不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'origine della parola Ferragosto

2008-08-19 09:04:24 | うんちく・小ネタ

イタリアでは8月15日はFerragosto(フェッラゴースト)といって
一般的にどこもお休みです。
なぜ8月15日、そして聖母被昇天祭にあたるこの日を
Ferragostoというのか。

まず、聖母が深い眠りにつき
イエスの元に召還されたとされる日は定かではありません。
1950年にカトリックの教義として
正式に8月15日を聖母被昇天の日と認定してから
Ferragostoの祝日と重ねられるようになったのです。
つまりFerragostoという言葉自体は
聖母被昇天を表す言葉ではありません。

ではFerragostoとはなんなのか。

古代ローマ共和制時代には
主要な農作業の締めくくりがこの時期にあたり
それを祝う庶民的なお祭りが各地で行われていたようです。

そのお祭りでは労働者(農民)は雇い主を訪れて
農作業の一通りの終了報告とお祝いの言葉を述べ、
わずかな謝礼を受け取っていたようです。

古代ローマ帝国の時代、このお祭りは
Ottaviano Augusto(アウグスティヌス帝)を称えて
このお祭りやその後に続く休暇は
Augustaliと呼ばれるようになります。
またローマ帝国時代のお祭りでは
通常は農作業に借り出される家畜(ウマ、ロバ、ラバ)などが
農耕器具を下ろして花で飾られたり、
もしくはそうした農耕馬によるレースが行われたりしました。
この名残が現在も8月16日にシエナで行われる
有名なPalio dell'Assunta(パリオ・デッラッスンタ)です。

このお祭りは後にルネッサンスの時代になると
教皇庁によって慣例化され、
キリスト教領の各地に広まっていきました。

Ferragostoという単語の起源は
ラテン語でFeriae Augusti。
つまりAgosto(グレゴリオ暦では8月)のお休みという意味。

典型的なイタリアのお祭りだといわれていて、
他のヨーロッパ諸国ではまれに見られる程度らしいです。

いつの頃からかイタリアではFerragostoは海水浴の日
という概念が定着しているため、
多くの人が海へ繰り出すのですが
最近はそうした混雑を避けるという意味で
この日に山や湖へ出かけて休日を楽しむ人も増えています。