人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小泉和裕 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「交響曲第8番」、チャイコフスキー「交響曲第4番」を聴く ~ 第656回定期演奏会:第1ヴァイオリン堀内麻貴さん退団

2024年05月20日 00時01分03秒 | 日記

20日(月)。わが家に来てから今日で3415日目を迎え、金正恩総書記の妹・与正氏は17日、北朝鮮がロシアと兵器の取引を行っているとの指摘について、「最も荒唐無稽な憶測だ」と否定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国連機関がウクライナで北朝鮮製の兵器が使われたと報告している  荒唐無稽は誰?

 

         

 

昨夜、サントリーホールで新日本フィル「第656回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第8番 ヘ長調 作品93」、②チャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です 指揮は新日本フィル初代監督を歴任した小泉和裕です

先月の定期演奏会が他公演とダブったためトリフォニー・シリーズに振り替えたので、今回が新シーズン初めてのサントリー・シリーズ定期の指定席です

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いうもの新日本フィルの並び コンマスは伝田正秀、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

1曲目はベートーヴェン「交響曲第8番 ヘ長調 作品93」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1811年から12年にかけて作曲、1813年にルードルフ大公邸で私的に初演され、1814年2月27日にウィーンのレドゥーテンザールで公開初演されました この曲はベートーヴェンにしては規模が小さく、第3楽章にメヌエットを置いていることから、古典派回帰か?と思われるのが特徴です 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

小泉が指揮台に上がり第1楽章に入りますが、「相変わらず、変わらないなぁ」と思ったのは、まるで指揮台に根が生えたかのように両足を固定して、演奏中は全く足を動かさないのです そして、ほとんど上半身だけで指揮をします 指揮の振りは大きく、ほとんどカラヤンの振りにそっくりです 1973年カラヤン国際指揮者コンクールで第1位となり、ベルリン・フィルを指揮してベルリン・デビューを飾ったことと無関係ではないでしょう

冒頭から極めて速いテンポですっ飛ばします 弦楽セクションのアンサンブルがとても美しい 第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」の「トリオ」で小泉はテンポを落とし、ホルンに存分に歌わせましたが、この演奏は聴きごたえがありました 第4楽章では、固いマレットで打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻むなか、管弦楽によるメリハリのある演奏が繰り広げられました

この曲で小泉が目指したのは、作品規模に応じた小規模編成のオケによる”軽め”の演奏ではなく、現代の大規模編成によるオケによる”重厚感”溢れる演奏だったように思います

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から78年にかけて作曲、1878年2月10日にサンクトペテルブルクで初演されました 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ ~ モデラート・アッサイ、クアジ・アンダンテ ~ アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

良く知られているように、チャイコフスキーは1877年から14年間、富豪の未亡人であるナジェンダ・フォン・メック夫人から金銭的援助を受けながら作曲活動を行いました 2人は一度も会ったことがなく、夫人は何の見返りも求めなかったと言われています 第4交響曲は彼女の援助を得て作曲した最初の成果のひとつと言える作品です

第1楽章冒頭はホルンを中心とする金管のファンファーレで開始されます これは「運命の動機」と呼ばれる音楽で、全曲を統一します 第2楽章では冒頭の神農広樹のオーボエの抒情的な演奏が冴えていました 第3楽章では渡辺泰のピッコロが際立っていました 全体を聴き終わって思ったのは、小泉はかなり緩急のテンポと強弱を変えてメリハリのある演奏を展開していたことです 歌わせるべきところはテンポを落として存分に歌わせ、アレグロの部分では思い切ってテンポを上げて、アグレッシブな演奏を楽員から引き出しました オケ総動員による力強く輝かしいフィナーレは圧巻でした

満場の拍手とブラボーが飛び交うなか、カーテンコールが繰り返されました

 

     

 

そして、この日の演奏会を最後に新日本フィルを退団することになった第1ヴァイオリン・フォアシュピーラー堀内麻貴さんに小泉氏から花束が贈られました

 

     

 

帰りがけにホール入口脇の事務局受付に寄り、登原さんと ほんの短く立ち話をしましたが、「堀内さんは、皆さんから慕われていました」とのことです 堀内さんは1985年に新日本フィルに入団以来、39年にわたり第1ヴァイオリン・フォアシュピーラーを務めてこられました

堀内さん、長い間素晴らしい演奏を聴かせて下さりありがとうございました いつまでもお元気で ご活躍ください

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井上道義 ✕ 森山開次 ✕ 読響の「ラ・ボエーム」のチケットを取る / NHK交響楽団から会員継続案内届く ~ Aプロ・Bプロとも席替え希望で会員継続へ

2024年05月19日 00時01分27秒 | 日記

19日(日)。昨日、行きつけの理髪店で髪を切ってきました 2か月ごとに通っていますが、この時ほど「えっ、もう2か月も経ったのか!」と、時の流れの速さを感じることはありません この日は、先客に声が大きく やたらと注文をつける中年男がいました   しかし、そこはベテランの理髪師さんなので軽くあしらっていました こういうのを理髪な対応と言います 正確には利発な対応ですが

ということで、わが家に来てから今日で3414日目を迎え、米ロサンゼルス市議会は17日、大リーグのドジャースに在籍する大谷翔平選手に因み、5月17日を「大谷翔平の日」とすることを決めたが、17は大谷選手の背番号で、5月は米国ではアジア・太平洋諸島系米国人の文化遺産継承月間とされている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     この決定が MLB「三冠王」獲得への 良い意味でのプレッシャーになればいいね!

 

         

 

9月23日(月・休)14時から東京芸術劇場コンサートーホールで開かれる全国共同制作オペラ「ラ・ボエーム」のチケット(2階センター後方ブロック通路側)を先行販売で取りました    この公演は、今年末で指揮を引退する井上道義が最後に指揮をとるオペラ公演です 出演はロドルフォ=工藤和真、ミミ=ルザン・マンタシャン、マルチェッロ=池内響、ショナール=高橋洋介、コッリーネ=スタ二スラフ・ヴォロビョフ、ムゼッタ=中川郁文、アルチンドロ=仲田尋一、べノア=晴雅彦、パルピニョール=谷口耕平。合唱=ザ・オペラ・クワイア、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団、管弦楽=読売日本交響楽団、指揮=井上道義、演出・振付・美術・衣裳=森山開次です

 

     

 

         

 

NHK交響楽団から「2024-2025シーズン定期公演」会員継続案内が届きました 現在 私はAプロ2日目(NHKホール)とBプロ2日目(サントリーホール)の会員ですが、新シーズンは各プログラムとも大幅値上げになっているので継続するかどうか迷っていました 検討の結果、Aプロについてはプログラムが重量級で好みの内容なので継続することとしました ただし、現在の席が若干後方なのでもっと前に席に席替えすることにしました Bプロについては毎回協奏曲が組まれていて魅力なので継続することにしました ただし、あまりにも席が後ろ過ぎるので席替えすることにしました

 

     

 

取りあえず、Aプロ、Bプロとも「席替え」する旨を通知しました これからの手続きは、①Bプロの席替えについては、7月1日~同7日の間に新しい席を選んで登録する、②Aプロの席替えについては、7月7日~同15日の間に新しい席を選んで登録する。③Aプロ、Bプロとも希望する席替えが出来たら、現行の席をキャンセルする ④Aプロ、Bプロとも希望する席替えが出来なかったら、現在の席を継続する手続きを行うーという手順になります

 

     

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アジア ユース オーケストラ(8/30)のチケットを取る ~ ムソルグスキー(ラヴェル編)「展覧会の絵」他 / Netflixで中国人作家・劉慈欣のSF小説を映画化した「三体」を観る

2024年05月18日 00時01分11秒 | 日記

18日(土)。昨日は朝から忙しい思いをしました 午前中はいつものように整骨院で腰痛の治療を受け、池袋のSデパートで 単身赴任中の息子にすき焼き用の牛肉を送る手続き(毎月送っている)をしました 昼食後は内幸町のNPCビル内の日本記者クラブ・レストランに行き、2日前にS氏を救急搬送した際に持ち出していた布ナプキンを返却し、帰りがけに同ビルの防災センターに寄って、当日救急車を呼んでくれたI隊長にお礼を言い、地元 巣鴨まで戻って Aクリニックで胃がん検診(胃内視鏡検査)の予約をしてきました   ここまでで8200歩を超え、さすがに疲れました

8月30日(金)19時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる「アジア ユース オーケストラ 東京公演 2024」のチケットを取りました アジア ユース オーケストラ(AYO)は日本、中国、韓国を含むアジア11か国でオーディションにより選抜された若手演奏家103名から構成される臨時編成オーケストラです 毎年夏に約6週間の活動を行い、練習の成果を各地で発表しています プログラムは①ガーシュイン:歌劇「ポーギーとベス」交響的絵画、②バーンスタイン「ウエスト・サイド・ストーリー」から「シンフォニック・ダンス」、③レスピーギ:交響詩「ローマの松」、④ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」です 指揮はAYO首席客演指揮者ヤデル・ビニャミー二です 本当は31日の公演も聴きたいのですが、すでに東響定期演奏会が入っているので諦めました プロのオーケストラも良いですが、アマチュアの若者たちの真摯な演奏を聴くと、プロ以上の感動をもらえることが少なくありません

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3413日目を迎え、4月にあった衆院東京15区補欠選挙で他陣営の街頭演説を妨害したとして、警視庁は17日、政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦(45)と幹事長で補選に立候補し落選した根本良輔(29)の両容疑者ら3人を公職選挙法違反(選挙の自由妨害)容疑で逮捕した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     明らかな選挙妨害だ! 恥ずかしいから「表現の自由」は持ち出すな ただのエゴだ!

 

          

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 久しぶりに作ったので、白ワインを飲みました。断酒のはずが、掛け値なしの「なし崩し」です

 

     

 

         

 

Netflixで中国人作家・劉慈欣(リウツーシン)による異星人との戦いを描いたSF小説「三体」を原作とする同タイトルの映画を観ました 2008年に中国で出版された「三体」は、14年の英訳をきっかけに国外でもヒットし、世界で2900万部も売れ、SF界の世界的な文学賞であるヒューゴー賞をアジア圏の作品としては初めて受賞しました Netflixで公開されている版は舞台を中国から英国に移し、登場するキャラクターは、原作の中国人からオックスフォード大学出身の多様な人種の5人組へと再構築しています また、現在公開されているのは「シーズン1」(エピソード1~8)で、1話あたり44分から63分までとまちまちになっています 私はここ数日の間に4回に分けて全8エピソードを観ました

 

     

 

物語は1960年代の中国から始まります 天体物理学専攻の女子大生・葉文潔は、父親が文化大革命の紅衛兵によって批判され、殴り殺されるのを目撃します その後、彼女は謎めいた軍事基地「紅岸基地」に入り、そこで太陽の増幅反射機能を発見します 彼女は密かにこの機能を使って地球文明の情報を宇宙に送り出し、地球と最も近い恒星系の惑星に住む異星人「三体星人」と関りを持ち始めます 彼女は、地球は人類の手によって救うことはできないと危機感を覚え、異星人に地球救済を求めたのです 三体星人たちは過酷な環境で生きており、質量がほぼ等しい3つの恒星からなる三体星系の運動は解析的に解くことが出来ない多体問題を抱えています 彼らは宇宙に移民することで数百回も滅んでは生き返ってきました 一方、地球人は三体星人の高度な文明を受け入れるか、それとも戦うかの選択を迫られます エピソード1から8までで、三体星人と地球人の接触、科学者たちの謎の死、地球の未来をかけた三体星人との壮絶な闘いが描かれています

「エピソード1」で描かれた、文化大革命時における紅衛兵による知識人に対する断罪シーンは生々しくてリアルです 英国版だからこそ描くことが出来たのではないかと推測します

とにかく、実際に観てみないと分からないSF映画の面白さがあります 「シーズン2」が待ち遠しいです

 

     

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新国立オペラでヴェルディ「椿姫」初日公演を観る ~ 中村恵理、グスターボ・カスティーリョ、リッカルド・デッラ・シュッカ、新国立劇場合唱団にブラボー!

2024年05月17日 00時59分14秒 | 日記

17日(金)。わが家に来てから今日で3412日目を迎え、北朝鮮の金正恩総書記は、戦術ミサイルの生産現場を視察し、これらが軍に配備されれば「戦争準備で画期的な変革をもたらす」と強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     さすがは我らの将軍様! いつもミサイル開発・軍拡最優先で 国民の生活は二の次

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜サラダ」「大根の味噌汁」を作りました 麻婆茄子は何とか美味しくできました

 

     

 

         

 

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でヴェルディ「椿姫」初日公演を観ました 出演はヴィオレッタ=中村恵理、アルフレード=リッカルド・デッラ・シュッカ、ジェルモン=グスターボ・カスティーリョ、フローラ=杉山由紀、ガストン子爵=金山京介、ドゥフォール男爵=成田博之、ドヴィ二ー侯爵=近藤圭、医師クランヴィル=久保田真澄、アンニーナ=谷口睦美、ジュゼッペ=高橋康晴、使者=井出壮志朗、フローラの召使=上野裕之。合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=フランチェスコ・ランツィロッタ、演出=ヴァンサン・プサールです

 

     

 

「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が1853年に作曲、同年ヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演された全3幕4場から成るオペラです

パリの高級娼婦ヴィオレッタは、富豪の息子アルフレードからの求愛に ためらいながらも、真摯な愛に心を開く    二人はパリ郊外で一緒に暮らすが、アルフレードの父ジェルモンがヴィオレッタを訪れ、自分の娘の縁談のためにも二人の関係を終わらせるように頼む   ヴィオレッタは涙を呑んで身を引く   これを裏切りと捉えたアルフレードは夜会で彼女を罵倒するが、やがて誤解と分った時はすでに遅く、ヴィオレッタは病床で愛するアルフレードに看取られ息絶える

 

     

 

私が新国立オペラ「椿姫」を観るのは2002年、2004年、2008年、2011年、2015年、2017年、2019年、2022年に次いで今回が9回目です また、ヴァンサン・プサールの演出で観るのは5回目です

ヴィオレッタ役の中村恵理は大阪音楽大学・大学院修了、新国立オペラ研修所第5期修了のソプラノです 2008年英国ロイヤルオペラにデビュー。2010年~16年はバイエルン州立歌劇場専属歌手となり「フィガロの結婚」スザンナ、「魔笛」パミーナ役などに出演。ウィーン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラなど主要歌劇場で活躍し、新国立オペラでは「蝶々夫人」タイトルロール、「トゥーランドット」リューなどに出演しています 2022年の新国立オペラ「椿姫」では、アニタ・ハルティヒの代役として出演し大成功を収めています 今回のヒロイン役はその時の実績を踏まえての出演と思われます

今回は過去の実績が自信になったのか、中村恵理に余裕が窺えました 第1幕のアリア「ああ、そはかの人か ~ 花から花へ」、第2幕でのジェルモンとの長大な二重唱、第3幕のシェーナ「さようなら、過ぎた日よ」をはじめ、卓越した声量コントロールにより、長いパッセージもモノともせず完璧に歌い上げました ヴィオレッタ役を任せられるのは、歌唱力、演技力に加え、体力も備えた歌手だけです 今回の公演で中村恵理はこの「3つの力」により、この役を「自分のもの」にしたように思います 彼女は小柄な女性ですが、実力に身体の大小は関係ないことを証明しています

 

     

 

アルフレード役のリッカルド・デッラ・シュッカはイタリア出身のテノールです 2017年にミラノのアドリアーナ・マリポンテ国際声楽コンクール、アンジェロ・ロフォレス国際オペラコンクールで優勝 現在、イタリアの歌劇場を中心に活躍しています 歌唱に無理がなく、自然に美声が出てくる印象があります

ジェルモン役のグスターボ・カスティーリョはベネズエラ出身のバリトンです エル・システマで音楽教育を受け、2016~18年ミラノ・スカラ座アカデミーメンバーとなる。ボローニャ歌劇場などで活躍しています 声に独特の艶があり、威厳のある落ち着いた歌唱により存在感を示しました 第2幕でのヴィオレッタとの二重唱、そしてアリア「プロヴァンスの海と陸」はバリトンの魅力が十分発揮された素晴らしい歌唱でした

特筆すべきは新国立劇場合唱団の迫力のあるコーラスです 第1幕での「乾杯の歌」をはじめ、力強い合唱により存在感を示しました また、ローマ出身のフランチェスコ・ランツィロッタ指揮東京フィルは、歌手に寄り添いつつ、ヴィオレッタの悲しみを、アルフレードの悔しさを、ジェルモンの親心を歌い上げました

ヴァンサン・プサールによる演出・舞台つくりの特徴は、床面と左右両サイドの壁を鏡張りにしていて、幻想的な世界を表出していることです 第2幕第2場でアルフレードがヴィオレッタを罵倒するシーンで、背景の壁が奥の方に倒れる演出は斬新です また、第3幕では手前のヴィオレッタと他の登場人物の間に巨大な薄い幕(レースカーテン)が下ろされていて、ヴィオレッタはすでに死の世界にいることを暗示しているように見えます 何回観ても分からないのは、第2幕のパリの屋敷で、空中に浮いている白いパラソルです あれはいったい何を意味しているのか? とてもシュールです

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、ヒロインの中村恵理に一層大きな拍手とブラボーが浴びせられました 聴衆の熱狂的な反応を見る限り、初日公演は成功裏に終わったと言ってもよいと思います 終演は21:55でした

 

     

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阿川佐和子著「話す力 心をつかむ44のヒント」を読む ~ 自主性に乏しい日本人だからこその会話の妙や楽しみ方を指南:「他人の話の中にヒントがある」「話相手との距離感」など

2024年05月16日 00時19分18秒 | 日記

16日(木)。昨夕5時から、内幸町のNPCビル9階の日本記者クラブ・レストランで、新聞関係団体(NSK)でお世話になった「Kさんを囲む会」が開かれたので参加しました Kさんは私が同団体に入職した時の国際部の直属の上司で、現在は年の半分をイギリスの家で、半分を東京の家で過ごしています 現在、ちょうど東京に滞在中であることから、Kさんが総務部長時代の部下だったU氏が当時のゆかりの職員たちに声をかけて集まったものです 会の様子は このブログの最後に書きます

ということで、わが家に来てから今日で3411日目を迎え、トランプ前米大統領(共和)の刑事裁判が続くニューヨーク州の裁判所を14日、共和党のジョンソン下院議長が訪れ、「これは茶番劇の裁判だ」と痛烈に批判したが、法廷には共和党の有力政治家らが次々と傍聴に訪れては、トランプ氏に忠誠を示すかのように裁判を批判する異例の展開になっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ますますトランプが敗れた時の 共和党議員の手のひら返しが 楽しみになってきた

     

  昨夜は娘も私も外食だったので、夕食作りはお休みしました  

 

         

 

阿川佐和子著「話す力 心をつかむ44のヒント」(文春新書)を読み終わりました 阿川佐和子は1953年東京都生まれ。エッセイスト。作家。慶応義塾大学文学部西洋史学科卒。1983年からTBS系「情報デスク Today」のアシスタント、89年から「筑紫哲也 NEWS23」のキャスターを務め、98年から「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)にレギュラー出演している 99年に檀ふみとの往復エッセイ「ああ言えばこう食う」で講談社エッセイ賞、2000年に「ウメ子」で坪田譲治文学賞を受賞 12年「聞く力 ~ 心をひらく35のヒント」が年間ベストセラー第1位になり、14年に菊池寛賞を受賞

 

     

 

2012年に刊行された「聞く力 ~ 心をひらく35のヒント」についてはこのtoraブログでもご紹介しましたが、1993年から週刊文春で連載中の「阿川佐和子のこの人に会いたい」のインタビュアーとしての知識・経験が披瀝されていて、大いに参考になりました

本書は「『聞く力』が売れたから、もう一儲けしてやろうということで出版された」のではないようです アガワさんは15ページにも及ぶ「ちょっと長めのまえがき」の中で、次のように”言い訳”しています

「『聞く力』を出したあと、読者からさまざまな感想が届きました その中に、『読んで良かったです。仕事の打ち合わせとかで、どうやって話を切り出したらいいかわからず、そんなときの参考になりました』。こういう声が意外に多かったと編集部から報告を受けました そうか、人の話を引き出すことに悩んでいる人が多いだけでなく、話の切り出し方に苦労している人も多いのか。そう気が付きました そこで二匹目のドジョウ目指して、というわけではありますが、『話す』をテーマにまとめてみることになった次第

そして、日本人は会話が苦手な人が多いのではないかと指摘した上で 次のように書いています

「自主性に乏しい日本人だからこその会話の妙や楽しみ方はあるはずです 最初から自分の意見を押し出すのではなく、相手やまわりの気持ちを推し測りつつ、発言を試みる。それもまた悪くない文化だと思えば、話の切り出し方の小さな糸口が見えてくるような気がします ならばどんな方法があるのか。あくまでも私自身の経験や人からの伝聞によって心に留まったあれこれですが、本書ではちょっくらお喋り、いや、お話ししていきたいと存じます

そして本文に入っていきますが、本書は次の4つの大項目から構成されています

Ⅰ。他人の話のなかにヒントがある

Ⅱ。話し相手との距離感

Ⅲ。日本語は相手の様子を見る言語

Ⅳ。上手な話と良い日本語

アガワさんは「Ⅰ。他人の話のなかにヒントがある」の中で、「自分が話したいことを見つける」「相手の話のリズムを察する」「相手の話に共感し反応する」「助け舟を出すことを心がける」ことの重要性を説いています

「Ⅱ。話し相手との距離感」の中では、「相手との距離感をつかむ」「距離と時間をおくことも必要」「絶妙な突っ込みは会話の妙」「話題に窮したら病気自慢」「小話を頭の抽斗に入れておく」などのヒントを与えています

「Ⅲ。日本語は相手の様子を見る言語」では、「日本語は相手の出方によって自分の発言を変えられる」「語り手をノセる合いの手」「初対面での会話術」「スマホ依存は言葉を忘れさせる」などの知識を披露しています

「Ⅳ。上手な話と良い日本語」では、「専門用語で逃げるな」「話の使い回しは落語と同じ」「ダジャレを嫌がらないで」「不幸な体験は宝物」「大惨事になる前に、笑うところを見つける」などのアドヴァイスを与えています

誤解のないように補足しますが、「ダジャレを嫌がらないで」は、ダジャレを言う人に対して「ダジャレを嫌がらないでどんどん言いなさい」ということではなく、ダジャレを聞く立場に人に対して「ダジャレを言われても嫌がらないで聞いてあげれば、本人は気分が良くなって良い方向にいく」という意味です 私は時々”シャレ”は言いますが、”ダジャレ”は言わないので関係ありませんが

また、「不幸な体験は宝物」についてアガワさんは次のように書いています

「話のネタというのは、不幸な内容ほど聞きたくなるものです 『人の不幸は蜜の味』と昔から言うように、『私、酷い目に遭っちゃったの』と告白された途端、『えええ、どうしたのよぉ』と同情の声をかけながら、目がキラキラ光り出すのが人の常 人は他人の不幸話に魅了されます。長生きして、高齢者施設に入ったとき、過去にどれほど酷い目に遭ったかを周りの人たちに話してみるのはいかがでしょう たぶん施設のいちばんの人気者になると思います

「いやぁ、腰痛でコンサートのチケットを3枚も無駄にしてしまった」・・・・どうです、蜜の味でしょう

ところで、会話をする上で「合コンさしすせそ」は年齢層を問わず参考になりそうです アガワさんは、若い女性に合コン事情を聞いて「ためになった」として紹介しています それは次のようなものです

さ・・・さすが!

し・・・知らなかった!

す・・・すごーい!

せ・・・センスいい!

そ・・・そうなんだ!

相づちとして、これだけ使い分けていれば、とりあえず相手は気持ちよく話し続けてくれるという ー とアガワさんは解説しています

本書はアガワさんの経験に基づいて書かれているので、内容が具体的で説得力があります 「聞く力」とセットで読むと一層理解が深まると思います    ビジネス・パーソンに限らず様々な分野の方々にお薦めします

 

         

 

昨夜開かれた「Kさんを囲む会」の話に戻ります

前回、Kさんを中心に集まったのは昨年3月16日で、NSKが入居しているビルを管理するNPCの監査役を務めたA君の退任慰労会を兼ねた会合でした 今回はKさんと娘さんのほか、呼びかけ人のU氏(元NPC専務)、U氏の同期M女史とH氏、NPC元監査役S氏とA君、元NSK事務局次長で現在東京都多摩市の市長を務めているA君(途中参加)、映倫関係の仕事をしているS君、そして私の計10人が参加しました Kさんは今年秋に満92歳になられるということで、今回は娘さんが付き添って参加されました

会では参加者各自がKさんとの思い出を語りましたが、2時間ほど経過した7時頃に、S氏の意識が薄れてきて、声をかけても反応がなくなったので、急きょ防災センターを通じて救急車の出動を要請しました 誰かが付き添わなくてはならないので、NSKでもNPCでも後輩にあたる私が救急車に同乗することになりましたが、幸い近くの虎ノ門病院が受け入れてくれました S氏が検査を受けている間、私は待合室で待つことになりました 1時間くらい経って、看護師さんに呼ばれたので室内に入って点滴中のS氏と会話をしたのですが、かなり意識はハッキリしていて、緊急連絡先の娘さんに本人が電話をかけたくらいでした(留守電だったが、後でつながった)。8時半頃、検査担当医師が説明してくれたのですが、「心臓の疾患でもないし、脳梗塞のような症状でもないので、水分不足の中をアルコールを飲んだ(生ビール1杯とワイン少量)ことが原因だと考えられる 入院の必要はないので帰ってよい」とのことでした この間、会の呼びかけ人U氏から心配の電話が何度かかかってきたので、経過を報告しました その後、会計を済ませている間にA君が病院に来てくれて、S氏と帰る方向が同じなのでタクシーで自宅まで送ってくれるというので、バトンタッチしました

つい先日、サントリーホールで演奏中に急病患者が出て救急搬送されたことに関して「コンサートでは 何が起こるか分からない」と書いたばかりです 今回「飲み会では 何が起こるか分からない」と書くことになるとは 思ってもみませんでした  今回の件については、大したことがなくて本当に良かったと思いますが、これは決して他人事ではありません 「明日はわが身」を今回の教訓としたいと思います

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