山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

歌舞伎座のカレンダー入手

2020-01-05 16:48:16 | アート・文化

 昨年観劇した「ナウシカ歌舞伎」の余韻が覚めない。原作のマンガ『風の谷のナウシカ』は、宮崎駿の心の煩悶と疾風怒濤がのたうっている。それは生きるという悲しみと希望との錯雑が表現されている。それを歌舞伎という土俵で再現しようとする尾上菊之助らの革新に敬意を払ったというわけだ。今までの歌舞伎だとストーリーをなぞっていくだけのエンターテイメント、つまり、ディズニーの二番煎じではないかと穿った偏見で歌舞伎を見ていたからだ。

 令和2年のカレンダーの表紙は、二代目市川團十郎の「暫(シバラク)」だった。悪党の清原武衡(タケヒラ)が罪なき人を打ち首にしようとしたとき、「しばらく~」と言って鎌倉景政が超人的活躍で救うという十八番。歌川国貞の大首絵のこの浮世絵はよく目にする。市川家の成田屋の四角の家紋「三升」もしっかり描かれている。

               

 1・2月の浮世絵は、曽我兄弟仇討の主要登場人物を七福神に見立てたうちの二人が出ているもの。三叉槍を持っているのが「工藤左衛門祐常」役の五代目市川海老蔵の毘沙門天。曽我兄弟の父の仇。

 袋と扇を持っているのが「小林朝日奈」役の五代目沢村長十郎の布袋。曽我兄弟と工藤祐常とを引き合わせた侍。

 背景には、宝という古字「寶」のある帆をつけた宝船に、山積みされた千両箱が見える。作者は四代目歌川豊国。「応好豊国画」と印字されているが、「応好」とは中国語で「引き受ける」という意味だそうだ。なるほど。

 正月早々、中東ではイランの英雄が米軍に殺害されたというニュースがはいり、世界は短絡した情報やトラブルが巨大なカオスを形成してしまった。そんな幕開けに、「東西・東西、隅から隅まで地球が平和であることを ずずいっとう、お祈り申し上げまする」、と願うばかりだ。ナウシカの絶望が身近なものになった。

 

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