超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">シャイーの快演全集</span>

2011-10-08 12:19:46 | 無題

リッカルド・シャイーとゲヴァントハウスのベートーヴェン交響曲全集を聞いた。
ゲヴァントハウスらしい重厚さはそのままに、シャイーの持つドライブ感が生かされた渾身の快速演奏。
序曲も重厚かつ濃厚でずんずん進んで行く。交響曲はみな構成感の巧みな重層的な厚みのある演奏。
間は詰めているが、ベートーヴェンらしい典雅な曲運びは十分味わえる。英雄などは胸躍る名演。CD5枚が本のような厚紙製の収納ボックスに収められている。これは初回生産のみか。
ドライブしても美的な造形が崩れないところはさすがシャイーである。録音に奥行きが感じられる。
奥行きを生かす技術は同じシャイーのブルックナー全集でも感じられた。シャイーの得意技である。
コンヴィチュニーの時代からゲヴァントハウスは木管楽器の美しさが際立っている。英雄を聞いて久しぶりに感動した。サウンドクラウドと言うサイトの試聴からは重層性は感じ取れなかったが、実際は重みのある聞きごたえ。四番も深い闇から光が立ち昇るような快演。
運命も快速だが聞き応えのある演奏。底光りする楽器の音色が見事。聞き慣れた曲が新鮮に響く。終章は雄大。
田園がアップテンポなのには驚いた。それでも、細かい描写は置き去りにされていない。終章の曇りない音像には救いがある。視界が一気に広がる七番もいい。終章の歓喜の舞踏も流れるようだ。八番も軽快な曲ながらオケの持つ重厚感が生かされている。ここでも底光りする楽器の音色が際立っている。
第九もかなりテンポが速い。聞いているとこっちまでテンションが上がってくる。深刻さは薄く、最初から歓喜が通奏的にほとばしっている。美低音のオケにつられてシャイーの指揮も思わず走っているようだ。けれどもこの絵本のような収納ボックス、扱いが難しそうだ。通常盤がこうした体裁でないなら、通常盤の方が扱いやすいかも知れない。私は日頃から第九は天をも突くような一種の神通力が感じられないとだめだと思っているが、この第九にはそのような昂揚感が感じられた。
全体としてアップテンポだが重心が低いところが良い。そしてゲヴァントハウスの底光りする楽器の音色が生かされている。音の奥行きも感じられる。シャイーのベートーヴェンは旨く行ったと思う。これからゲヴァントハウスでブラームスの交響曲全集も出すようだから期待大である。

重厚な底光りする美音オケ思わず走る指揮棒の冴え



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする