ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ハレー彗星の人

2017-11-30 | アメリカ事情

 

https://media2.fdncms.com/riverfronttimes/imager/u/original/2601035/marktwain1900.jpg

 

11月30日はSamuel Langhorne Clemens(サミュエル・ラングホーン・クレメンス)の182歳の誕生日である。ペンネームは、マーク・トウエイン、あのトム・ソーヤーやハックルベリー・フィンの作者である。7年前、彼の死後100年目に、それまでカリフォルニア大学バークリー校の金庫に保存してあったトウェイン自筆の草稿が自伝として出版された。これは、たいしたニュースになり、日本でも報じられたことと思う。その自伝は、本人の遺志で、死後一世紀経ってから出版するという条件であった。この出版された自伝は、三巻で、すでに読まれた方も多いだろう。トウエイン死後100年目だった2010年から2015年の間にその三巻は出版された。 出版されるや否やすぐにベストセラーになった点、一世紀過ぎても、アメリカの人気作家の人気作家たる所以を感じる。

 

  

 

マーク・トウエインは、その才能に疑いの余地なく、アメリカの生んだ誇るべき作家で、アーネスト・ヘミングウェイもウィリアム・フォークナーも彼をアメリカ文学の父と称えた。ここで彼の文学については書かないが、私は、トウエインの欧米による植民地主義や帝国主義に反対していた立場をとても尊敬する。ノーベル文学賞受賞者で、ジャングルブックを書いた英国のジョセフ・ラドヤード・キプリングが、1899年に書いた詩、Whiteman's Burdenは、合衆国(そして大英帝国)の帝国主義やスペインとの紛争でフィリピンを統治しようとしていたのを鼓舞するために書かれたようなものだ。この詩は、白人男性には、地上の非白人を植民地主義を通して、彼らの経済的、文明開化を支配・統治する道徳的債務がある、と謳っている。 1890年代、英国のPears’ Soapはこれを自社の石鹸広告に用いた。

しかしながら、マーク・トウエインは、1900年10月各新聞社のインタビューに答えて、自分は(合衆国)帝国主義反対者であると明らかにしたのだ。彼は家族が”所有”していた奴隷と暮らした幼少時、女中だったジェニーは、自分の第二の母であり、その子供達とは兄弟のように育った、と公言していた。世界旅行をした際にも、欧州白人のアフリカ黒人への扱いが、いかにひどく野蛮だったかを目にした。例えば、その頃ベルギー領だったコンゴでは、白人のプランテイションで奴隷のように働かされる黒人達が、もし一日の定まった仕事量をこなさないと、その手首を切り落とされる、などの非情な仕打ちがあった。それがキプリングの”The Whiteman's Burden"が推す欧米白人の”債務”で、それをよしとされる世の中だった。しかしトウエインは、白人が、皮膚の黒い者への人道さえ踏みにじる植民地・帝国主義に、反対を唱えたのだった。欧米白人は、アフリカやアジアの人々を野蛮と言うが、果たして真実野蛮なのは、どちらだろう、と問いかけた。

マーク・トウエインは、三人の娘のうち二人を亡くし、又、親友も亡くすなど、晩年は悲しいことが続いたが、それでも彼は1909年こう言った。

”I came in with Halley's Comet in 1835. It is coming again next year, and I expect to go out with it. It will be the greatest disappointment of my life if I don't go out with Halley's Comet. The Almighty has said, no doubt: "Now here are these two unaccountable freaks; they came in together, they must go out together". 

「自分はハレー彗星とともに1835年地球にやって来た。それは来年またやってくるから、ハレー彗星と共に去って行こうと期待している。もしハレー彗星と去れないなら、それは私の生涯最大の失望だろう。 万能の主は、疑う余地なく、おっしゃった:奇妙な変わりもの二つがここにいる:彼らは一緒にやってきて、一緒に去らなければならない。」

その通りに、ハレー彗星の現れた1910年4月21日、マーク・トウエインは、この世を去った。そして今日11月30日はこの偉大な作家の生誕182年目である。

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