夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『her/世界でひとつの彼女』

2014年07月03日 | 映画(は行)
『her/世界でひとつの彼女』(原題:her)
監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス,エイミー・アダムス,ルーニー・マーラ,オリヴィア・ワイルド,
   クリス・プラット,マット・レッシャー,ポーシャ・ダブルデイ他
声の出演:スカーレット・ヨハンソン

日曜日に梅田で3本ハシゴの1本目はこれでした。
2本目と同じく大阪ステーションシティシネマにて、朝イチの回を。
まだお酒が抜けきっていない頭で大丈夫かどうか心配していたら、
いい映画だったのに案の定ときおり睡魔に襲われてしまった。(T_T)

近未来のロサンゼルス。
他人に代わって手紙を書くことをビジネスとするハートフル・レター社に、
人の心を打つ優秀な代筆ライターとして勤務するセオドア。
仕事はいたって順調だが、妻キャサリンとは離婚調停のまっただ中。
彼女との想い出が鮮やかすぎて、いつまでも立ち直れずにいる。

そんな彼が、最新式のAI(人工知能)型OS(オペレーティング・システム)の広告に目を止める。
購入者にはいくつかの質問がなされ、その人に最適なOSが起動するらしい。
さっそく購入してPCにインストールすると、
起動したPCから聞こえてきたのは“サマンサ”と名乗る女性の声。
それは人間でないことが信じられないほど人間的。
気に入ったセオドアは、携帯端末にもサマンサをインストール。
家でも出先でも彼女と会話するようになる。

ユーモアにあふれ、かつセクシー、生気がみなぎるサマンサ。
セオドアは彼女との会話が楽しくてたまらない。
やがてそこに恋愛感情までもが芽生え、ふたりはPC越しに肉体関係を結ぶ。
セオドアは、ようやく離婚届に捺印しようと決意するのだが……。

携帯をいまだに持たない私が言うのもなんですが、
本作に出てくる光景は、いつか実際に目にする日が来ても不思議はないでしょう。
街を歩く誰もがスマホに話しかけ、ひたすらひとりでぶつぶつ。
みんなこんなにも楽しげだと、余計に不気味に感じます。

声のみのサマンサとの恋愛ではありますが、
中身は普通の男女の恋愛となんら変わりはありません。
好きになれば相手の交友関係が気になり、
ほかの異性と会っていると聞けば嫉妬し、喧嘩する。
この恋の行く末は、ほろ苦い。

主演のホアキン・フェニックスはとてもいい役者だけど、
ルックス的にはタイプじゃないせいか、
彼と色っぽいスカーレット・ヨハンソンの声が絡んで悶えられると、なんかキショイ。
この点は眠気に襲われてイマイチ乗れなかった理由のひとつ。

AV男優と一緒にしたら怒られるでしょうが(と言ったら逆にAV男優に失礼か!?)、
見た目冴えないAV男優がなぜか人気男優であるように、
悶えるとちょっとキショイぐらいのホアキンが主人公だというのは、
女性より男性のほうが共感しやすい作品なのかもしれません。

自分だけの彼女だと思っていたら二股どころか凄い数の股をかけられていました、
な~んて、相手がOSなだけにハッピーエンドになりようもないけれど、
後味は決して悪くありません。
ほろ苦い恋もこんなふうに終われたら。

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