夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヒッチコック』

2013年04月16日 | 映画(は行)
『ヒッチコック』(原題:Hitchcock)
監督:サーシャ・ガヴァシ
出演:アンソニー・ホプキンス,ヘレン・ミレン,スカーレット・ヨハンソン,
   トニ・コレット,ダニー・ヒューストン,ジェシカ・ビール他

前述の『アンナ・カレーニナ』から約1時間後、同じくTOHOシネマズ梅田にて。
金券ショップで前売り券を購入して観ようと思っていたのに、
本作の前売り券はありませんと言われ、ならばとポイントで鑑賞しました。

アルフレッド・ヒッチコックに扮したアンソニー・ホプキンスが登場。
観客に向かって『サイコ』(1960)を撮ることになったきっかけを語り始めます。

1959年。すでに46本の映画を撮っていたヒッチコックは、
新作『北北西に進路を取れ』のワールドプレミアで、
記者から「そろそろ引退では」と聞かれて憮然とする。

誰が引退などするものか。
次回作へ向けてすぐさまネタ探しを開始したヒッチコック。
さまざまな企画が持ち込まれるが、どれもピンと来ない。

そんなななか、実在の殺人鬼エド・ゲインをモデルにした小説『サイコ』を知る。
本の評判は最悪で、これを映画化しようと思う者などほかにはいないだろう。
周囲の誰もいい顔はしないが、ヒッチコックは次回作を『サイコ』に決定。

しかし前途は多難。
あと1本撮る契約が残っているパラマウント映画は、
最後の1本にそんな殺人鬼の映画を選ぶなんてと非難。
製作費は出さない、配給だけはしてやるという態度。

ヒッチコックは妻のアルマに相談。
優秀な映画編集者かつ脚本家であるアルマすら『サイコ』には懐疑的だったが、
それでも夫のしたいこと、自宅を売ってでも撮りたいという考えに同意する。

こうしてなんとか『サイコ』はクランクインするのだが……。

本作の主人公は、ヒッチコックではなく、アルマでしょう。
あんな巨匠がただの情けないオッサンに見えます。
自分は新作を撮るたびにブロンドの主演女優に入れ込んで好き勝手しているのに、
妻がちょっとほかの男と出かければ嫉妬を抑えられず。
食べるわ飲むわで憂さ晴らし、撮影中も妻の行動が気になって仕方ありません。
こんな夫のことを見守り、手を差し伸べるアルマに喝采を送りたくなります。

どうしてそこまでして『サイコ』を撮りたいのかと問う妻に、
金策に苦労しながら映画を撮っていた頃を懐かしみ、
ただ楽しんで映画をつくりたいんだというヒッチコック。
このシーンは非常に説得力があり、よかったです。

どうせ当たらないから2館でしか上映しないというパラマウントに対し、
ヒッチコックは客の興味を最大限に惹く宣伝をしてみせます。
このくだりもとても楽しい。
本作の配給はもちろんパラマウントではありません。(^^;

先週DVD化された『最終目的地』(2009)を観たところ。
ヒッチコック役のアンソニー・ホプキンスよりも
真田広之とゲイの関係でキスまでしちゃう彼のほうが好感度高し。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする