折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

能登の旅(4)あれこれ・・・

2022年10月10日 | 能登半島の旅

能登島の集落
(今日の絵は3枚とも能登島バス車窓からの写真より)



1泊2日の1人旅。自由な旅はハラハラすることもドキドキすることも多くてそれがまた楽しいし思い出に残ります。1日目8,798歩、2日目は12,052歩と私にしてはよく歩き、お芝居を観て水族館を楽しんでスケッチしてはまた歩く。旅の間空はずっと曇ったままでしたが傘を出すことも無く過ごせたのはなによりのことでした。



漁港




1日目の劇場直行バスに乗ると県外からの方が多い事と何度も来ている方が多いことに、そうなんだ・・・と。私も県外からの参加ですが、お財布を考えてればそう何度も来ることは出来そうにありません。それなら精いっぱい楽しもうと2日間たっぷり思い出を作ってきました。
思い出も出来ましたが、これからまた行きたい旅先も増えました。能登の海沿いの小さな漁村や小さな駅がとても魅力的なのです。他では見かけない油を塗ったように黒く光る重たそうな瓦屋根の家々が重なり合うように建つ海辺や山裾。小さな鉄道駅。小島が点在する海。いつかまたゆっくり訪ねてみたい風景に沢山出会いました。
金沢のお城も古い町並みも美術館も行って見たいのですが、静かな里山や小さな漁村の風景はもっと惹かれます。いつか行く旅に加えます。




黒い瓦屋根の集落・車窓から


七尾南湾・車窓から



名古屋から能登半島へは新幹線が繋がっていない。北陸新幹線が2023年度末に金沢~敦賀間の開業を目指して工事が進んでいます。今回北陸線に乗っている間にも「期待しますか・利用したいですか」などと何頁もあるアンケート調査票が配られましたが、名古屋からは利用しにくい区間です。この新幹線がいつの日か延伸されても最終地は大阪。名古屋は・・・リニアもいつ完成するかわからないし・・・。



アンケートなどの年齢記入欄はいっつも80代、90代は無くて70代以上と一括り・・・



帰りの金沢発の北陸本線の特急はあっという間にほぼ満席、それもサラリーマンの出張帰りらしくあちらでもこちらでも席に着くなりパソコンを開いて缶ビールを飲みながら作業開始。私は聞こえが悪いけれど、隣で絶えずカチャカチャしながら資料を繰ってメモしてと言うのはかなり気になる。若い方たちはお仕事なのだから仕方ないと遊び旅のババさんは補聴器の電源を切る・・・静かです。そして新幹線に接続する米原駅に着くと皆さん一斉に降りて行かれて空席が目立つほどになりました。米原から名古屋まで新幹線なら30分かからず特急ならほぼ1時間。仕事の方には料金は高くても貴重な時間でしょう。
この米原で東海道線と北陸本線とがつながる時、進行方向が変わるのです。なので自分で座席を回転させて方向を変えなければなりません。事前に車内放送があっても聞いていない人もいる。往きは前の席の方が背もたれを倒したままなのでなかなか回転できなくて・・・帰りには後ろの席の方に理解していただくのに少々・・・。米原を出発すると「座席の回転にご協力いただきありがとうございました」と爽やかな声の車内放送でした。遊びの旅ならいろいろあるのもまた楽しいことです。

列車に乗っても温泉地にいてもまだ外国の方に出会うのは少なかった。以前のようにどこへ行っても外国人だらけと言うのも嫌ですが、大きなホテルのがらんとしたロビーやバイキングの朝食の時にも席が埋まることが無い。静かな観光地は大歓迎なのですけれどそう喜んでいてはいけない気もします。が、おかげで一人旅の私も格安で温泉宿に泊ることができたのは有り難い事でした。

いろいろ楽しく過ごした2日間、ブログでは4日間もお付き合いいただき有難うございました。
能登の旅はこれで終わります。







能登の旅(3)のとじま水族館

2022年10月09日 | 能登半島の旅

のとじま水族館の前の高台から・七尾北湾



2日目、目が覚めたのは5時、せっかく温泉宿なのだからと本館の温泉に入りに行きました。前夜は疲れて泊った別館の温泉で済ませていたのです。本館の豪華で広いロビーを通りすぎ、温泉に行くと誰もいない。いくつもの湯舟をあちこち浸かっては移動して、露天風呂には寒すぎる風に首だけ出していると海の向こうの陸の上が少し明るくなりました。雨が降らないならスケッチに行こうっ!と湯から上がると数人の方が入って来られてなぜだかホッとしました。前夜も別館の湯は独りだけでしたから。


6時前、気温13度?で海からの風が強い。カーディガンの上にパーカーを着てちょうどいい。
宿の近くの海沿いを散歩しながら、7時からの朝食までスケッチしては歩く。
いつも食べ過ぎるホテルのバイキングは抑えて押さえてものどぐろの干物が美味しいし御飯も美味しい。食後のコーヒーが美味しければ甘いものもつまみたい。やはり食べ過ぎでした。



大きな旅館やホテルが・・・


能登島大橋が見える


部屋に戻り荷物の整理して今日の目的地の水族館行きのバスまで部屋の窓からスケッチ。夜には気づかなかったけれど4階の窓からは公園の松林越しに海が見える。遠くには能登島に渡るツインブリッジも見える。曇っていても雨の心配はないらしい。



部屋から温泉街を望む


和倉温泉から「のとじま水族館」へは路線バスで全長1キロの能登島大橋を渡り、約12キロのドライブです。山を抜けるたびに海沿いの小さな漁村に出てまた山へ海へと変化にとんだ道。乗客は途中で買い物帰りらしい男性が下りた後はシニア夫婦と私だけ。
そのご夫婦はガラス美術館で下車されたので終点で降りたのは私だけでした。そして帰りのバスは同じ運転手さんで乗ってから和倉温泉駅で降りるまで35分間乗客は私一人。

のとじま水族館へ行く気になったのは長期予報で5日、6日は雨予報だったため雨が降ってもよい場所は・・・と、水族館になりました。いつかここにはジンベイザメがいるとテレビで見て行ってみたいと思ってもいました。大きくてゆったり泳ぐジンベイザメを一度見たいと思いながら沖縄にはもちろん大阪にも行ったことが無かったのです。



能登島水族館


水族館に入るとすぐの大水槽にジンベイザメ2匹。大きなエイや小さな魚といろいろなサメも一緒に悠々と泳ぐ。やっと見られたと思いながら上の階から少しずつスロープを移動して見ているとはじめは大きく見えたのに、想像していたよりも小さくてこのくらいの大きさだったのかと思えてきました。
あとで検索するとこの水槽は直径20メートル水深6メートルなので、水槽で飼育できる限界の大きさになると海に返すのだそうです。今いるジンベイザメは9月末に来た新入り。能登の沖で捕獲された4・1メートルと3・9メートルの2匹だとか。数年前に孫たちが沖縄で見たジンベイザメが「大きかった~!」と言っていたのは8メートルもあったサメだったようです。自然界では10メートルを超すものもあるとか、出来ることなら自然の中で見てみたいものです。意外に小さいとは思いながらも、色々見た後にまた戻って時間があるだけこの大水槽の前の椅子に座って長い時間私も青い世界に浸っていました。


ジンベイザメ館青の世界


イワシのビッグウェーヴ


ペンギンのお散歩タイム


イルカのショウ


ショウが始まる前に

水族館がつまらなかったら1便早いバスに乗って途中で降りてスケッチしようかとも思っていたのですが、意外に水族館は面白い。
展示を見るだけではなくて遠足の小学生と一緒にペンギンのお散歩やゴマフアザラシのお話を色々聞いて、イワシのビックウェーブ、イルカ・アシカのショウ等々と、イベントやショウを見ているだけでも楽しく時間が過ぎました。
帰りのバスまで館の外に出てちょっとスケッチ。雲は多いし風は強いけれど雨が降らないだけありがたい。海は暗い空を映して灰色に近い中に小さな島が点在している。もう少し上の場所から見ればよく見えるだろうとすでに一万歩以上歩いて悲鳴をあげそうな脚をいたわりながら階段を上っていると脇の草の中にふと目に着いた四つ葉のクローバー。どうして目に留まったのか不思議ですが、とっても嬉しい。少し虫食いなのも私らしくていい。
苦労して階段を上った割には見晴らしは今一つでしたが四つ葉のクローバーに出会えたのでもう十分満足。嬉しい気持ちで帰りのバスに乗りました。






橋を渡って能登島とお別れ

JR和倉温泉駅から「特急かかりび」金沢で「特急しらざぎ」に乗り換えて名古屋に着いたのは午後8時前でした。
目いっぱい遊んで思った以上に充実した1泊2日のひとり旅でした。


和倉温泉駅


この後もう1回(4)が続きます。



能登の旅(2)能登演劇堂

2022年10月08日 | 能登半島の旅

能登演劇堂の前は田か畑か広々




左を向いても広々・・・開演前に




いよいよ今回の旅の目的「いのちぼうにふろう物語」の公演へ。
金沢駅からの直行バスは2台でほぼ満席。お芝居見物に女性が多いのはいつものことですが男性がかなり参加されていたのはこれも仲代さんの魅力でしょう。バスは劇場まで1時間半、能登半島を海沿いに北上して劇場到着。のどかな田舎と言ったところにありました。



左の建物が劇場

仲代達矢さんが名誉館長の能登演劇堂は1995年誕生の演劇専用ホール、舞台奥の大扉が開くと能登の自然が広がり舞台と一体になる舞台機構が魅力です。

ネットから




少しでも前の席をと数日分を調べていただいても1ヵ月前の予約では17列目がやっとでした。今は最終日10月10日までの公演チケットは完売。どちらにしてもセリフは多分聞き取れない私なので雰囲気が味わえれば十分です!今回の「いのちぼうにふろう物語」の原作山本周五郎の「深川安楽亭」も直前に読んでおいたのでストーリーも分かる。あとは楽しむだけ!

物語は江戸深川の「島」と呼ばれる無法地帯に建つ一膳飯屋。老いた主人(仲代達矢)が、ならず者たちの親代わりをし暮らしている。誰もが足を踏み入れないこの場所に一人の青年が足を踏み入れて・・・
・・・お金のために落ちてゆくしかない若い二人のために、まるで獣のようなならず者たちが「いのちぼうにふろう」と戦って死んでゆく・・・
ラストは舞台後方の扉が開くと自然の林の中に御用提灯が輝き大勢の取り手。映画のシーンに切り替わったような錯覚をおぼえました。取り手とならず者たちとの大立ち回り、広くなった舞台で89歳の仲代さんも刀を振って・・・最後は拍手と涙と。
幕が下りても拍手は止まず、多くの方が立ち上がっての拍手に何度ものカーテンコール!
お芝居を観てこんなに感動したのはいつ以来、と言えるほど見てはいませんが遠くまで来て本当によかったと思える舞台でした。
来年10月14日~26日、無名塾では七尾出身の絵師、長谷川等伯を主人公にした芝居上演とか…観たいです、でも、遠いです・・・


演劇堂からはまた直通バスで和倉温泉まで30分。助手席を使うほど満席、この方たちが皆温泉泊りなら経済効果も大いにありそうです。私はネットで見つけた一番安かった温泉宿の夕食無しの予約、たまたま劇場で隣に座られた方も一人旅で同じ宿で「夜は近くでお寿司でも食べようと思っていますが、一緒にいかがですか」と誘っていただきました。なのに、人見知りで人付き合いの悪い私は「駅弁買って来たので部屋で食べますから」と。宿の部屋で金沢駅で買った駅弁と宿までの途中で買った缶ビールで夕食。その方と翌朝のバイキングでお会いすると「昨夜のお寿司屋さんにたまたまあの舞台の役者さんたちが来ていらして、話が盛り上がってね。楽しかったですよ」と。翌日は休演日なので役者さんたちもゆっくりされたのでしょうが、駅弁などは食べなくてもお寿司屋さんへ行けばよかったと、後悔しきりです。誘っていただいた方も魅力的でお話をもっと伺いたい方でしたし、チャンスを逃すのはいつものことですが、またまた残念なことでした。
誘ってくださった方が宿に着く前に「これよかったらどうぞ。ここが私の句なの」と言ってバッグから俳句誌を1冊くださいました。「私は忙しくて今日しかここに来れなくて」と、とても忙しそう。部屋でパラパラ見ると巻頭の18句は彼女です。翌朝「巻頭に掲載ってすごいですね」と言うと「一年前から責任者なので」と、言いながら去ってゆかれました。家に帰ってよく見れば彼女は師の後を継がれた選者でもあり俳句誌の編集者でもあり、それは忙しいはずです。宿に向かうバスの中から月が見えると「7日か8日の月ね」と言われた時、こうした話をされる方っていいなと思ったことを思い出しました。気さくで爽やかな方でした。


