夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

アメリカ新大統領の就任について 《下》

2009-01-21 16:07:10 | 時事【政治・経済】等
前回は、オバマ新大統領の就任演説を読売新聞のサイトより転載し、
少しボケた政治も無知な私の思いをわずかに綴って程度であり、
これまでオバマ氏への私なりの思いを多少綴ってきたのがありので、
再掲載をする。


昨年の11月7日にこのサイトで、
【 オバマ次期大統領の関係した記事で、私が一番感銘を受けたニュースは・・。 】
と題して、投稿していた。

【・・
周知の通り、アメリカ合衆国の次期大統領は、オバマ氏となり、
私は日本の年金生活の無力な身ながら、期待しているひとりである。

私は読売新聞の11月6日の朝刊に掲載された、
『オバマ氏の勝利演説要旨』を精読したした。

【・・
我々の前に立ちはだかる試練は極めて大きい。
(イラクとアフガニスタンの)2つの戦争、気候変動、そして経済危機。
道のりは長く、上るべき坂は厳しい。
1年や1期(4年)では、成し遂げられないかもしれない。
だが米国が今夜ほど希望に満ちたことはない。
約束しよう。我々は、必ずそこにたどり着くと。
・・
世界を破壊しようとする者は打ち倒し、
平和と安全を求める者を支えよう。
米国の真の強さは武力や経済力ではなく、
理想を実現する力--民主主義と自由、機会、決して朽ちることのない希望にある。
・・


以上、読売新聞より無断であるが、引用させて頂いた。
注)新聞記事の原文より、あえて改行を多くした。


私はこの記事を読んだり、オバマ次期大統領の関係したニュースを
NHKのテレビ・ニュース、特集番組を視聴したり、
読売新聞、ネットの数多くの記事を読んだりしたのであるが、
深くため息をしたりしたのである。

アメリカの国民はもとより、各国の人々から期待と希望を託されたオバマ氏であるが、
余りにも未知数が多く、国際間に於いて、それぞれの国の国益に基づく怜悧な政策方針、
そして価値観も差異があるので、
果たしてアメリカの今後はどのように変貌するのか、
何よりオバマ氏は大統領として、どのような形で対応した言動をされるか、
私なりに今後も注視しょうと思っているのである。

このような時、私がここ数日で、オバマ氏に関係したニュースは数多くあるが、
たったひとつ私は感動し、そしてまもなく感銘を受けた記事があった。

やはり読売新聞の11月6日の朝刊に掲載された記事で、
香港の竹内誠一郎氏が報じたきじである。

【・・
コリン・パウエル前米国国務長官は5日、訪問先の香港で報道陣に対し、
米大統領選で黒人として初めて当選を果たしたオバマ氏について、
「おめでとうと言いたい。
有能な彼は、たまたま黒人だったというだけ。
選挙戦では黒人、白人、中南米系すべてと対話し、取り込んだ」
と語った。

ブッシュ政権の1期目で黒人として初めて国務長官を務めたパウエル氏は、
共和党員ながら、同じ黒人のオバマ氏に投票すると表明していた。

オバマ新政権の主要閣僚として登用されるとの見方も出ていたが、
「ノーだ。
若い世代に引き継がれるべきで、
私は政府に戻るつもりはない」
と否定。

一方で、「求められれば助言はする」
と述べた。
・・】

以上が記事の全文を掲載させて頂いた。
注)新聞記事の原文より、あえて改行を多くした。


私は国務長官を務めたパウエル氏について、初めて注視したのは、
遅ればせながら湾岸戦争であった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%AB

時のジョージ・H.W.ブッシュ大統領の指示に基づき、
アメリカ軍はもとより、各国が参加された国連軍の実質上、
指揮を取られた方がパウエル氏と知り、
私はこのお方の略歴を見たりし、驚いたひとりであった。

これ以来、周知の通り、世界各国の人々から注視されながら、
私はこのお方の言動を何かと好感していたひとりであった。

今回の発言も多難な決断事項が待ち構えているオバマ氏にとっては、
パウエル氏が従来のように慈父のような思いのまなざしで暖かく支援し、
そして今後もさりげないアドバイスをされ、
オバマ大統領が真摯に受け止めれば、
『イエス・ウィ・キャン(そうだ、我々にはできる)』
とふたたび明るいまなざしで、オバマ大統領はアメりカ国民に呼びかけることができる、
と私は確信したりしている。
・・】



