水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

困ったユーモア短編集-96- 換(か)わる

2017年07月15日 00時00分00秒 | #小説

 八百(やお)は気分転換にスーパーへ買物に出た。朝が早かった・・ということもあり、人混みは少なく、いつもと違ってレジも割合、スンナリと通れた。取り分け、買い馴(な)れている・・という訳でもなかったが、場数(ばかず)を踏んでいる・・という自負はあった。
 レジで係に言われた金額を支払い、カードを渡したときだった。
「このカードは使えなくなります。今ですと、あちらのサービスカウンターの方で無料で作り換えが出来ます…」
 レジ係にそう言われ、八百は、ああ、そうなんだ、換わるのか…と単純に思いながら無言で頷(うなず)いた。有効期限で・・という話は今までなかったし、作り変えはカードが割れたときだけだったから、どんな事情なんだろう…と、八百には馬鹿っぽく思えた。出た結論は、システムの変更である。カードの磁気読み取り機能に新しい何かの機能が加わり、機能することになったんだろう…という機能的な結論だった。機械化は馬鹿っぽく、安定感がないな…とも思えた。思えたのはいいが、困ったことに次の瞬間、お釣りをフロアへ落としていた。

                         


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