夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

作家のお遊び。

2014年07月15日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2013年11月に出版された『9の扉』(角川文庫)を読みました。

北村薫が発案者のこの企画は、9人のミステリー作家による9つの短編で構成。
まずは発案者が1編書き、次に書いてほしい作家とお題をリクエスト。
また次の人へとバトンを渡すスタイルで、このリレーがなかなか楽しい。

1編目、北村薫の『くしゅん』を読んだときの感想は「なんだかなぁ」。
北村薫はデビュー作の『空飛ぶ馬』をとてもおもしろく読んだので、
期待しすぎたかなぁと不安な思いに駆られて読み進めたのですけれども、
バトンが渡されるたびにおもしろくなりました。

北村薫は次のランナーとして法月綸太郎を指名、お題は「猫」。
この後、猫→コウモリ→芸人→スコッチ→蜻蛉→飛び石一千万円→サクラと繋がります。
北村薫『くしゅん』にはじまり、法月綸太郎『まよい猫』、殊能将之『キラキラコウモリ』、
鳥飼否宇『ブラックジョーク』、麻耶雄嵩『バッド・テイスト』、竹本健治『依存のお茶会』、
貫井徳郎『帳尻』、歌野晶午『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』、
そして〆は辻村深月『さくら日和』。

前編に繋がる物語を書くべしというルールがあるわけでもなく、そこは作家の好き勝手に。
まったく独立した物語を書いた作家もいれば、
前編の続きを書いた作家、前編の登場人物を自分の物語にも登場させた作家、いろいろ。

執筆者の著作では、法月綸太郎の『生首に聞いてみろ』、殊能将之の『ハサミ男』、
麻耶雄嵩の『蛍』、歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』、
そして貫井徳郎と辻村深月については著作のほとんどを読んでいますが、
鳥飼否宇と竹本健治は読んだことなし。
鳥飼否宇がめっぽうおもしろかったので、長編も読んでみたいです。

あとがきがまたまた粋で、今度はアンカーから順にトップランナーへと戻ります。
購入後にまず最後のページを開いたら、そこにあったのが北村薫のあとがきで、
「あとがきから立ち読みしている人もいるんだろうなぁ」と。
いえいえ、立ち読みじゃないですけどと思いながら笑いました。

すぐに読めるそこそこの1冊。こんな試み、楽しいぞ。

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