不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il caso di Maggio Musicale Fiorentino

2011-03-23 23:05:36 | 日記・エッセイ・コラム
日本公演中に不運にも地震&津波を体験してしまった
Maggio Musicale Fiorentinoのメンバー。
神奈川での公演では18分のカーテンコールで
大好評だったのにも関わらず
馬鹿なメディアに不安を煽られ
イタリア人特有のパニック状態に陥り
散々な思いで一部団員はフィレンツェに戻ってきています。

そして日本脱出をなかなか許可しなかったと
市長に抗議した挙げ句
労働組合を通して
「過酷な労働条件下で労働させられた」と訴えています。
労働者が護られる国・イタリアならではの展開。

ただし、オーケストラのメンバーは
現在もアジア公演続行中で
その温度差は内部の人もはっきり感じているようです。

そもそも昔からMaggio Musicaleの合唱メンバーは
繊細ぶっていかんという意見もある通り
今回大騒ぎして先に戻ってきているのは
けっこう合唱メンバーだったりします。

フィレンツェで待機していた家族の騒ぎようも
地獄を見たかのような尋常ないもので、
家族が何よりも大切なイタリア人が
なりふり構わず、自分の身内を
「危険」な日本から「安全」なイタリアに
戻したかったというのはわからなくはないですが。

彼らが鵜呑みにしていた報道ソースは
端から見ていて
情報テロですかと尋ねたくなるような
デマや誇張にあふれていました。

実際Maggio Musicaleのメンバーが
イタリアメディアからインタビューされたとき
「もっと怖かったという話をしろ」とか
「一番怖がっているメンバーを紹介しろ」とか
言われたらしいですよ。
敢えてそういう情報だけをかき集めたら
確かに不安をかき立てるような「危険な日本」が
描き出されるでしょうね。

そもそも数年来の借金を抱えていて経営の成り立たない
Maggio Musicale Fiorentino。
国が文化費を削減する中、
なんとか立て直そうと努力してきたフィレンツェ市。
日本公演の興行収入を当てにしていたのは紛れもない事実。
その日本公演を打ち切ってしまったので
現実はさらに厳しい財政難に陥っているはずです。

指揮者ズービン・メータがいるから
もっているような市立劇場。
そのメータ氏は日本は危険ではないし
厳しい状況にあって日本人はひたむきですばらしい
とコメントもしていますが
そんなコメントには誰も目を向けてくれませんでした。
このままでは今後の経営が立ち行かなくなる可能性を
市長ははっきりと伝えています。

自分たちのおかれた状況を知ってか知らずか
押さえきれない不安を怒りにかえて抗議をぶち放した上に
25日はゼネラルストライキを決行すると豪語しています。
実は25日の公演は入場料無料で
その日の彼らの出演料が
日本義援金として送られることになっています。
なんだかやっていることが子供っぽくて情けない。

もちろん心あるメンバーは
日本滞在中にもチャリティーコンサートをしようと
動いてくれたという話も聞きます。
きっとパニックになって大騒ぎしているメンバーは
ごく一部なんだと思いたい。

アジア公演を終えて
オーケストラとメータ氏が戻ってきたら
もっときちんとした形で
日本支援のチャリティコンサートが開かれると信じています。
そうあってこそ、フィレンツェを代表する楽団だし、
今回の件で日本でちょっとがっかりしている方達にも
もう一度信じてもらえるきっかけに
なるんじゃないでしょうかね。


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2011-03-23 18:00:37 | Tweet Log