超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">セーゲルスタム、感涙のうねり</span>

2009-09-16 02:21:30 | 無題

マーラー全集・選集のベストは何か、クラシック好きの友人とよく話し合う。
私は一位がノイマン・チェコフィルのボヘミア的なマーラー。二位もクーベリック・バイエルン放送響のこれまたボヘミア感の混じったマーラー。クーベリックは4番以外実況ライブも出ていてこれが素晴らしい。続いてハイティンクのクリスマスマチネ。その他思い入れが強く自筆譜まで作ったバーンスタインの全集、揺るぎない美音のベルティーニ、ウィーンフィルの持ち味を引き出したマゼールの全集、ハイティンクのダークホースだが奥深さを聞かせる幻のデ・ワールトの全集、マニアには堪らないぶっきらぼうな怪音のタバコフ・ソフィアフィルの全集、メリハリのないプロらしからぬ演奏で却って抒情すら感じるアブラヴァネルのたどたどしい演奏、思い入れたっぷりな青春大作のシノーポリの全集、どれも捨てがたい。そのような話を同窓会でしたとき、クラシック歴の長い友人は笑顔で黙って聞いていた。
そのあとメールのやり取りをすると、実は、自分が最も大切に思っている全集がある、それは、セーゲルスタムとデンマーク国立放送響のマーラー全集なんだ、とぽろっと打ち明けた。セーゲルスタムはシベリウス全集が当たりだと思ったので思い切って入手した、セーゲルスタムは巨漢だから微妙なニュアンスは伝わらないだろうとか、本人が作曲家なので指揮に思い入れがないだろうという風評があるが、それは違う、自分の聞いたところ細部まで配慮が行き渡った、入念で心が籠った名品だ、と後になって打ち明けてくれたのである。それを聞いてセーゲルスタムのことをほとんど知らなかった私は赤面した。やはりこの友人とはクラシックを聴いてきた年季が違う、これは敵わないと思った。それから私のセーゲルスタム探しが始まったのだが、なかなか見つからない。あきらめていたところ、新宿の中古CD店で売っていたので喉から手が出るほど欲しかったが、高くて買えなかった。意を決してその店に電話したらもう売れていた。いい事ばかりはありゃしない、と思っていたが、都内の中古屋さんに電話を掛けまくっていたら、町田にセーゲルスタムのマーラー全集が廉価で売っていたので飛びついた。聞いてみるとなるほど泣けてくるほど繊細かつ大きくうねる感動巨編で、これは手放せないな、と思った。今日も復活を聞いて泣けてきた。この偉大なうねりは宝物である。



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