夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『観相師』

2014年07月11日 | 映画(か行)
『観相師』(英題:The Face Reader)
監督:ハン・ジェリム
出演:ソン・ガンホ,イ・ジョンジェ,ペク・ユンシク,チョ・ジョンソク,
   キム・ヘス,イ・ジョンソク,チョン・ギュス,キム・テウ他

シネマート心斎橋にて、前述の『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』の1時間後に。
どこへも行かずにロビーで京極夏彦の『死ねばいいのに』を読んでいました。
あいかわらず『青鬼』を観に来たとおぼしき若者でいっぱい。
そんなに話題作なのか、面白いのかと気になるけれど、
フリーパスポートでもないかぎり、やっぱりそれはよう観ない。

朝鮮王朝時代に実際に起こったクーデター事件がモチーフなのだそうです。
“観相師”とは、手の相ならぬ顔の相をみる易者。
ちょうど本作を観る数日前、韓国人の研究者の方とお会いする機会があり、
観相師のことを尋ねたら、韓国ではメジャーだとか。
顔の相どころか、足の裏をみる占いなんてものもあるらしい。

大酒飲みのぐうたら中年男ネギョンは、天才観相師。
妻に先立たれ、息子のジニョン、義弟のペンホンとともに
筆をつくりながら田舎で貧乏暮らし。

ある日、彼の観相による見識の噂を聞きつけた都の芸妓ヨノンが
はるばるネギョンに会いにやってくる。
ビジネスの才覚を持つヨノンは、観相するお茶屋を始めて評判となった女。
ネギョンはヨノンとお供の者を一瞥しただけでその素性を言い当て、
このネギョンを使えば確実に金を稼げるとヨノンは考える。

息子のジニョンは片足が不自由ながら勤勉で、観相を嫌っている。
いずれは仕官したいというジニョンにネギョンは賛成できないが、
立派に仕官したらネギョンとペンホンを迎えにくるからと言い残して出て行くジニョン。

自分たちもしっかり稼いで貧乏暮らしを脱け出そうじゃないかと、
高額な報酬にも釣られ、ネギョンとペンホンは都へ。
ヨノンに上手く騙されて、タダで客を観相するはめに陥るが、
高い地位にある客も大勢おとずれる店のこと、
官僚に取り入れば、良い暮らしも夢ではなくなるにちがいない。

そう思っていたところ、いきなりその機会に恵まれる。
殺人事件の犯人まで観相によって言い当てたネギョンの名は宮廷中に轟き、
徳を備えた高官ジョンソの信頼を得て、宮中の要職に抜擢される。
しかし、王位を狙う王の弟・首陽大君はネギョンを疎ましく思い……。

ネギョン役のソン・ガンホはやっぱり上手い。
シリアスな話なのに、この人が演じるといい具合にコミカルです。
いい奴だけど間抜けなペンホン、頼れる姉御のヨノン、
この一味がクーデターを防ごうとドタバタする様子にはハラハラ。

『新しき世界』で苦悩する潜入捜査官を演じたイ・ジョンジェが
王位を奪うためなら簡単に人を殺める冷酷な首陽大君。
優しい役の似合う人だと思っていましたが、考えを改めます。

ハッピーエンドを望んでいたら、悲しく重いエンディング。
コミカルな演技と打って変わり、凄絶な叫びをあげるソン・ガンホに呑まれます。
占いで世の中までは変えられない。
そうつぶやくネギョンの表情は達観したようでも諦観したようでもあり。

しかし、チラ見しただけで腹黒いのがわかられるって嫌ですよねぇ。(^o^;

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