不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Caterina e Maria de' Medici

2008-11-11 09:39:10 | アート・文化

メディチ家からフランス王家に嫁いだ二人の女性。
カテリーナ(Caterina)とマリア(Maria)に
ささげられたオマージュ展が
フィレンツェのストロッツィ宮殿(Palazzo Strozzi)で
開催されています。

Palazzo_strozzi_1
この二人がフィレンツェから料理や文学、芸術などの
各種イタリア文化をフランスに持ち込んだことは
よく知られています。
ジェラートもカテリーナとともに
アルプス越えをしたといわれています。

いずれも若くして夫を亡くし、
自らがフランスを統治する立場におかれたこともあり
この時代にメディチ家は
実に100年にわたり
メディチ家の力がフランスにまで及ぶ
全盛期を築き上げています。

展示されている貴重な食器や小物類の
一つ一つにも素材の確かさが見て取れ
彼らが当時ヨーロッパでも
屈指の財力を有していたことを示しています。
クリスタルの塊にノアの箱舟を掘り込んで
金銀で縁取りをした大皿や
カテリーナが実につけていたといわれる金メダルのお守りや
カテリーナ自身の結婚の際にクレメンテ7世から贈られ、
後に孫娘がトスカーナ大公との婚礼の際に
フランスから婚礼家具のひとつとして
フィレンツェに持ち帰った宝石入れなどとともに
展示会場のほとんどを覆っているのが、
今回の展示の目玉でもある「タペストリー」。

このタペストリーは近年修復が完了し、
ストロッツィ宮殿の前には
フランス国内でも展示が行われていたもので
15枚の大きな作品となっています。
描かれているのは直接メディチ家の女性二人ではなく
伝説の女王といわれるアルテミシア(Artemisia)の物語。
今回の展覧会がメディチ家の女性二人への
オマージュという形であるのも、
理由はこのタペストリーのストーリーにあります。

優れた伝説の女王アルテミシアに二人の姿を重ねているのです。

カテリーナを称えるためにアルテミシアの
戦士としての勇敢さや機転のよさを表すエピソードが語られ、
一方のマリアを称えて、理想的な王子の教育に専念する
賢母としてのアルテミシアにまつわるエピソードが語られています。

複雑なメディチ家とフランス王家との
血縁関係を知るためにもオススメの展覧会です。
Palazzo_strozzi_2

Caterina e Maria de' Medici
Donne al Potere
会期: 2008年10月24日から2009年2月8日まで
会場: Palazzo Strozzi(ストロッツィ宮殿)
開館時間: 9:00-20:00、木曜日9:00-23:00
入場料: 10,00ユーロ