不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Scavi archeologici del Teatro Romano Florentia

2013-04-18 23:11:47 | アート・文化

フィレンツェもローマも掘れば何か出るような
古い遺跡のうえに成り立っている都市。
どんなに長く暮らしても、
次から次へ色々見つかってきたりするので
全てのものを見切れるとは思っていません。

市庁舎でもあるヴェッキオ宮殿の地下に
ローマ時代の遺構が見つかり、
きちんと一般公開できるように整備されたのは2011年。
ひっそり一般公開されているのですが、
なかなか機会がなく今回初めて足を踏み入れました。

半円形のローマ劇場跡は
現在のヴェッキオ宮殿とその横のゴンディ宮殿にまたがり、
観客席はシニョリア広場に扇状に広がり
ステージは現在のヴェッキオ宮殿裏手の
Via dei Leoni(レオーニ通り)に添うような形で
作られていたようです。
まだまだ都市としては小さかった
フィレンツェの城壁に組み込まれるようにして
作られていたようです。

Piantagraficascavi

5世紀-6世紀頃には
既にローマ劇場はその目的で使われなくなり、
ロンバルド族の侵攻時には
城塞のようにも利用されたようです。
中世の時代(13世紀頃まで)は
牢舎として再利用されるようになり
その後、ヴェッキオ宮殿の建設及び拡張工事などの際には
すっかり忘れ去られ、劇場の跡は姿を消します。

フィレンツェが一時的に統一イタリアの首都だった時代に、
ヴェッキオ宮殿周辺の大掛かりな都市整備が始まり
1876年にゴンディ通りの下水工事を行っているときに
ローマ劇場の遺構らしきものが見つかっています。
実際フィレンツェに残るローマ時代の遺跡の50%は
このイタリア首都時代の都市整備の際に見つかっています。
その後1935年にも発掘が行われましたが、
その空間は長らく物置や駐車場として使われてきて
ようやく2006年から本格的な発掘作業が始まりました。
2010年に発掘作業が完了し、
フロレンティア時代のローマ劇場跡が
ようやく形として見えるようになりました。

劇場規模もかなり大きく、
当時のフィレンツェの栄華も感じられます。
ステージは35メートル、中央の廊下は100メートル。
観客席15000席は
ローマのマルチェッロ劇場に匹敵するサイズだそうです。

シニョリア広場のほうからステージに向けて
観客の出入りに使われた一本の太い廊下と
それを中心に南北シンメトリーに何本かの通路、
そしてそれに交わるように
観客席下の通路の空間などが一部残っています。

Dscn5900
メインの通路は大きめの石で舗装もされていたらしいです。


この遺跡が紀元1-2世紀のものであるとされているのは
一部に古代ローマ人が浸水フィルターとして使っていた
とされる陶器の層が見つかったためです。
穴の脇にごそっとたまっているのが陶器のかけら。

Dscn5899


またその後の時代、つまり中世やルネッサンス期に使われた
井戸の遺構や家屋や店舗の形跡も残っています。
ルネッサンス期の井戸の跡。
中世のものに比べると円形がきれいに整えられているので
時代検証ができるそうです。

Dscn5898


このように何層にも重なる
異なる時代の遺跡が見つかったことで、
本当に昔からヴェッキオ宮殿周辺地域は
様々な形で
都市活動に常に利用されていたのだということがわかります。

ガイド付の要予約ですが一般公開もされています。
開館時間は頻繁に変更されているようなので、
ご予約時に確認してください。
遺跡とはいえ、見学できる部分は非常に小さくて
30-45分のガイドつきツアーで
あっという間に終わってしまいます。

Scavi archeologici Florentia
Via dei Gondi
開館日:土曜日 15:00/15:45/16:15/17:00
     日曜日 10:30/11:15/12:00/12:45
予約 055-2768224 もしくはinfo.museoragazzi@comune.fi.it
入場料: 8ユーロ (ヴェッキオ宮殿入場共通)