能登の旅(3)につづきます。





能登の旅(1)長町武家屋敷街跡

2022年10月07日 | 能登半島の旅

金沢駅前の「鼓門」



 



仲代達矢さん主宰の無名塾公演「いのちぼうにふろう物語」を観るために石川県能登へ行ってきました。能登演劇堂まで出かけないと観られないここだけの限定公演です。ずっと以前にテレビのドキュメンタリー番組でこの劇団と劇場のことを知って一度は出かけたいと思っていました。仲代さんは御年89歳、機会を逃したくないと思っていたところ9月の初めに新聞広告を見つけて行くことに決めました。友人に「行けるときに行かなければあなただって歳だしねぇ」と言われれば・・・そうでした。
チケットは広告を見ながら電話で予約できても、劇場はどこにあるのかそこまでどうやって行くのか、考えるのも楽しい事です。調べてみると名古屋から金沢まで行けば金沢からは劇場への直通のバスが出るとのこと。


せっかく金沢まで行って乗り換えるならバスの時間まで少しだけでもと欲張って金沢見物。今まで金沢は通過してしまい街や名所を歩いたことは無かったのです。お天気次第でもあるけれどあまり時間もないので金沢城、兼六園などはまたの機会にして、疲れすぎないようにバスの時間に遅れないように・・・で、近江市場で昼食と少し先の長町武家屋敷町跡へと決めました。


金沢駅からバスに乗りまずはお昼を食べに近江町市場へ。ここの鮮魚店の店先では生ガキも生うにもその場で食べられます。が、予算不足ともしもお腹に何かあれば今度の旅が台無しになると思えば手を出さずに見るだけにしてネットで見ておいた創業昭和5年という「近江町食堂」でお刺身定食をいただいました。お刺身と御飯が期待通りに美味しかった。




お刺身かお寿司か…迷う・・・


近江町市場



時間が無い時間が無いと、食事がすめばすぐに市場前からバスで香林坊まで行き、そこから歩いても近い長町武家屋敷町跡を歩きました。
電柱が撤去されてよく整備された用水沿いに並ぶ土塀や武家屋敷跡。にぎやかな百万石通りから少し入っただけでそこは別世界でした。


土塀が続く


加賀藩千二百石 野村家跡 
パンフレットによると武家制度解体の後、加賀藩豪商久保彦兵衛の屋敷の一部を移築したとあります
庭園は「ミシュラン・グリーンガイド、ジャポン」の格付けで2つ星
米国の庭園専門誌でも日本の庭園3位なのだとか、ゆっくり見せていただくには…時間が…


町の中を流れる「大野庄用水」
金沢には犀川と浅野川を水源として55本の用水があるとのこと 




大野庄用水橋の上から


大野庄用水の二の橋から六の橋まで歩いて、また百万石通りのバス停へ。
尾山神社前のバス停では金沢駅までのバスが頻繁に来て予定通りの時間で金沢駅に戻ることができました。
次回金沢に来るときは時間を取ってお城も庭園も美術館へも回ってみたくなる街でした。

JR金沢駅から演劇堂までは予約の直通バスで。
13:30発→15:00演劇堂着 公演は16:00から。
ここからはまた(2)へ。


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