この前には11月5日にこのサイトに於き、
【 何故、オバマ氏は大統領になれたか・・!? 】
と題した綴りを投稿していた。

【・・
私は年金生活5年生の身であり、政治には疎(うと)いが、
読売新聞や総合月刊雑誌で、初めてオバマ氏を注視しはじめたのは、
今年の年始の頃からであった。

民主党の予備選に於いて、クリントン夫人との加熱した記事を読んだり、
テレビのニュースを視聴したりし、
遅ればせながら、労苦の末の経歴を知ったりしたのである。
知性に満ちた演説され、人を包み込むような言動があり、
私は秘かに期待していたのである。

しかし、クリントン夫人の背後には、
クリントン元大統領が軍師となれば、選挙戦に馴れた前には、
残念ながらオバマ氏は惜敗するだろう・・。
そして、何よりオバマ氏は黒人であるので、
根強い白人社会の一部からは賛意は得られないだろう、
と私なりに思えたのである。

このような思いで、私はこのサイトで、2008年2月6日に於いて、
民主党の代表予備選が過熱している時に、
【アメリカの次期大統領は、ヒラリー女史・・!?】
と題して、投稿したのである。

大半を再掲載すると、

【・・
ここ数ヶ月のニュースで、殆ど毎日アメリカの次期大統領のニュースが報じられたいる。

私は日本人のひとりで年金生活の4年生の身であり、
日頃は山川草木を主軸に、季節の移ろいを何よりも享受できるように生活をしているが、
何となくアメリカの次期大統領が気になるのである。

現在は、大統領の予備選に於いて、
民主党の指名争いがヒラリー・クリントン上院議員(60歳)と
バクラ・オバマ上院議員(46歳)の間で過熱を帯びている。

こうした状況をニュースなどで視聴していたら、
最終的には、アメリカ国民は共和党より、民主党を選び、
そしてヒラリー女史が大統領に、と何となく感じたのである。

そして、ヒラリー女史は、副大統領としてオバマ氏を選び、
このお2人で次期のアメリカの進路を決める・・
何の根拠もなく、全くの政治には素人であるが、
このように感じたのである。

バクラ・オバマ氏の経歴、演説の一部を聴いて、
涙ぐましく感銘を受け、私は20代の若さであったならば、
オバマ氏に大統領、と熱く期待もしたと思う。

しかし、明日のアメリカを託(たく)すのは、
アメリカの選挙民のすべての人々であり、こうした心情を配慮すると、ヒラリー女史かしら、
と思ったのである。

果たして、どの方が選定される未知であるが、
東洋の片隅にある日本に多々影響をもたらすので、
日本の国民のひとりとして、少しボケた私でも注視したりしている。

・・】


このように投稿したのであるが、周知の通り、
熱戦の末、オバマ氏が民主党の予備選を勝ち抜いたのである。

この後は、アメリカを中核とした投資金融経済の破綻があり、
肝要な実体経済を脅かして、
各国の経済はもとより、社会、政治まで混迷をもたらしている。

このように投資金融経済の神話が崩れ去る中に於いて、
共和党の代表・マケイン氏、そして民主党の代表・オバマ氏で、
次期大統領選が渦中と入ったのである。

昨今のニュースに於いては、オバマ氏が優勢、
と読売新聞、テレビの特集記事で報じられていた。


選挙の結果は、今日の昼ごろまで大勢が判明する、
とニュースが報じて折、私なりに注視しているひとりである。

そして私は、
『オバマ氏が優勢と伝えられているが・・
俺はマケイン氏にどれだけ大差で票を獲得するか・・
注目しているよ・・』
と家内に云ったりしていたのである。

その後、私は買物で外出し、帰宅したら、
オバマ氏、次期大統領に確定、と知った次第であった。

改めて、何故オバマ氏は大統領になれたのか、
と私なりに考えたのであるが、これ以上適切な理由はないと、
確信したサイトの記事があった。


読売新聞のアメリカ総局長・岡本道郎氏が、
【YOMIURI ONLINE】11月5日13時49分に於いて、
配信された記事であった。

タイトルは、『「変革」の夢、結実なるか…オバマ氏勝利』
と題されて、記事は下記のように綴られていた。

【・・
アメリカ新時代の幕開けを告げる偉大な風が吹いた。
超大国のかつてない威信低下を招いた「ブッシュの8年」との決別を期し、
米国民は、民主党の若き黒人政治家バラク・オバマ氏に、
米国の変革と再生を託した。

初の黒人大統領誕生は、1776年の独立宣言ですべての人の平等をうたいながら、
奴隷制を廃止せずに建国した“原罪”を持つ米国が、
232年を経てたどり着いた歴史的道標だ。
しかし、それ以上に、2001年の9・11同時テロ、
それに続くイラク、アフガニスタンの二つの戦争、
そして、「経済の9・11」と言われた金融激震という危機と混迷の複合が、
米国民に劇的な政治変革への渇望を生んだ側面が大きい。

米国が悪い方向に進んでいると考える国民は8割に達する。
米国の誇る民主主義が、中東やアジアで、恐怖と混乱をもたらすものとみなされ、
米国自身、テロとの戦いの中で、
人間の自由と尊厳をないがしろにする行為に手を染めた。
そんな幻滅と自省が、白人支配の続いてきた米国にあって、
「黒人大統領」という未体験の選択を実現させる誘因となったことは否めない。

だが、オバマ氏がこの歴史的選挙を制したのは「黒人だから」ではない。
白人を母に持ち、黒人差別撤廃を目指した公民権運動の指導者とも世代が二回り違うオバマ氏は、
怒りを捨て、知的でハンサムな黒人として、
白人に優しくほほ笑み、端正な発音で希望の言葉を投げかけた。
これが白人社会に受け入れられた。
何より、人種や性、年齢の差、また、この8年間に亀裂を深めた共和・民主、保守・リベラルという党派の対立を超え、
国民全体に手をさしのべたからこそ、
アメリカが輝きを取り戻すための最良の指導者と判断された。

一つのアメリカ――すべてを「包含」しようとするそのメッセージは、
「(黒人に限らない)すべてのアメリカ人のための、
より包括的な21世紀版公民権運動」(ロナルド・ウォルターズ・メリーランド大教授)とも言える。
共和党のマケイン陣営が逆に、「真のアメリカ」の結束を訴え、
「我々(白人、保守)」と「他者」との区別を図ろうとしたのとは対照的だ。

オバマ氏の呼びかけは同時に、単独行動主義に走ったブッシュ時代の米国に不安を抱き、
多極化の様相を濃くする世界への協調と和解のメッセージでもある。

しかし、まだ、オバマ氏の理念は「言葉」だけに過ぎない。
氏を待つ現実の厳しさは、歴代のどの大統領就任時と比べても引けをとらない。
金融危機の足かせは重く、テロとの戦いも続く。
黒人だからこそ、ミスは白人以上に指弾されよう。
オバマ氏が掲げた夢が米国を救う「革命」に結実するのか、幻に終わるのか。
ドラマの続きはこれからだ。
・・】

以上、無断であるが全文を掲載させて頂いた。
注)記事の原文より、あえて改行を多くした。


私は記事を読みながら、深くため息をついたりしたが、
読売新聞のアメリカ総局長・岡本道郎氏の専門家の正鵠な記事に、
数多く学んだのである。

そして、氏がこの記事の最後に指摘された通り、
就任後のオバマ氏には現実の重責が待って折、アメリカ国内はもとより、
海外諸国、特に日本の影響は、少しボケた私は考えたりしている。

・・】


私なりの思いも、このように投稿していたのである。
私は日本の一部の方たちが、
日本は憲法の第9条があったから敗戦後の平和が保たられた、
という余りにも国際の怜悧な世界観から逸脱した園児のような見解に賛意できないが、
果たして、オバマ新大統領はアジアの特に日中に対して、
アメリカ自国の国益に基づいて、どのような政策と戦略がとられるのか、
そして日本にどのような具体的な要求、協力要請をしてくるのか、
政治の世界も疎(うと)く無力な日本の年金生活の私なりにハラハラしているのが本音である。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカ新大統領の就任について 《上》

2009-01-21 11:50:18 | 時事【政治・経済】等
私は東アジアの片隅にある日本で、
少しボケた年金生活の5年生であり、日頃は山川草木を基軸とした日常生活を過ごしているが、
今朝は『アメリカのオバマ大統領の就任』ニュースを盛んに報じていたので、
テレビで視聴していた。

私はNHKの衛星放送で各国の報じるニュースを観て、
それぞれ国の視点から放映される事象を学んだりしたのである。

もとより国家は、怜悧な国益に基づいて言動される現実、歴史があるので、
国家の代表される方たちは、たとえコメントであろうとも、
発言される内面には、自国の国益が息付いているのである。


この後、読売新聞社に寄るネットの【YOMIURI ONLINE】を見て、

【 オバマ米大統領、就任演説全文(和文) 】

の見出しを見て読んだりしたのである。


【・・
オバマ新政権
 【ワシントン支局】オバマ新大統領の就任演説全文は次の通り。


 ◆危機への決意◆
市民の皆さん。
私は今日、我々の前にある職務に対して厳粛な気持ちを抱き、
あなた方から与えられた信頼に感謝し、
我々の祖先が支払った犠牲を心に留めながら、ここに立っている。

私は、ブッシュ大統領の我が国への奉仕、並びに大統領がこの政権移行期間に示した寛容さと協力に感謝する。


これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行った。
宣誓は、繁栄の高まりのときや、平和で静かなときに行われたこともあった。
しかし、しばしば、宣誓は、暗雲が垂れこめるときや荒れ狂う嵐のときに行われた。
こうした時、米国は、指導者たちの技量や理念だけに頼ることなく、
我々人民が祖先の理想に忠実で、建国の文言に正直であることによって、乗り切ってきた。


ずっとそうやってきた。この世代の米国人も同様にしなければならない。

我々が危機の最中にいることは、現在では明白だ。
我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。
我々の経済は、ひどく弱体化している。
一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、
厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。

家は失われ、職はなくなり、ビジネスは台無しになった。
我々の健康保険制度は金がかかり過ぎる。
荒廃している我々の学校はあまりにも多い。
さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、
我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、
日増しに増え続けている。


これらは、データと統計に基づく危機の指標だ。
予測は困難だが、間違いなく深刻なのは、
我々の国土に広がる自信の喪失や、米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、
次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖だ。

今日、私はあなた方に告げる。
我々が直面している試練は本物だ。試練は深刻で数多い。
試練は容易に、または、短い時間で対処できるものではない。
しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は対処されるだろう。


この日、我々は、恐怖ではなく希望を、
紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだため、ここに集った。

この日、我々は、我々の政治をあまりにも長い間阻害してきた、
ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言する。



 ◆国家の偉大さ◆
我々の国はまだ若いが、聖書の言葉には、
子どもじみたことをやめるときが来たとある。

我々の忍耐に富んだ精神を再確認し、より良い歴史を選び、
貴重な才能と、世代から世代へと引き継がれてきた尊い考えを発展させるときが来た。
尊い考えというのは、すべての人は平等で、自由で、
あらゆる手段により幸福を追求する機会を与えられるという、
神からの約束のことである。


我々の国の偉大さを再確認するとき、
我々は、偉大さが決して与えられたものではないことに気づく。
それは勝ち取らなければならないのだ。
我々の旅は、近道でも安易なものでもなかった。
我々の旅には、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを望むような、
臆病者のための道筋はなかった。

むしろ、我々の旅は、危機に立ち向かう者、仕事をする者、創造をしようとする者のためのものだ。
それらの人々は、著名な人たちというより、しばしば、無名の働く男女で、
長い、でこぼこした道を繁栄と自由を目指し、我々を導いてきた人々だ。

我々のために、彼らは、わずかな財産をまとめ、新たな生活を求めて大洋を旅した。

我々のために、彼らは、劣悪な条件でせっせと働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕した。

我々のために、彼らは、(独立戦争の戦場)コンコードや(南北戦争の)ゲティスバーグ、
(第2次大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンのような場所で戦い、死んだ。


しばしば、これらの男女は、我々がより良い生活を送れるように、
手の皮がすりむけるまで、もがき、犠牲になり、働いた。
彼らは米国を、個人の野望を合わせたものより大きく、
生まれや富や党派のすべての違いを超えるほど、偉大であると考えていた。



