夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』

2019年03月02日 | 映画(さ行)
『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』(原題:Saturday Church)
監督:デイモン・カーダシス
出演:ルカ・カイン,マーゴット・ビンガム,MJ・ロドリゲス,
   レジーナ・テイラー,マルケス・ロドリゲス他

先週の土曜日、なんばパークスシネマで5本ハシゴ。
狙いはもちろん夕方より上映の『ボヘミアン・ラプソディ』の爆音絶叫上映。
その前に4本は観られそう。
シネマート心斎橋やTOHOシネマズなんばとハシゴすることも考えたけれど、
あちこちうろうろするのが面倒になって、結局5本とも同劇場で。
その1本目に選んだのは本作でした。

不良少年たちが教会に集まって歌うようになる、そんな話を想像していました。
そもそも私、劇場で250本以上観るわりには、
事前に内容を調べることをほとんどしないんですよねぇ。
時間の効率とタイトルの響きだけで選ぶことも多いから、
観に行ってビックリの内容だったなんてこともしょっちゅうで。

原題の「サタデーチャーチ」とは何か。
教会で実施されている、LGBTQの人々を支援するプログラムのこと。
LGBTはもはや誰もが知っている言葉になりつつありますね。
最後のQは ジェンダークィア。自身の性自認や性的指向が定まっていない人を指す言葉。

本作が長編デビュー作となるデイモン・カーダシス監督は、
サタデーチャーチが実施されている教会でボランティアをしていた経験があるそうです。

ニューヨーク。
14歳の少年ユリシーズは、母親アマラと弟エイブの3人暮らし。
父親を亡くし、生活のためにアマラの夜勤が増えたことから、
アマラの姉ローズがユリシーズとエイブの世話を買って出る。
ありがたいことではあるが、ローズは小言ばかりでとても厳しい。

ユリシーズには誰にも言えない秘密があった。それは女装に惹かれるということ。
母親のクローゼットに忍び込んではハイヒールやストッキングを穿いてみる
同級生らには彼の指向がなんとなくわかるらしく、オカマと言っていじめられる。
それを知ったローズからも酷い言葉を投げつけられたユリシーズは、家を飛び出す。

彼がたどり着いたのはLGBTQが集まる場所。
不安げに佇む彼に、ドラァグクイーンのエボニーやゲイのレイモンドが話しかける。
サタデーチャーチに行く途中だったエボニーたちは、ユリシーズも誘う。

家庭でも学校でも居場所を見つけられずにいたユリシーズは
初めてそのままの自分を受け入れてくれた場所にやすらぎを感じるのだが……。

映画としての完成度はあまり高くないように思ってしまいます。
唐突に始まるミュージカルシーンにも違和感。
ミュージカルとカテゴライズするほど歌って踊るシーンは多くなく、
また歌そのものにもそんなに惹かれないのが残念。
それでも観てよかったと思える作品でした。

家出したユリシーズが金を得るために初めて身を売るシーンなど、辛すぎる。
そんな彼を「誰もが通る道だから気にしちゃ駄目」と励ますエボニーたち。
差別はなくなってきていると思いたいけれど、彼女たちの生きる道はまだまだ厳しい。

ローズの横暴ぶりは目に余るほど。この差別意識はなんとかならんのか。
柴田理恵にちょっと似ていて、今後柴田理恵を見たら腹を立ててしまいそう。(^^;

私、ひそかにナジャ・グランディーバのファンなのです。
毎週火曜日の帰り道は、車の中で彼女(でいいですよね?)が出演するラジオ番組を聴いています。
数週間前、子どもの頃、将来何になりたいかという作文に、
彼女は「お父さん」と書いたという話が。
「お父さんって書いてたのに、こんなオカマになって、
親の気持ちを考えると居たたまれない」と彼女。
大笑いしながら話していたけれど、ちょっぴり切なかったです。
いつまでも見守って何も言わずにいてくれるお父さんとお母さん。
この映画のローズとはえらい違い。

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