安と苦悩を何とかしようとするStanley。
旅の途中で起こるさまざまな出来事を通して
Stanleyと二人の娘それぞれの心の葛藤を描いた作品。

世界のあちこちで戦いが繰り広げられる毎日、
そしてそれに伴って日々起きている悲しい出来事。
そんな現実を反映した小さな良作。
こんな小さな普通の家族に起こりうる悲劇が
今世界にどれくらいあるのだろう。

クライマックスで二人の娘に事実を告げるシーンも印象的。
強い風の吹く夕暮れの白浜。
二人の娘を座らせて自分は海に背を向けて告白を始める父親。
「ママは戦場で怪我をした。
怪我の具合があまりにもひどくて戻ってこられない。」
この台詞に涙もろい私はノックアウトされました。
繊細な二人の娘のために言葉を選んでいるのがよくわかります。

あんまりぱっとしない父親を演じたJohn Cusackの好演が
全編にしんみりしみわたる感じでとてもよかった。