 ◆米国を作り直そう◆
これが今日、我々が続けている旅なのだ。
米国は依然として地球上で最も繁栄し、力強い国だ。
我々の労働者は今回危機が始まった時と同様、生産性は高い。
我々は相変わらず創意に富み、我々が生み出す財やサービスは先週や先月、昨年と同様、必要とされている。
能力も衰えていない。

しかし、同じ手を用いるだけで、
狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りする、そんな時代は確実に終わった。
今日から我々は立ち上がり、ほこりを払って、
米国を作り直す仕事に取りかかろう。


なすべき仕事は至る所にある。
米国経済は、大胆かつ迅速な行動を求めている。
そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の礎を整えることができる。

道路や橋を造り、電線やデジタル通信網を敷き、商業を支え、
我々を一つに結び付ける。
科学を本来あるべき地位に戻し、
医療の質を引き上げながら、そのコストは減らす。
太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かす。
新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていく。
我々はすべてのことを成し遂げられるし、行っていく。


我々の野望の大きさについて疑念を抱く人がいる。
我々のシステムは多くの大きな計画に耐えられないと指摘する人もいる。
だが、彼らは忘れている。
彼らはこの国が何を成し遂げたかを忘れている。

想像力が共通の目的と出合った時、必要が勇気と結びついた時、
自由な男女が何を達成できるかを忘れているのだ。

皮肉屋が理解できないのは、彼らがよって立つ地面が動いたということだ。
長い間、我々を疲れさせてきた陳腐な政治議論はもはや通用しない。

我々が今日問うべきなのは、
政府の大小ではなく、政府が機能するか否かだ。
家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、
立派な退職資金を手に入れることの助けに、政府がなるかどうかだ。

答えがイエスの場合は、その施策を前進させる。
ノーならば終わりとなる。
公的資金を管理する者は適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるように業務を行う。
それによって初めて、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できる。


問うべきなのは、市場の良しあしでもない。
富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはない。
だが、今回の(経済)危機は、監視がなければ、
市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた。

我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、
我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。
慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ。



 ◆我々の安全とは◆
我々の共通の防衛については、安全と理想とを天秤(てんびん)にかけるという誤った選択を拒否する。
我々の想像を超える危機に直面した建国の父たちは、
法の支配と国民の権利を保障する憲章を起案した。
憲章は、何世代もの犠牲によって拡充された。

これらの理想は、今日でも世界を照らしており、我々は都合次第で手放したりはしない。
今日(の就任式を)見ている他国の国民や政府ら。
巨大都市から私の父が生まれた小さな村まで。
米国が平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、
我々がもう一度、指導力を発揮していく用意があると、知ってほしい。


前の世代は、ファシズムや共産主義と、ミサイルや戦車だけではなく、
強固な同盟と強い信念を持って対峙(たいじ)したことを思い出してほしい。
彼らは、我々の力だけでは我々を守れず、
好きに振る舞う資格を得たのではないことも理解していた。

代わりに、慎重に使うことで力が増すことを理解していた。
我々の安全は、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心からいずるものだ。


我々は、この遺産の番人だ。
こうした原則にもう一度導かれることで、
我々は、一層の努力や、国家間の一層の協力や理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができる。
我々は、責任ある形で、イラクをイラク国民に委ね、苦労しながらもアフガニスタンに平和を築き始めるだろう。

古くからの友やかつての敵とともに、核の脅威を減らし、
地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力するだろう。



 ◆変わる世界◆
我々は、我々の生き方について謝らないし、
それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しない。

テロを引き起こし、罪のない人を殺すことで目的の推進を図る人々よ、我々は言う。
我々の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。
あなたたちは、我々より長く生きることはできない。
我々は、あなたたちを打ち破るだろう。

我々のつぎはぎ細工の遺産は強みであって、弱みではない。
我々は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家だ。

我々は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっている。

我々には、南北戦争や人種隔離の苦い経験があり、
その暗い時代から出てきて、より強く、より団結するようになった。
我々は信じている。
古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる線も消えると。
世界が小さくなる中で、我々に共通の人間愛が現れることになると。

米国が、平和な新しい時代の先駆けの役割を果たさねばならないと。

イスラム世界よ、我々は、相互理解と尊敬に基づき、新しく進む道を模索する。
紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を
西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ、
国民は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、
何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきだ。

腐敗や欺き、さらには異議を唱える人を黙らせることで、権力にしがみつく者よ、
あなたたちは、歴史の誤った側にいる。
握ったこぶしを開くなら、我々は手をさしのべよう。

貧しい国の人々よ、我々は誓う。
農場に作物が実り、きれいな水が流れ、飢えた体に栄養を与え、乾いた心を満たすため、
ともに取り組むことを。

我々と同じように比較的満たされた国々よ、
我々が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でなく、
影響を考慮せず世界の資源を消費することもないと言おう。
世界は変わった。
だから、我々も世界と共に変わらなければならない。


我々の前に広がる道について考える時、
今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、
心からの感謝をもって思いをはせる。

彼らは、アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが、
時代を超えてささやくように、我々に語りかけてくる。
我々は彼らを誇りに思う。
それは、彼らが我々の自由を守ってくれているからだけではなく、
奉仕の精神、つまり、自分自身よりも大きい何かの中に進んで意味を見いだす意思を体現しているからだ。

これこそが時代を決するこの時に、我々すべてが持たねばならない精神だ。



 ◆新しい責任の時代◆
政府はやれること、やらなければならないことをやるが、
詰まるところ、わが国がよって立つのは国民の信念と決意である。

堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、
暗黒の時に友人が職を失うのを傍観するより、
自らの労働時間を削る無私の心である。

我々の運命を最終的に決めるのは、
煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思である。

我々の挑戦は新しいものかもしれない。
我々がそれに立ち向かう手段も新しいものかもしれない。
しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠実、愛国心といった価値観にかかっている。
これらは、昔から変わらぬ真実である。
これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。
必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。


我々に求められているのは、新しい責任の時代に入ることだ。
米国人一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、
その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。

困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ。

これが市民の代償であり約束なのだ。
これが我々の自信の源なのだ。
神が、我々に定かではない運命を形作るよう命じているのだ。

これが我々の自由と信条の意味なのだ。
なぜ、あらゆる人種や信条の男女、子どもたちが、
この立派なモールの至る所で祝典のため集えるのか。
そして、なぜ60年足らず前に地元の食堂で食事することを許されなかったかもしれない父親を持つ男が今、
最も神聖な宣誓を行うためにあなたの前に立つことができるのか。



 ◆自由を未来へ◆
だから、我々が誰なのか、どれほど長い旅をしてきたのか、その記憶とともにこの日を祝おう。
米国誕生の年、酷寒の中で、愛国者の小さな一団は、
氷が覆う川の岸辺で、消えそうなたき火の傍らに身を寄せ合った。

首都は見捨てられた。敵は進軍してきた。雪は血で染まった。
我々の革命の結末が最も疑わしくなった時、
我が国の祖は、この言葉を人々に読むよう命じた。

「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、
共通の脅威に気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、
と未来の世界で語られるようにしよう」


アメリカよ。我々自身が共通の脅威に直面している時に、
我々自身の苦難の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出そう。
希望と美徳を抱き、このいてつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えよう。

そして、我々の子孫に言い伝えられるようにしようではないか。
我々が試された時、旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。
そして、地平線と、神の慈しみをしっかりと見つめ、
自由という偉大な贈り物を運び、未来の世代に無事に届けた、と。

ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。
そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。

(2009年1月21日02時50分 読売新聞)
・・】

注)記事の原文より、あえて改行を多くした。



私は読みながら、オバマ大統領の真摯な就任演説を拝読し、
もとよりアメリカ国民から期待されるあまり、アメリカ国民自身が新大統領に寄せられたメッセージを、
何より具体的にどうように今後ふるまうか、注視する必要がある、と感じたのである。

なぜならば日本は、余りにも敗戦後から今日まで、
最も政治、外交、軍事はもとより、経済、社会、教育、文化まで影響を与えられ、
好悪は別として、もたらしたのはアメリカからである。
こうした現実と過ぎ去った歴史が明示されているからに他ならない、
と少しボケた政治に無知な私でも思ったりしているのである。


                            《つづく》

次回は、私なりにオバマ大統領が誕生するまで、色々と綴ってきたのがあるので、
再掲載をする。



ブログランキング・にほんブログ村へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする