不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Natura e Simbolo dal Seicento a Van Gogh

2010-02-02 13:08:43 | アート・文化

Forli'(フォルリ)という、
日本からのツアーには絶対に含まれない、
そしてイタリアに暮らしていても
なかなか訪れる機会のない
エミリア・ロマーニャ州の小さな街にある
サンドメニコ美術館(Musei del San Domenico)は
時々非常にすばらしい展示をしています。
今回は美術館所蔵の
Fiasca fiorita(フィアスカ・フィオリータ)を中心に
1600年代からゴッホまでの絵画に描かれた
草花をテーマにした展覧会。

Fiasca fioritaはすべての時代を超えて
最も美しい静物画のひとつとして、評価も高い作品ですが、
その作品の詳細は謎に包まれたまま。
作者さえいまだに確定していないのですが
これまでの研究で非常に高い確率で残っている名前は
Caravaggio(カラヴァッジョ)とCagnacci(カニャッチ)。

依然はっきりしたことは確定していないものの
美術史研究家によって明らかにされたのは
この作品が静物画の専門画家によって
描かれたものではないということ。
フィオリスティと呼ばれる花ばかりを題材とする
専門画家が多くいたのですが
そういう人の手によるものではなく
つまり普段は肖像画や宗教画などを描いていた
偉大な画家の手によるものであろうということ。

そしてこの絵を中心に、
現代イタリアの
偉大なる美術史研究家&キュレーターが集まり
カラヴァッジョ派の自然主義から
ゴッホの現代性と象徴主義を経て、
1900年代初期にいたるまでの
静物画(特に草花を描いた作品)に焦点を当てた
新しい観点の展覧会をということで
企画されたのが今回の特別展。

展示作品にはカラヴァッジョ、カニャッチはもちろん、
ジェンティレスキ(Gentileschi)、
ドルチ(Dolci)などが描いた草花から
レンブラント(Rembrandt)の
奥さんをフローラ(Flora)に見立てた肖像画なども。

Fiasca fiorita(フィアスカ・フィオリータ)

Image_gallery

キアンティワインが入っていたような
藁が巻かれたフィアスコの折れた首に
雑然と活けられたカラフルなゆり、アイリス、フリージア。
光と影のコントラストが
なんともカラヴァッジョ派的な作品です。
藁がほどけていたり、
ガラスが割れていたりするリアルさも
その時代の画風を思い起こさせます。

FIORI.
Natura e Simbolo dal Seicento a Van Gogh
会場:Musei San Domenico di Forlì
    Piazza Guido da Montefeltro,
    1247100 Forlì
会期: 2010年1月24日から2010年6月20日まで
開館時間:火-金 9:00-13:00、15:00-17:30
       土・日 10:00-18:00
休館日:月曜日、イタリアの祝日
入場料:無料
詳細インフォメーション:http://bit.ly/aIDurM