夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』

2014年07月09日 | 映画(は行)
『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(原題:Parkland)
監督:ピーター・ランデズマン
出演:ジェームズ・バッジ・デール,ザック・エフロン,コリン・ハンクス,
   ロン・リヴィングストン,ビリー・ボブ・ソーントン,ポール・ジアマッティ他

いつもの土曜日以上に飲みすぎて、へろへろの日曜日。
完璧な二日酔いのうえに睡眠不足。
それでも目覚ましをかけて早起き、這うように映画を観に行く自分を振り返ると、
そないに命を削るような映画鑑賞せんでもええやんと思ったりもするのですが。(^^;

2カ月ぶりのシネマート心斎橋。
韓流の上映が多いので、作品によってはロビーがおばさま方で溢れていることも。
しかしこの日はなぜだか朝イチから中学生ぐらいの少年少女が多い。
いったい何目当てなのかと上映作品を眺めたら、どうやら『青鬼』らしい。
同名ホラーゲームの実写映画化で、主演はAKB48の入山杏奈ちゃんですと。
ずいぶん先の回まで満席完売、立ち見まで出るほどの盛況ぶり。凄い。

さて、シネマート心斎橋は、いい劇場ではありますが、座席の背もたれが浅い。
首上までカバーしてくれないのは体調万全でもツライのに、
ヨレヨレへろへろ状態で耐えられるかと案じていたけれど、
一瞬たりとも眠気に襲われず、画面に釘付け。

ジャーナリスト出身のピーター・ランデズマン監督、これが映画デビュー作。
ケネディ暗殺の日から4日間、さまざまな形で事件に関わった人びとの群像劇です。
タイトルの“パークランド”は狙撃されたケネディ大統領と
その犯人と言われるリー・ハーヴェイ・オズワルドが運び込まれた病院の名前。

1963年11月22日。
アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディがテキサス州ダラスへ。
若い大統領でありながら、次々と起こる歴史的事件に対応してきたケネディ。
世界でもっとも重要な人物と言われ、国民の人気者。
そんな彼が訪れるとあり、ダラスの街は熱気に包まれている。

昼過ぎ、ケネディ大統領とジャクリーン夫人、ジョンソン副大統領を乗せた、
リムジンによるパレードが繰り広げられる予定。
その姿を一目見ようと観客で埋め尽くされたディーリープラザ。
一角に好ポジションを確保したエイブラハム・ザプルーダーは8mmカメラを構える。
カメラがリムジンを視界に捉えたとき、鳴り響く3発の銃弾。一帯はパニックに。
頭に銃弾を受けたケネディは、瀕死の状態でパークランド病院へと運び込まれるのだが……。

ずっと、泣きそうでした。

まさか大統領の手術に当たることになるとは思いもせず、
動揺しながらも手を尽くす若き医師キャリコ(ザック・エフロン)。
息絶えているとわかっていても心臓マッサージを止められません。

シークレットサービスのダラス支局の責任者ソレルズ(ビリー・ボブ・ソーントン)。
彼と彼の部下たちは、史上初めての、大統領を守れなかったシークレットサービスに。
ケネディが亡くなった今、自分たちの任務はジョンソンを守ること。
では、大統領夫人ではなくなったジャクリーンは誰が守るのか。

そのジャクリーンは、血を浴びたままケネディのそばで震えています。
大切に持っていたものをベテラン看護師ネルソン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)に手渡せば、
それは夫の頭蓋骨のかけら。

オズワルドの兄ロバート(ジェームズ・バッジ・デール)は、
弟が逮捕されたニュースを聞き、愕然とします。
警察へ赴くと、妙に堂々とした母親(ジャッキー・ウィーヴァー)が。
自分はこれからいったいどうすればいいのか。

FBI捜査官のホスティ(ロン・リヴィングストン)は、
暗殺の容疑者がかねてからマークしていた男だったと気づきます。
それを知ったホスティの上司は、とんだ失態だと激怒し、
証拠品となり得るものを処分するように命じます。
本当にそれでいいのかと内心で葛藤。

8mmカメラの愛好家のザプルーダー(ポール・ジアマッティ)は、
ただ幸せな光景をフィルムに収めたかっただけ。
なのに世紀の殺人の記録者になってしまったなんて。

手術台上でケネディの服を切り裂くとき、下着に配慮したり、
どこの教会からも葬儀を拒否されたオズワルドの遺体を埋葬するとき、
棺を担いだり土をかけたりするのに手を貸す人がちゃんと居たり。
生死に関わらず、またそれが誰かに限らず、尊厳を守ろうとする人びと。

主要な登場人物はもちろんのこと、
それ以外のいろんな人の気持ちが心の中に押し寄せてきて、
涙はこぼれずとも泣きそうに。

真犯人捜しの映画でもなければ、
本当にオズワルドが犯人だったのかと問う映画でもありません。
だからこそ余計に、彼が犯人だったのかという疑念が残ります。

この事件をきっかけに人生が大きく変わってしまった人びと。
エンドロールで紹介されるその後の人生、
特にロバートがどう過ごしたかが示されたとき、また心が震えました。

なお、ザプルーダーのフィルム目当てで押し寄せたマスコミ各社のなか、
ザプルーダーが唯一信頼できるとしてフィルムを託したのはライフ誌でした。
それもなんだか私のツボで、泣きそうになった一因です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする