2%のデフレ抑制策はいいが、困ったことに国産牛肉パックの値段が上がり、小市民の竹川は、『ぅぅぅ…いよいよ安いオージービーフか』と覚悟を決めざるを得ない事態に立ち至っていた。高くても、やはり国産牛肉は癖(くせ)がなく美味(うま)いっ! というのが竹川の本音だった。外国産の牛肉が決して不味(まず)い・・という訳ではない。それなりに美味いといえば美味いのだ。ただそれは、飽(あ)くまでも[それなりに]なのである。¥100近くも高くなった牛肉パックを手にした竹川は無念の思いで、その牛肉パックを元の位置へ戻(もど)した。世も末(すえ)か…と、思えた。虚(うつ)ろな眼差(まなざ)しで竹川がふと見ると、そこには! 超安い豚肉パックがあるではないかっ! 竹川は、ぅぅぅ…これだっ! これこそ、天の助けだっ! とばかり、2パックを買い物籠へ入れた。2パックでも国産牛肉1パックより安かった。いつの日か、100g数万円する国産のブランド牛肉をっ! を念頭に、竹川の挑戦は続いている。言っておくが、世は決して末ではない。
完